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ヨーロッパリーグ(EL)グループ初戦でツルヴェナ・ズヴェズダに勝利したモナコは、日本時間15日25:45キックオフの第2節でフェレンツヴァロシュと対戦する。新天地で苦戦するモナコFW南野拓実は、結果でアピールすることができるのだろうか。【文=河治良幸】
■クロップ監督も惜しんだ資質
(C)Getty images欧州屈指の強豪であるリヴァプールでは「タキ」の愛称で親しまれ、サウサンプトンにレンタルされた半年間を含む3シーズンを過ごした南野拓実。昨シーズンはリーグ戦11試合3得点、リーグカップとFAカップでは合計7得点で二冠獲得に大きく貢献した。そこから、カタール・ワールドカップ(W杯)を前に、さらなる出場機会を求めてリーグ・アンのモナコに完全移籍したが、ここまでかなり苦しい戦いを強いられている。ここまで開幕7試合とで南野が起用されたのは4試合。得点もあげられていない。
エールディビジのPSVにチャンピオンズリーグ(CL)の3次予選で敗れて、EL参加となったモナコ。レッドスター戦ではスタメンで起用されたが早い時間にイエローをもらったこともあり、大きなインパクトを残せないまま後半の早い時間帯で交代した。その後、スイス代表FWエンボロがPKを決めてモナコが敵地で1-0の勝利を飾っている。ここまで新戦力を組み込むためのシステムも模索している中で、フィリップ・クレメント監督も南野の適正ポジションや起用法をなかなか見いだせていない様子だ。ただ、より決定的なプレーに絡める場所が理想であることは間違いない。
第7節のリヨン戦では3-4-3が採用されたが、後半の早い時間帯に2点リードを奪い、逃げ切りを図る中で、ベンチスタートの南野に出番は訪れなかった。最終的に2-1で勝利したのだから、クレメント監督の判断は間違っていなかったということだろう。南野は優れたストライカーであり、チャンスメイカーとしても活躍できる資質はあるが、個人で仕掛けて打開するタイプではなく、破壊的なミドルシュートを持っているわけでもない。
日本代表にも言えることだが、周りの選手とイメージがシンクロするほどに、動き出しやポジショニング、卓越したボールコントロールからのフィニッシュが研ぎ澄まされていく選手だけに、チームの完成度があまり高くないと、なかなか最適解を見出されにくいということもあるだろう。
欧州での地盤を築いたオーストリアのザルツブルクではハイプレスとポゼッションを組み合わせたアグレッシブなスタイルの中で、現在はマンチェスター・シティで活躍するアーリング・ハーランドや韓国代表のウルヴァーハンプトン所属のファン・ヒチャンと見事なコンビネーションを確立。CLの直接対決で、リヴァプールのユルゲン・クロップ監督に実力を認めさせた。
リヴァプールではエジプト代表FWモハメド・サラー、セネガル代表FWサディオ・マネらのアタッカーの分厚い選手層に出場機会を制限された。それでも出番を得れば、やはりハイプレスからのショートカウンターや可変を用いたパスワークの中で、しばしば非凡なセンスを発揮して多くのゴールに絡むことができた。クロップ監督も南野の才能を認めながら、なかなか使えないことを嘆くコメントを発したのは一度や二度ではない。
■チームプレーヤーの苦悩
(C)Getty images今年6月のブラジル代表戦を前に南野は「プレッシングは僕がザルツブルクの時からですけど、欧州に移籍してから大きく成長できたところでもある。でも、僕一人だけの力では意味がない。どうやってプレスに行くか、こういう相手にどうやっていくかはよく話をする。リヴァプールはそういうプレッシング、前から奪いに行くところでは世界トップクラスのチーム。何か自分が感じたことをチームに還元できれば」と語っていた。
精力的かつ献身的な守備と周囲に連動しながら相手の嫌なところに顔を出していく攻撃など、南野は象徴的な“チームプレーヤー”なのである。そんな南野にとって1800万ユーロとも言われる移籍金、4年契約でのモナコ加入は出場機会を得るだけでなく、チームのエースになるための大きなチャレンジでもあった。これまでザルツブルクやリヴァプールではある意味、チームメートやチームの戦術に守られていた部分もある。モナコもフランスリーグの名門だが、昨シーズンの途中からチームを率いるクレメント監督は南野を含む戦力を探っている状況だ。
フランスリーグは一般的にプレミアリーグよりレベルが落ちると見られるが、それは戦術的な機能性や全体的な強度によるところが大きい。アフリカ系の選手はプラミアリーグより多く、個人にとっては決して簡単なリーグではない。そうした中でもベルギーの名門クラブ・ブルッヘで二連覇を果たした実績を持つクレメント監督は自分のスタイルがザルツブルクに似ていることを認めるように、前からボールを奪いに行く守備を掲げ、全体の立ち位置を設計しながら、ボールをつないで攻める戦術を追求している。
それでもリヴァプール以上に個人が晒される局面が多く、ボールを受けられない時間帯も多い。モナコもスイス代表FWブレール・エンボロをはじめ、能力の高いアタッカーはいる。そうした選手たちと良い関係を築きながら、中盤からもうまくパスを引き出せる環境を構築していく必要がある。そのための大事な要素なクレメント監督の要求を理解しながら、仲間とのコミュニケーションを含めて、自分なりのビジョンで生き方を見出して行くこと。もう1つは少ないチャンスでも目に見えるゴールやアシストという結果を出すことで、内外で認めさせることだ。
CLを逃したモナコにとっても、EL制覇は十分に達成可能な目標だ。昨シーズンは鎌田大地と長谷部誠を擁するブンデスリーガのフランクフルトが、スコティッシュ・プレミアシップのレンジャーズを破り、優勝トロフィーを掲げた。昨シーズンのモナコはラウンド16でポルトガルのブラガに敗れており、そのブラガを準々決勝で下したレンジャーズがファイナルに進出した。
リベンジが期待されるこの大会のグループステージで、おそらく南野はリーグ・アン以上に出場チャンスを得られるだろう。セルビアのレッドスター、ハンガリーのフィレンツバロシュ、トルコのトラブゾンスポルと同居するグループ。首位突破が期待される中で、南野が目に見える結果で勝利に貢献しながら、リーグ・アンにも繋げていけるか。
しばらくは試合に起用されても、仲間との配置やコンビネーションには苦戦するかもしれない。それでも試合の中で何度かは決定機に絡めるチャンスが来るはず。それを持ち前の集中力と正確なフィニッシュで仕留められるか。特にカタールW杯を最高のコンディションで迎えるには時間も無いだけに、まずはフェレンツヴァロシュ戦で、移籍後の初ゴールが期待される。




