バルセロナの審判買収疑惑“ネグレイラ事件”について、実在していた審判に関するレポートには事細かなアドバイスが記されていた。
2001年から2018年まで、当時の審判技術委員会(CTA)副会長エンリケス・ネグレイラ氏とその息子ハビエル氏の所有する会社に対して、審判や判定の調査依頼の名目で総額で約700万ユーロを支払っていたバルセロナ。スペインの検察当局の起訴によって現在は予審が行われているが、予審における資料には存在自体疑わしいとされてきた審判や判定に関するレポートも含まれていた。
スペイン『マルカ』が公開したハビエル氏作成のレポートでは、各審判の個別分析、1シーズンの全試合の担当審判、担当審判のレフェレリング評価など、多くの事柄が報告されている。また各審判の個別分析では、バルセロナの選手たちがどういう振る舞いを見せるべきかも詳細に記されていた。
例えば、現パリ・サンジェルマンFWネイマールであれば、イグレシアス・ビジャヌエバ氏の分析で「彼は選手たちが大袈裟に振る舞えば、ファウルを取ることを止める。ネイマールが大袈裟に倒れるならば、簡単に笛を吹かなくなるだろう」との見解が示され、またフェルナンデス・ボルバラン氏の分析においても「大袈裟に倒れればファウルを取ることをやめる。ネイマール相手にいつも起こってることだ」と同じような趣旨が記載されていた。
加えて、DFジョルディ・アルバ、MFセルヒオ・ブスケツに対して抗議を控えるよう促す文章も存在している。マヌエラ・モンテーラ氏の分析において「直近の試合では、ハーフタイムに繰り返し抗議をしたJ・アルバが警告を受け、ブスケツも同様に抗議によってイエローカードを提示されている。以上の選手たちは、彼を前にして正しい態度を取ることが推奨される」と記されていた。
とりわけその振る舞いに気を付けるよう記されていたのは、現グレミオFWルイス・スアレスとジェラール・ピケだった。L・スアレスについては、ビカンディ・ガリード氏、サンチェス・マルティネス氏の分析でこんなことが書かれていた。
「彼(ビカンディ・ガリード)は選手が大袈裟に倒れたり笛を求めたりしていると判断した場合、ファウルを取らなくなる。シミュレーションでカードの提示をためらわない審判の一人だ。以前にバルセロナの試合をレフェリングしたときにはメッシの存在しないPKを指示していた。特に注意が必要なのはスアレスだろう。“(すべて大文字で)彼は模範的な振る舞いを保つことが推奨される”」
「スアレスは審判団たちが持ち得る公的なイメージを、良い形で保つことが大切だ」
またピケについては、現役最後の試合でもハーフタイムに退場になったように、やはり度重なる審判への抗議が懸念材料となっていたようだ。マヌエラ・モンテーラ氏の分析でこう記されていた。
「(マヌエラ・モンテーラ氏は)ピケに対して容赦ないだろう。彼はバルサを担当した最初の数試合で、ピケの悪辣な振る舞いに我慢をし続けていた。その執拗な抗議によって、退場させる可能性すらあった」
ハビエル氏が作成したレポートには、選手たちへのアドバイス以外にも注目すべき点がある。例えばデ・ブルゴス・ベンゴエチェア氏の分析では「彼は自分の判定が正しかったか間違えていたかをハーフタイムに確認している(スマートフォンを使用)。ハーフタイム後、彼に該当のプレーを思い出させるよう仕向けてもいいかもしれない」との見解が記され、またベラスコ・カルバージョ氏に関しては「彼との関係には気をつかう方が有益だろう。なぜなら、彼はCTAの次期会長候補の一人だからだ」と記載されていた。
依頼先や支払った金額の大きさは別にしても、審判に関するレポートは確かに存在していた。バルセロナ側の正当性を主張する証拠になり得るのかもしれない。


