Fikayo Tomori Chelsea 2019-20Getty Images

8年前の記憶とともに。バイエルンとの決戦に挑むランパードは今もチェルシーの中心的存在

2012年チャンピオンズリーグ決勝で、これまでで最も重要なトロフィーを手にして以来、フランク・ランパードの逸話は、チェルシーのサクセス・ストーリーとともにあり続けている。

ランパード自らが最高の時に仕立て上げた一日だった。あのときのことはブルーズのファンなら誰もが語り合い、歌い、いつでも思い出すことができる。

チェルシーがプレミアリーグのライバルたちに誇るのはいつだってチャンピオンズリーグのタイトルだ。彼らがスタンフォード・ブリッジへと訪れれば、チャントを持って皮肉られることとなる。

そして今、バイエルン・ミュンヘンに挑むチェルシーは、新たな歴史を残す態勢を整えた。ランパードは監督としてこの最大の試練に立ち向かう。2012年のブルーズは格下扱いを受けていたが、今回もアンダードッグだ。

■伝説を作った決勝

Frank Lampard, Chelsea, Champions League 2012, MunichGetty Images

ランパードは再びチェルシーの一員となってからというもの、過去の出来事を話すことに慎重になっている。しかし、シーズン最高のパフォーマンスを見せた昨年12月のトッテナム戦では、当時の逸話を選手たちに語りかけ、チームを奮い立たせた。そして、ジョゼ・モウリーニョ率いるスパーズをアウェーで2-0と撃破したのだった。当時のチームは今とは全く異なるが、過ぎし日の栄冠が今でも刺激となっているようだ。

CLを制した2012年のチェルシーは今のチームとは全く異なる。ランパードを筆頭にレジェンドと呼ばれる選手たちがキャリア終盤に差し掛かり、ビッグイヤーを戴くことを切に望んでいた。

当時ランパードは33歳、アシュリー・コールは31歳、決勝で出場停止となってしまったがジョン・テリーは31歳、ディディエ・ドログバは34歳であった。チェルシーはアンドレ・ヴィラス・ボアスが指揮を取ったシーズン序盤は壊滅的な状態であったが、後任のロベルト・ディ・マッテオがチームをうまく引き継いでいた。

もっとも、決勝戦は大きな試練だった。

キャプテンのテリーに始まり、ブラニスラヴ・イヴァノヴィッチ、ラウール・メイレレス、ラミレスが出場停止。そこで、完全にはフィットしていなかったガリー・ケーヒルが先発入り。ランパードは、ミケルとともに本職ではない守備的MFとして出場することになった。そして歴史が作られたのだ。

試合は終盤に“ホーム”のバイエルンが先制する。トーマス・ミュラーがヘディングで均衡を破ると、フースバル・アレーナ・ミュンヘンは熱狂のるつぼに。しかし、そんな中でもチェルシーは闘争心を持って食らいつく。それがアディショナルタイムの同点弾につながったのだった。フアン・マタのコーナーキックをドログバが豪快に合わせ、今度はアウェーのゴール裏が燃え上がる。

ドログバは当時について「あんなことをやってのけるとは自分でさえ思っていなかった」と振り返る。しかし、この日の主役は彼だった。延長戦にもつれこみ、PK戦になり、ランパードが沈め、そしてドログバが決めてチェルシーが歓喜をもたらした。

クラブの長い歴史に新たな1ページが記された直後、ランパードは『スカイスポーツ』のカメラに向かってこう叫んだ。

「娘たちに一言言っていいかな? 娘たちは家にいるんだ。チェルシーは世界で一番のチームだったと言ったね。そして今日、まさに僕らが一番になったんだ!」

ランパードの横でプレーしたジョン・オビ・ミケルも特別な記憶となっていることを明かす。

「僕たちはロンドンのチームで初めてCLを制した。そして、これから永遠にチェルシーで初優勝を決めたメンバーなんだ。あのときの記憶はずっと忘れ去られない。ドイツでのあの日の夜のことを覚えているよ。まさにクレイジーだった。ファンのために優勝することができて、最高の気分だった」

チェルシーはミュンヘンへ詰めかけた1万7500人のサポーターの前で35本のシュートに浴び、20回にわたったコーナーキックにさらされた。しかし、耐え抜いた。この日の原動力となったのは、マンチェスター・ユナイテッド相手に負けた、4年前の決勝戦の経験だったのである。そして、今回はは8年前の記憶がカギになるのかもしれない。

■ユース選手が“あのとき”を振り返る

Fikayo Tomori Chelsea 2019-20Getty Images

実際のところ、8年前にピッチに立ち、現在もチェルシーに在籍する選手はただの一人もいない。ランパードは多くの若手をチームに組み入れてきたからだ。だが、彼らはコーバム・トレーニング・センターにあるアカデミーで練習を積んでいるときからチェルシーを応援し続けており、当時の熱狂をサポーターとして知っている。

メイソン・マウント、タミー・エイブラハム、フィカヨ・トモリ、リース・ジェイムズはみな11歳から14歳の間に、家族と共にチェルシーを応援し続けてきた。トモリは自身の生い立ちを振り返り、スーパーヒーローと尊敬していたチームの選手たちが、同僚や友人になっていった過程を『Goal』に語った。

「CL決勝の日は母と一緒に友達の家にいたんだ。日曜日だったから母は午前中に仕事があったんじゃないかな。ハーフタイムになって、自分の家から30分離れたところにいたから、ハーフタイムに車で戻ったんだ。だから後半は初めの30分は見ていないんだけれど、もちろんチェルシーに勝ってほしいと願っていたよ」

「ミュラーが決めて、それからドログバが決めた。それでチェルシーが優勝した。そのときすぐに友人が僕に電話してきたんだけど、彼は電話口でただ叫んでいたのを覚えているよ。チェルシーでプレーしていたから僕は嬉しかったけど、彼はもっともっと嬉しかったみたいだ。次の日友人に会うと、彼はまだ夢見心地だった。僕もそうだったけどね」

「(今はスターに夢中になっているわけではなく)落ち着いた気持ちになっているよ。けど僕と父で初めてチェルシーの試合を観に行ったときのことを今でも思い出すね。文字通り入場ゲートのすぐとなりに座っていて、僕と父はお互い顔を見合わせて『リアルじゃないみたい。本物の人じゃないみたいだ。ロボットみたい』とでも言わんばかりだった」

「当時は非現実的に思えたけれど、今はそういう人たちを毎日のように見ているわけだ。そういう状態になると彼らは普通の人だということが分かるし、今はそれを十分に理解しているよ」

チームのシステムを形成するすべての選手たちや、スタンドにいるサポーターたちは皆同じ思いだ。2012年の再現を――。

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