▶【EL】放送でも配信でも視聴できる!WOWOW無料加入はこちら
アーセナルは現地時間20日、ヨーロッパリーグ(EL)グループ第2節でオランダの名門PSVと対戦する。プレーの幅を広げている冨安健洋にとって、その一戦は重要なアピールの場となりそうだ。【文=林遼平】
■出遅れた今シーズン
(C)Getty images近年、優勝争いを繰り広げてきたマンチェスター・シティやリヴァプール、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッドといったチームを上回り、プレミアリーグで10試合を終えて首位に立っているのがアーセナルだ。4年目の指揮となるミケル・アルテタ監督のもと、時間をかけて成熟させてきたチームは、シーズンが開幕してから日に日に成長。2シーズンぶりとなるELでも開幕3連勝を記録し、首位を走っている。
今節は延期となっていたオランダの強豪・PSVと対戦。ここで勝利を手にし、決勝トーナメント進出を決めることができるか注目の一戦となる。
そんな絶好調のチームにおいて、徐々に出場機会を増やしているのが日本代表の最終ラインを支える冨安健洋だ。2018年にアビスパ福岡からベルギーのシント=トロイデンヘ移籍して以降、冨安のステップアップのスピードは他の日本人選手を凌駕するものだった。
1年半の在籍となったシント=トロイデンでのパフォーマンスが評価されると、19年にはイタリアのボローニャへ移籍。そこでチームに欠かせない選手として大きなインパクトを残すと、2年の歳月を経て昨年アーセナルへの移籍を実現させた。
ただ、22歳でたどり着いた初のビッグクラブでは、多くの困難が待ち受けていた。素晴らしいスタートこそ切ることができたが、厳しいポジション争いに加え、新型コロナウイルスや負傷の連続でなかなか波に乗ることができず。ケガが癒えたタイミングで再び負傷してしまうなど、ピッチに立てない苦しい日々を味わった。その結果、1年目は公式戦22試合出場に終わり、新天地での手応えは感じつつも、悔しいシーズンとなってしまった。
迎えた2022-23シーズン。チームが最終ラインに複数人の新戦力を加えた中、ケガの影響もあって少し出遅れる形となった冨安は、新シーズンのスタートでスタメンの座を確保することができなかった。それでも右SBの控えとして途中出場という形で目の前の試合に挑んでいくと、徐々に信頼をつかみ始め、ELの初戦となったチューリッヒ戦で今季初めて先発フル出場。この試合ではチームのクリーンシートに貢献し、攻撃面でも積極的なチャレンジが見られたことで確かな評価を受けた。
■サラー完封でアピール
(C)Getty imagesそして、右SBでのプレーに安定感が生まれてきた中、大きな話題を呼んだのが10月9日に開催されたプレミアリーグ第10節、リヴァプール戦での左SB起用だ。今季、左SBのレギュラーとして活躍してきたオレクサンドル・ジンチェンコが筋肉トラブルで離脱。リヴァプール戦という大事な試合で、そのポジションに冨安が先発で抜擢されたのだ。
これまであまり起用されたことのないポジションでの出場。不安要素もあるかと思われたが、冨安はここで出色の出来を見せる。対峙したのはプレミアリーグ屈指のアタッカーの一人であるモハメド・サラー。そんなサラーを相手に鋭い読みを生かした守備と球際の強さを見せた冨安は、相手の強力なドリブルを完璧に封印。エースアタッカーを抑える大仕事をやってのけ、チームの勝利に貢献したのである。
この試合以降、冨安は左SBを中心に2試合連続先発出場を続け、チームも連勝を続けるなど素晴らしい成果を残すことに至っている。日本代表ではCBで起用されることの多い冨安だが、アーセナルでプレーの幅を広げることによってこれまで以上にフレキシブルに活躍できる状態に変化。ポジショニングやビルドアップをさらに洗練させていくことができれば、最終ラインならどこでもプレーできるオールマイティーなプレイヤーになっていくだろう。
また、リーグ戦だけでなく、今回迎えるELでどれだけのパフォーマンスを披露できるかが今後レギュラーとして定着していくためのポイントになる。今節のPSVは、現在2勝1分でグループ2位につける相手。前線には主将のコーディ・ガクポら有能なアタッカーが控えているため、対峙した選手をいかに抑えられるかが勝利への鍵となる。間近に迫るW杯に向けて、より試合経験を積む必要がある。欧州の強敵を前にどんなパフォーマンスを見せるか注目だ。




