レアル・マドリーに所属するフランス代表FWカリム・ベンゼマが、『フランス・フットボール』とのインタビューで自身のフットボール観について語っている。
『フランス・フットボール』により、パリ・サンジェルマンFWキリアン・エンバペを上回り2021年の年間最優秀フランス人選手に選ばれたベンゼマ。選出理由は、これまでのゲームメイク力に得点力も加わったためのように思えるが、本人は自分の選手としての特徴が変わっていないことを強調する。
「統計とか、もっとゴールを決めているとかはあるけど、自分のフットボールが変わったとは思っていない。僕は同じで選手であり続けている」
ベンゼマはまた、ゴールなどの事実だけを取り上げる人々に対して持つ、決してポジティブとは言えない感情も語っている。
「誰がゴールを決めたか。それだけに興味がある人間を、僕たちはもう不快に思えなくなっている。次の日には、その得点者だけが最高の選手となるのに。それは自分の身にも起こったことだ。良いプレーができなかったにもかかわらず、ゴールを決めて最高の選手と扱われた。そんなフットボール、僕は好きじゃない。でも、だんだんとそうなっているんだ。もう、成績だけしかない見られないスポーツになりつつあるんだよ」
「自分がプレーするときには、フットボールをリスペクトしていたい。例えばマークを外している味方がいて、角度がないときにシュートなんて打てない。僕はパスを選択するよ。『たぶん、自分が決められる』とは考えないよ。それぞれにフットボールの見方があるけど、自分は良い方向に進んで行けたらと思っている」
「僕はワンタッチのフットボールが好きだ。フェラーリを操縦するように、フットボールはエレガントで美しくなきゃいけない。ゴールを決めるときに何を感じるか? それはフェラーリを加速させて、アドレナリンが出る感じだよ」
その一方、レアル・マドリーでFWクリスティアーノ・ロナウドとともにプレーした日々については、次のように振り返っている。
「彼がレアル・マドリーでプレーしていたとき、1シーズンに50〜60ゴールを決めていた。だから僕はその現実に適応すべきだった。ピッチでもっと動いて、彼にスペースを与えることでね。そして彼が退団すると、僕が後を継いでゴールを決め、チームメートのアシストもすることになったわけだ」
「僕は自分のやり方で彼の後を継いだし、うまくやれている。自分はクリスティアーノ・ロナウドとしてプレーしていない。彼がカリム・ベンゼマとしてプレーしていないようにね。クリスティアーノ・ロナウドがいたとき、僕はもっとプレーを創造する方で、彼がフィニッシュをする方だった」
これまで一緒にプレーしてきた中で印象に残っている選手を問われると、こう返答した。
「クリスティアーノ、メスト・エジル、フレッジ、あと練習でプレーしたジズー(ジダン)だね。技術に秀でた選手たちで、これこそがフットボールなんだよ。呼べばボールが届いて、自分もパスを出して、相手も出してくる、みたいなね」
ベンゼマは そ現在のレアル・マドリーでの相棒、FWヴィニシウス・ジュニオールについても言及。DFフェルラン・メンディに対して「あいつ(ヴィニシウス)にボールを渡すな。自分たちと敵対するプレーばかりしている」と発言した過去にも触れつつも、その才能を称賛している。
「あれも彼のためになったんだ。本人に聞いてみてほしい。今、彼はあの頃と同じ選手じゃなくなっている。前からそうすべきだったというプレーをしているし、もう何も咎める必要はない。彼は若く、とても素晴らしい選手だ。ゴール前最後の20メートルで何をすべきか、僕はそれを彼に示してきた。そして決定的なパスを出すのか、ゴールのためのシュートを打つのかは彼自身が決めなくてはならない。現在の彼は頭を上げ、前を見ている。それが今のヴィニシウス・ジュニオールなんだ!」


