PIF(サウジアラビア公共投資基金)所有3クラブのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)への出場を巡り、アジアサッカー連盟(AFC)に対して法的措置を検討するクラブがあるようだ。イギリス『ガーディアン』が独占で伝えた。
近年の移籍市場を大きく騒がせるサウジアラビア勢。特にPIFが株式の75%を買収したアル・ナスル、アル・ヒラル、アル・イテハド、アル・アハリの4クラブは、豊富な資金力を武器にクリスティアーノ・ロナウドやネイマール、カリム・ベンゼマなど次々にスーパースターを獲得した。そして今季のACLには、上記4クラブの中からアル・イテハド、アル・ヒラル、アル・ナスルが出場する。
しかし『ガーディアン』によると、同一オーナーが収益に基づいて30%以上を出資しているクラブはACLへの参加が禁止されている。AFCのクラブライセンス規定には、同一オーナーのクラブが「同じ大会へ参加する他のクラブ株主の議決権の過半数」を保有することを禁止していると定めており、規約第16条では「試合や大会の完全性が危険にさらされる可能性がある場合、いかなる方法であっても複数クラブやグループを第三者によって管理することはできない」と記載されている。
同紙は「現時点で禁止事項は『大会及び試合の完全性を脅かす可能性のある重大なリスク』にのみ適用され、禁止事項に抵触しないことを示す責任はクラブにある」と指摘。シティ・フットボール・クラブが保有するムンバイ・シティとメルボルン・シティの場合、今大会では2つの地域に分かれているため、要件を満たしていると理解されているようだ。
しかし、PIF所有3クラブはすべて西地区に所属しており、ラウンド16から対戦する可能性がある。『ガーディアン』によると、AFCは独自の規定を無視した理由を説明するようにクラブへ求めているとしつつ、「東地区の複数有力クラブがAFCとサルマーン・ビン・イブラヒム・アル=ハリーファ会長に対して法的に異議申し立てを行う可能性もある」と伝えた。なおAFCとPIFは、同紙の取材要請に応じなかったという。
■ACLの健全性に疑念が広がる?
なお、サウジアラビアの有力クラブはUEFAチャンピオンズリーグ(CL)への出場を望んでいることが以前から指摘されている。この提案については、ECA(欧州クラブ協会)のナセル・アル・ケライフィ会長が「非常に難しい」と否定的な見解を述べていたものの、幹部陣らは熱心に動いているようだ。
そしてアジア他地域のクラブ間では、サウジアラビアの財政支援とスポンサーシップに大きく依存しているAFCにさらに圧力をかける手段として、サウジアラビア勢が今回のCL参加を「脅し」として利用しているとの見方が広まっているという。
『ガーディアン』の取材に応じた関係者は、サウジアラビア出身のAFC会長アル=ハリーファ氏は2021年の段階で外国枠選手の登録枠を3から5に増やすことを提言しており、「(現在は)サウジを喜ばせるために身をかがめている状況」と語った模様。これらの影響もあり、アジア他地域ではACLの健全性に対する疑念が広まっているようだ。
