今季、2008年から10年間を過ごした浦和レッズを離れ、湘南ベルマーレに加わったMF梅崎司。2月23日に31歳を迎えて“ベテラン”と呼ばれる年齢にまで達したが、新天地を選んだ梅崎の心にあったのは、どこまでも尽きることのない向上心だった。
■「移籍の一番の理由は『自己成長』」
浦和で10年間プレーし、良いことも辛く苦しいことも、いろんな経験をしてきました。そんな想いも全部ひっくるめて今年から新しい気持ちで挑戦するために湘南ベルマーレにやってきた。自分自身まだまだ伸びると思っているので、成長し、そしてこのチームに還元できるように頑張っていきたい。
浦和を離れる決断は簡単ではなかったです。みんなが知るビッグクラブですし、そこに10年いてピッチに立ち続けることができた。自分が必死にもがいて悩み、道を探して変化して成長してきたという自負もあるし、自分の引き出しは間違いなく増えている。ケガを何度繰り返しても、出られない時期でも、どんな状況でもたくさんのサポーターの方々に応援してもらっていることをひしひしと感じていましたし、そこのつながりは自分の中ですごく強かった。レッズという素晴らしい環境に10年いられたことに誇りを持っていますし、すごく感謝しています。
ただ一昨年、左ひざ前十字じん帯を損傷し、スタンドの上から若い選手の積極的な姿勢や躍動している姿を見ていたら、すごくシンパシーを覚えた。昔の自分と照らし合わせて、やっぱり俺の人生はそうじゃなきゃ面白くないよなと、自分の本心と向き合うことができ、自分自身もっと成長して高みに行きたいという想いがより強くなってきた。そんな中で湘南さんからオファーをいただき、曺貴裁さんともお会いして話を聞いたときに、自分が求めていることをすべておっしゃってくれた。今回移籍を決めた一番の理由は「自己成長」です。自分が一番気持ちよくなるプレー、ゴールに向かって仕掛けていく自分らしいプレーを純粋に追い求めていきたい。この環境でもう一度本気で、小さいときから思い描いていた、なりたい自分に勝負していきたいという想いでいます。
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また体力面で、昨年は後半戦ほとんど出させてもらいましたけど、基本的には途中出場が多く、求められる役割がその都度違う中で自分をどう表現するかはつねに意識していた。攻撃の部分で自分を見せていきたいという、久々に芽生えた想いでチャレンジする中、短い時間でハードに動くこと、またショートスプリントもロングスプリントも必要とされるところで、自分がフィジカル的に足りていないことをすごく感じた。でもこれはチャレンジしたから分かったこと。もちろんスタメンで出たいし、一方でいろんな役割ができるのも自分のひとつの武器だと思うので、短い時間でもいかに決定的なシーンを演出できるかにフォーカスしたときに、連続性のある動きの中でどれだけ技術を発揮できるかはフィジカルの部分に懸かっている。そのためにはトレーニングしかないと思っていたときに、湘南の練習がきついことは昔から聞いていましたし、そういうチームに行ったらどうなるんだろうとおぼろげに思っていたのもあって、そこもリンクしました。
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■「タイトルをもたらすぐらいのつもりで来た」
湘南は年齢層を見ても若い選手が多いですし、いくらでも成長できるチャンスのある選手が集まっている。みんな真面目なイメージですし、僕も長くプロ生活をやっていて、ここ数年ずっと自分自身のプレーをやりたい気持ちとチームプレーを求める気持ちとの狭間にいた。正直ウェイトはチームプレーのほうが強くなっていて、もちろんそれは大事ですけど、それだけでは自分自身の殻も破っていけないなと気付きましたし、そういう部分をプレーで見せていけたらと思っています。状況によって我を持って自分の軸でプレーすることは、ものすごく大事なことだと思いますね。
僕の中で、湘南の印象は8位になった2015年のイメージが特に強く、90分間フルプレスで走って戦って、奪ってまた前に出て行って、どのチームに対してもアグレッシブさをつねに持っている。強いし、とても魅力的なサッカーだと思っていましたし、決定的な部分を決め切ることができれば、勝星も増えてもっと上に行けるチームだと思っていました。そこを自分が加えていきたいという想いはすごくあります。
個人的な気持ちとしてはタイトルをもたらすぐらいのつもりで来ました。もちろん理想論ばかり言っていてもダメだと思いますし、楽観視したらいけないのかもしれないですけど、選手同士お互いに高め合えれば、いけるんじゃないかなと思っています。まずは自分自身を高めなければいけない。そうすれば自ずと上に行けるというイメージを持っています。
簡単でないことは分かっているし、ましてや簡単にレギュラーを掴めるなんて思ってない。でも自分の素で勝負し、素を出せたときはやれる、絶対やってやるという自信は持っています。超ワクワクしていますよ（笑）。ほんとうに不安がない。まずは自分がやりたいプレーをできる土台をつくり、厳しい練習に耐え、そしてやっぱり、ピッチで楽しみたいですね。
写真・インタビュー・文＝隈元大吾
■梅崎司
1987年2月23日生まれ、長崎県諫早市出身。2005年に大分トリニータU-18からトップチームに昇格。翌年には主力に定着し、日本代表デビューも果たした。フランスでの海外挑戦を経て、2008年から浦和レッズへ移籍。10年間でリーグ戦200試合に出場した。今季は心機一転、湘南ベルマーレへ完全移籍。持ち前のテクニックを駆使し、新天地でも活躍を誓う。
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