バルセロナがGKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンから主将を剥奪した問題について、『The Athletic』が分析している。
これまでバルセロナで422試合に出場し、チャンピオンズリーグ制覇や6度のラ・リーガ優勝を経験してきたテア・シュテーゲン。昨季からは主将も務めていたが、7日にバルセロナが声明を発表。「マルク=アンドレ・テア・シュテーゲンに対する懲戒手続きが開始されたことを受け、クラブはスポーティングディレクター、コーチングスタッフとの双方の合意のもと、ファーストチームのキャプテンとしての彼の役割を一時的に剥奪することを決定した」とし、一時的に主将の座を剥奪することを明かしている。
そしてこの決断について、『The Athletic』がバルセロナ、テア・シュテーゲン双方の立場から分析している。
バルセロナとしては、依然としてサラリーキャップ問題による選手登録問題を抱えている状況。そうした中で、ラ・リーガでは「長期離脱」選手の給与の80%を新選手登録に充てることが可能であり、これには第三者機関によって4カ月以上の離脱が認められる必要がある。クラブ側は、背中の手術を受けたテア・シュテーゲンが「長期離脱」を強いられると予想していたため、ラ・リーガを含む第三者機関へ選手のメディカルレポートを提出したい考えだったようだ。
しかしテア・シュテーゲン側は、ラ・リーガの定める「長期離脱」よりも早く復帰できると考えているため、このメディカルレポートの提出を拒否した模様。これに一部のバルセロナ関係者は「クラブに損害を与える」と懸念していたが、さらに選手側がSNSで「3カ月で復帰する」と表明したため、事態は悪化。クラブ側は「彼の決断は利己的であり、ロッカールームの将来に損害を与える」と判断して主将を剥奪、懲戒請求の審査を開始したと伝えられている。
一方で、テア・シュテーゲン側はメディカルレポートの提出が「長期離脱を認めること」と考えており、「可能な限り復帰して正守護神争いに挑戦したい」との意思を固めているとのこと。レポートの提出拒否はスペインサッカー選手会も支持しているようだ。さらに、クラブ側が地元メディアを通じて主将としての自身の立場とファンとの関係を悪化させ、退団を迫るように圧力をかけようとしたともみなしているという。また、直近2回の契約延長の際には給与支払いの延期に同意してきたこともあり、現在クラブが抱える選手登録問題は自分に責任がないとも考えているようだ。関係が悪化する両者だが、今後の動向に注目が集まっている。


