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EAFF E-1フットボールチャンピオンシップ

A代表&五輪世代兼任で露呈した柔軟性の欠如。森保監督は二足のわらじを履けているのか?

15:00 JST 2019/12/20
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カタール・ワールドカップ(W杯)に向けたA代表、そして東京五輪代表の2つの日本代表を同時に強化する森保一監督。2019年を通して見えてきた課題を、代表取材を続けてきた西川結城氏はこう指摘する。

■異なる布陣の2つの代表

 二足のわらじを履きこなす。その本当の意味とは、いったい何なのだろうか。

 森保監督はA代表と東京五輪代表の指揮官を兼任する。今年2019年は、両チームを本格的にマネジメントする1年だった。

 実質は、東京五輪を戦うU-22日本代表は横内昭展コーチが試合の指揮を執ることが多かった。活動期間がどうしても重なることの多い両代表。日本サッカー協会のスタンスも、当然自国開催となる五輪での成功を重視しながらも、ファーストプライオリティはカタールW杯予選にある。森保監督がA代表を優先して活動したこと自体に問題はなかった。

 この2つの代表は、異なる布陣でチーム作りが進行していく。

 A代表は、4-2-3-1をベースにした戦い方。森保監督は昨年9月の就任当初、「連係連動をともないながらも、選手個々の自主性も重んじた戦いを継続させていきたい」と話していた。つまり、日本人に慣れ親しんだ4バックシステムを基本に、監督が戦術ルールで選手を雁字搦めにすることなく、ある程度は自分たちでプレーを構成していく力を養いたいという目標を掲げた。

 U-22代表では、森保監督がサンフレッチェ広島時代に一貫して採用していた3-4-2-1が基盤となった。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(現・北海道コンサドーレ札幌)が日本に広めたことで知られる、特殊システム。森保監督は自分流にアレンジし、代表ではオーソドックスな戦術に変化させ浸透させようとしている。もちろんその手段方法は、参謀役の横内コーチも共有済みであり、実際の指導にあたっている。

 森保監督はことあるごとに、「4枚と3枚は布陣は違うが、プレーの原理原則は同じ」と繰り返す。サッカー界ではシステムにこだわりすぎたり、依存することを嫌う考え方もある。ただ実際にプレーする選手たちが語るのは、「やっぱり3枚と4枚では戦い方やルールがまったく異なってくる」という素直な感想だ。どちらが真っ直ぐな意見かは、多くを論じなくても明らかだろう。

■3-4-2-1に戸惑った選手たち


 2つの代表が交錯するタイミングは、今年は2度あった。最初は6月に参戦したコパ・アメリカ。A代表として戦ったが、その選手構成は五輪世代と代表の中堅・ベテラン世代が融合されたチームだった。このときは4-2-3-1で3試合を戦った。4バックを中心に、全体をコンパクトにしながらプレッシングとブロックディフェンスを戦況に応じて使い分ける戦い方には、多くの日本人選手が慣れている。採用に問題はなかった。

 そして2度目の交錯が、今月行われたEAFF E-1サッカー選手権だった。メンバーはオール国内組で構成され、23人中14人をU-22世代から抜擢した。

ここで森保監督が導入したのが3-4-2-1だ。大会3試合を通して、一貫して変えることはなかった。12月7日にJリーグ最終節が終わってから翌8日に韓国・釜山に入り、大会初戦は10日。当然、この布陣を扱うために必要な入念な戦術的確認をする時間は足りなかった。

 なぜ、3-4-2-1をこの大会で使い続けたのか。最後まで森保監督の口からその真意が語られることはなかった。おそらく同布陣を基盤とするU-22世代を多く招集しているため、その流れに準じて採用したのは1つの理由である。

 大会を取材する中で、選手たちから感じたのは3-4-2-1に対する不慣れさや、戸惑いだった。中には佐々木翔や森島司(ともに広島)など、所属クラブでこのシステムのもとで戦っている選手たちもいた。彼らは「自分たちが中心になって伝えたい」と周囲を手助けする意識も高く、頼もしかった。

 ただ、その他の選手たちは表向きにははっきりと否定はしなかったものの、話を進める中で「本当にこのシステムでやり続けるならば・・・」や「やり慣れていない選手が多く、難しさがないといえば嘘になる」といった本音の声も徐々に漏れてきていた。

■頑なに動かない森保監督


 時間を追うごとに浸透度を深める。そこへのトライは、監督、指導者としては当然の作業である。一方で、2つの代表を運用した今年最後の大会で、森保監督が露呈したのは柔軟性の欠如だった。

 かねがね、指揮官は「2つのシステムのどちらかだけという考えではなく、有効に使っていきたい」といった趣旨の発言をしている。そうであるならば、例えば大会中でも試合ごとに布陣を変える、また選手のマッチ、ミスマッチをもっと考慮し、適材適所に配置することを最優先して布陣を選択する。さらには試合中に相対的な齟齬が見つかれば、すぐにシステムを切り替えるといった方策だってあっていいだろう。

 それが、「2つのシステムを柔軟に活用する」という言葉の本質である。

 E-1選手権最終戦の韓国戦。ライバル相手に0-1の惜敗となってしまい、優勝を逃した。森保ジャパンはA代表、U-22代表ともに発足後いまだタイトルを獲得したことがない。決勝の舞台に勝ち上がった大会でもことごとく負けている。現状は、完全なシルバーコレクターだ。

 韓国戦後の森保監督の言葉である。

「戦術的に後手を踏んだとは思っていません。選手たちも個々のケアをしていて対応している中、少しタイミングが遅れたり強度が足りなかったりという局面のところが、相手に上回られてしまったところかなと思っています。そこは選手たちがこの強度の中で打ち勝っていって、さらにそれぞれが持っている技術を生かしていけるように。強さと技術のうまさを兼ね備えていないと国際舞台では勝てないということを、今回の経験を持って経験の浅い選手には次につなげて欲しい。選手ができなかったということは、私の伝え方として、監督として反省しないといけない」

 戦術で後手に回ってはいなかった、という部分は正直納得できないところはある。明らかにこの試合で日本は3-4-2-1の攻守における弱点を突かれていた。ボールを持てば丁寧なビルドアップを心がけていた日本の選手たちだが、相手の対策に対して戦術的に上回れず、個人が餌食となり潰されていた。

 劣勢を挽回するために、慣れ親しんだ4バックに変えてもよかったはずだ。ただ、森保監督は頑なに動かなかった。どこか、試合に勝つために最善の作業をするというよりも、3-4-2-1で戦うこと自体を最大の目的にしているかのようだった。

 二足のわらじを履きこなす。その戦い方にはもっと柔軟かつ的確な発想があっていい。両足のわらじで軽快に歩んでいるとは、今の時点では言い難い。

 このままでは2つのチームのやりくりが中途半端な印象だ。もっと勝利にこだわる采配や戦術選択といった、明確で骨のある森保監督の姿を2020年は見てみたい。

取材・文=西川結城

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