Kuryu-Matsuki(C)Getty Images

「私は18歳の松木玖生に賭けた」FC東京前指揮官アルベル氏、スペインメディアで逸材の抜擢理由を明かす「彼の成長には目を見張るものがあった」

FC東京前指揮官のアルベル・プッチ氏が教え子の若手選手たちについて言及している。

2003年から2014年までFCバルセロナの育成組織(カンテラ)の総称であるラ・マシアでスカウトやコーチ、ユースコーディネーターなどを務めていたアルベル氏。その後、ガボン代表のテクニカルディレクターやニューヨーク・シティFCのアシスタントコーチなどを歴任し、2019年11月にアルビレックス新潟の監督に就任。2021年12月からはFC東京の指揮官を務め、2023年の6月に退任した。

日本で自身初のトップチーム監督という経験を1度終えてスペインに帰国したアルベル氏が、母国メディア『SPORT』のインタビューに応じている。

インタビュアーから古巣バルセロナへの復帰を考えているかとの問いには「短期的には考えていない」と回答。2014年にバルセロナを退団したのは「世界を見て経験を積みたかったから」と理由を明かし、「バルサで働くとしたら、ユースアカデミーの責任者くらいだと思うが、あくまでも中長期的な話」と自身の見解を示した。

バルセロナに携わっていた期間、アルベル氏は現バルセロナの10番であるアンス・ファティやレアル・ソシエダで活躍する久保建英らを発掘。若手の育成に定評のある同氏に対して『SPORT』は教え子についての質問を展開。

今夏に移籍の噂も挙がるアンス・ファティがバルセロナでプレーを続けるべきだと思うかとの問いには「アンスには辛抱強く付き合う必要がある」と移籍には賛成しなかった。

「26歳のサッカー選手の話をしているわけではない。彼はとても若い。我々は彼に背番号10を与え、彼に賭けている。アンスのような選手に忍耐を持たなければ、うまくいかない。たとえ才能があっても、その選手が成功するかどうかはわからない」

そして、若い選手の積極起用については「とても冷静でなければならない」と言及。「メッシの件で、私たちは間違った現実を認識してしまった。17歳でバルサのトップチームに入れる選手は例外だ」と課題を示しながら、レンタルでの移籍で経験を積む必要性を説いた。

「まだトップチームの準備ができていない才能ある選手は、23歳か24歳でバルサに戻ってくるようにコントロールしなければならない。そのためには、選手たちによく説明し、常識的なプランを適用することが必要だ」

アルベル氏は日本での指導者時代にも若手を積極的に起用。新潟時代にはプロ2年目の本間至恩を7ゴール7アシストとブレイクさせ、FC東京では松木玖生を重宝。U-20W杯では日本代表の主将を務めるほどにまで成長した。

若手の成長曲線について「ケースはそれぞれ違う」とし「日本では、私は18歳だった松木玖生に賭けた」と松木を例に挙げたアルベル監督。「彼の準備が整っているのを見たし、彼の成長には目を見張るものがあったからだ」抜擢の理由を説明すると共に、同選手を称賛した。

また「久保建英の例は重要だと思う」と教え子についてさらに切り出し「彼はレンタル移籍最後の年に、以前よりも良いパフォーマンスを見せた。選手の成長を待つしかない」と、改めて結論づけ、アルベル氏が考える若手が成功するために必要な要素を次のように明かしている。

「私たちに許されないのは、ラ・マシアを経た22、23歳のタレントが、その大きな可能性を引き出せないことだ」

「あなた(指導者)を信じず、去ることを決意する人は常に何パーセントかいる。それを受け入れなければならない。でも、もしあなたが彼らに愛情をもって話しかけ、説明したことを実行するなら、選手たちはあなたについてくるし、最終的にはそれが彼らのキャリアにとって良いことだと理解するだろう」

「日本での最後の経験では、選手たちの向上心が非常に強いことも印象に残った」とJでの監督時代を振り返ったアルベル監督は「少し休みたかったんだ。数カ月休みを取るよ」と休養を明言。休養後の去就については「また海外で仕事をすることになるだろう」と予想している。再び日本でアルベル氏が指揮を執ることもあるのだろうか。

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