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アグエロよ永遠に――。記憶に残るマンチェスター・シティのレジェンド

14日の夜行われたリーズ戦ではケヴィン・デ・ブルイネ、フィル・フォーデン、ジャック・グリーリッシュらがゴールを挙げ、7ゴールの大勝劇に華を添えたが、エティハド・スタジアムでホームのサポーターたちが叫んだのは、たった一人の名前だった。

セルヒオ・アグエロだ。

アグエロが15日に引退を発表することはほぼ明らかだった。そのため、シティのサポーターたちは、アルゼンチンのヒーローをどれだけ愛しているかを、彼が現役でいるうちに示したかったのだ。

クラブ史上最高のストライカーであり、最も多くのタイトルをシティにもたらした。つまりクラブの歴史に残る最高の瞬間の共有した、最高の選手だったのだ。

「明らかな事実だが、セルヒオはプレミアリーグ史の中で、シンプルに最も冷酷なストライカーだ。2人分のキャリアを合わせたかのような彼の記録は驚くべきものだ。彼の影響は今我々がいるクラブにだけでなく、今後何年も残り続ける。シティのファミリーから敬愛されてきたし、世界中のフットボールファミリーからもリスペクトされてきた」

アグエロが引退を発表したことを受け、シティのカルドゥーン・アル・ムバラク会長はこう語った。

途中交代でのデビューながら2得点を奪ったスウォンジー戦から、最後のプレミアリーグ出場となった10年後のスウォンジー戦でまたも途中出場から2得点を挙げるまで、エティハド・スタジアムでのアグエロのインパクトは絶大だった。

シティでの最後の試合となったチャンピオンズリーグ決勝では、チェルシーに敗れ涙に暮れた。どうしても欲しかったが手に入らなかった唯一のメダルとなった。

だが、レジェンドとしての立場はすでに確立されている。

■数々の記録を樹立

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合計260得点は2位以下に大きな差をつけるクラブ最多記録だ。また、クラブ史において最も多くのタイトルをもたらした選手でもある。5度のリーグタイトル、6度のリーグカップ、1度のFAカップ、3度のコミュニティ・シールドを手にした。

そして、プレミアリーグ史上最もドラマチックで忘れられない瞬間がある。2011-12シーズン最終戦となったQPR戦、94分に土壇場で逆転弾を叩き込み、44年ぶりのタイトルをシティにもたらしたのだ。同時に、宿命のライバルであるマンチェスター・ユナイテッドを王座から引きずり下ろした瞬間でもあった。

ともにプレーしたシティMFロドリは「彼はフットボールですべてをやり尽くした」と話す。

「これ以上何かを示す必要はないだろう。僕にとっては、彼は過去50年で最高のストライカーだ。彼のことをここで多くの人が思い出すだろう。もちろん、レジェンドとしてね」

アグエロはシティの歴史の最前線に立つことは確実で、エティハド・スタジアムの外には、ヴァンサン・コンパニやダビド・シルバと並んで銅像が建てられることになっている。

QPR戦のゴールは最も象徴的な瞬間だったが、アグエロが主役となった試合はまだたくさんあった。2019年のタイトル争いでリヴァプール相手に決めた決定的な得点や、チェルシーやアーセナル相手にウェンブリーで決めた得点、チャンピオンズリーグでバイエルン相手に2-0のリードを許したところからハットトリックを決め3-2の逆転勝利を収めた試合…例を挙げるときりがない。

ハットトリックの回数で言えば、アグエロの12回はプレミアリーグ最多記録だ。さらに、プレミアリーグ184得点は、イングランド以外出身の選手の得点では最多となっている。

■ピッチ外でも愛されたキャラクター

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元シティのスター、ポール・レイクも早期引退を余儀なくされた選手だ。シティのファンにとってアグエロがどういう存在か、よく理解していた。『Goal』で次のように語っている。

「セルヒオはシティのファンの心に近い存在だ。彼のプレーや姿勢、ファンを愛していたこと、それからあのゴールを決めたことがその理由だ。ファンにとって、残りの人生で記憶に残り続けるゴールだった」

「それはマンチェスター・シティのファンにとどまらない。彼はサッカー界全体にあの瞬間をもたらしてくれた。想像もできないほど特別な瞬間だったし、僕たちはとても感謝しているんだ」

「シティファンにとっては、彼はクラブ史上最高のストライカーだ。永遠に崇拝されるだろうし、彼に出入りしてもらうためには武装したボディーガードが必要になるかもしれないね。それほどシティのファンは彼のことを愛しているんだ。それに値する存在だ」

アグエロはシティに在籍した期間中、最も市場価値の高い選手であった。非常によいルックスはピッチ上での活躍でさらに輝きを増した。シティでは他の選手よりもユニフォームの売上が多かった。企業スポンサーも彼の前に列をなし、商品の宣伝に起用した。

クラブ周辺の関係者からも愛されていた。バルセロナで心臓を患い、早々にキャリアを終えてしまったことに、皆ショックを受けていることだろう。

このアルゼンチン代表はマンチェスターにいた10年間で、ピッチ外でも大きな印象を残してきた。2021年夏、最後にアグエロがクラブから去るときには、裏方からも悲しむ声が数多く上がった。

面白くチャーミングなキャラクターのアグエロは、たしかに最も真面目に練習をしていたわけではない。靴紐がほどけたままピッチに入ることもあった。食事は典型的な南アメリカ人のもので、赤身の肉と炭酸飲料を主食とし、シティや近隣のクラブでスペイン語を話す人をもてなした。

そして練習場ではクンビアを踊り、常にふざけている。試合当日に本領を発揮できるアグエロのような選手だからこそできる芸当だった。

■「クラブにとって今世紀最高のストライカー」

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ペップ・グアルディオラがチームを率いるようになってから、アグエロはチームから追放されてしまうのではないかという懸念があった。ロベルト・マンチーニやマヌエル・ペジェグリーニの下ではそれほど重要視されてこなかった、プレスの統率力が求められたからだ。

だが、アグエロは選手としてさらなるステップを上った。グアルディオラの下で誰よりも多くの得点を記録。多くの勝利に貢献し、大きな役割を果たした。

アグエロがクラブを離れるとき、グアルディオラは泣き崩れたという。アグエロのエモーショナルな引退発表の際に、グアルディオラはシティのディレクター、チキ・ベギリスタインとともにバルセロナにいた。グアルディオラにとってアグエロがどれほど大切な存在であったかが垣間見えるだろう。

「彼はレジェンドだ。クラブにとって今世紀最高のストライカーだ。替えのきかない存在で、ファンや人々、彼とともにプレーした選手、そしてともに働いた監督たちの魂や心に残り続けるだろう」

グアルディオラはシティでの別れのとき、このような言葉を残した。当時、コロナ禍の影響で、5月にエティハド・スタジアムでアグエロに別れを告げることができた人は10000人しかいなかった。

彼はこんな別れには値しない。常にスタジアムを熱狂の渦に包んできたストライカーだ。彼が戻ってきたいと思ったときには、いつだってシチズンは集まり、歓迎する準備を整えることだろう。

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