23日のチャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦ファーストレグ、ワンダ・メトロポリターノでのアトレティコ・マドリー対マンチェスター・ユナイテッドは1-1のドローで終了した。
シメオネ監督率いるアトレティコがCL決勝T1回戦に臨むのはこれが8回目(それ以前は7回しか参加せず)。また新型コロナウイルスのパンデミックの影響により、ホームでCLノックアウトラウンドを戦うのは、2020年2月18日のリヴァプール戦以来となった。
今季のアトレティコは低調だと言われていたが、私たちは欧州仕様の彼らを忘れていたのかもしれない。アトレティコは2013年のルビン・カザン戦(ヨーロッパリーグ)以降、欧州ノックアウトラウンドのホーム戦で一度も負けていない。クロップ監督のリヴァプールはもちろん、ジダン監督のレアル・マドリーにもメッシのバルセロナにもグアルディオラ監督のバイエルン・ミュンヘンにも……。「飛べ、アトレティ」。そんな横断幕が掲げられたこの一戦で、アトレティコは飛んだ。ジョアン・フェリックスが飛んで、先制点を決めた。
アトレティコがスコアを動かしたのは、キックオフから6分。CKの流れから左サイドのロディがクロスボールを上げると、一気に加速したK・フェリックスが最終ラインを抜け出して、その勢いのままヘディングシュートを決め切っている。
先制したアトレティコに、反撃に出るユナイテッド。試合をコントロールしていたのは前者の方だった。右サイドにヴルサリコ&マルコス・ジョレンテ、左サイドにヘイニウド&ロディとダブルサイドバックを置いたアトレティコは(ちなみに2トップはアンヘル・コレア&ジョアン・フェリックスでルイス・スアレスはベンチ)、3-5-1と4-4-2の可変システムでもってユナイテッドの攻撃をほぼ完全に封じ込める。かつて堅守速攻で欧州に名を轟かせたチームを思い起こさせ、なおかつ機を見たハイプレスからの攻めも効果を発揮していた。
前半にユナイテッドが迎えた惜しいチャンスは、15分にブルーノ・フェルナンデスが放ったクロスバーをかするミドルシュートのみ。対するアトレティコは45分、ロディのさらなるクロスから今度はヴルサリコがフィニッシュしたが、こちらはリンデロフ、クロスバーの順に当たってゴールにはならなかった。
後半もユナイテッドがボールを保持して、アトレティコが堅守速攻で対応する展開は変わらず。ラングニック監督は66分に一気に交代カードを3枚切り、リンデロフ、ポグバ、ルーク・ショーを下げてマティッチ、テレス、ワン=ビサカを投入し、さらに75分にはラッシュフォードをエランガに代える。一方のシメオネ監督は75分、J・フェリックスとロディを下げてレマル、グリーズマンをピッチに立たせている。
その後もユナイテッドが苦戦する様子は変わらず、78分にはクリスティアーノ・ロナウド(アトレティコサポーターからは終始ブーイングを浴びせられる)のフリーキックがクロスバーを大きく越えるなど、得点の予感を感じさせないままだった。が、80分にワンプレーからゴールをかっさらった。B・フェルナンデスの絶妙なスルーパスからエランガが最終ラインを突破。そのままペナルティーエリア内に侵入すると、冷静なシュートでアトレティコ守護神オブラクを破っている。
失点から、観客のさらなる後押しを受けたアトレティコは87分、グリーズマンがポストに当たるシュートを放ったが、これはボールが枠内に入りたがらず。結局、試合は1-1のまま試合終了のホイッスル。アトレティコはまたもメトロポリターノで無敗を貫き、一方で攻めあぐね続けたユナイテッドもそのパフォーマンスからすれば上出来の結果を持ち帰った。
なおオールド・トラフォードでのセカンドレグは、3月15日に行われる。




