■低迷が続くドイツ代表
Getty/Goal無残な結果に終わったワールドカップの後も、ヨアヒム・レーブはドイツ代表の舵を取り続けている。彼はドイツサッカー連盟からセカンド・チャンスを与えられたわけだが、そのチャンスは2014年のワールドカップ制覇に貢献したジェローム・ボアテング、マッツ・フンメルス、そしてトーマス・ミュラーに与えられることはなかった。
その衝撃的な発言は、突如として5日に言い渡された。レーブは同年代のトリオに代表選手としてのキャリアに終止符を打ったのだ。まだボアテングとフンメルスは30歳、ミュラーに至っては29歳といった若さであるにもかかわらずである。
「2019年はドイツ代表にとって新たなスタートを切る年となる」
ドイツ紙『ビルト』がスクープを世界中に報じた後、そう見出しを打った。レーブ自身も「私のプランや考えについて、選手たちやバイエルンの監督に説明をすることが私にとっての重要な責務だった」と語っている。
「彼らは今でもなお、クラブの最前線で活躍し、結果を残すことが保証されているワールドクラスのプレイヤーであることに変わりはない。代表チームでも輝かしい功績を残した偉大なプレイヤーたちだ。彼らはとても長い時間をドイツ代表のためにプレーしたのだ」
「マッツ、ジェローム、そしてトーマスにはとても感謝している。彼らとともに過ごした年月は栄光に満ち、特別であり、何事にも代えられないものだった。しかし、代表チームは今、未来に向けて舵を取り直すことが重要なのだ」
ワールドカップでの屈辱に続き、UEFAネーションズリーグではAリーグからの降格が決定するといった結果を受け、ファンたちも“ディー・マンシャフト”の変革を切望している。そして、その改革は「ほぼ」実現しようとしている。
■ノイアーにこだわり続けるレーブ

「ほぼ」というのは、一つだけ大きな問題があるということだ。その問題は、昨夏にロシア、ワールドカップのメンバーが発表されるよりも前から存在していた。
レーブの人選は、長い間批判にさらされてきた。「選手のコンディションよりもネームバリューで選ぶ」といった声は常にあがっている。
そうした批判に応えるように、ボアテング、フンメルス、ミュラーを今後代表に呼ばないことを決断したようにも思える。しかし、彼はなぜだか代表の最年長選手は残したままだった。昨年11月にレーブが最新のスカッドを発表した際、マヌエル・ノイアーは代表の中で30歳を超えた唯一のプレイヤーであったのだから。
ノイアーはかつて、世界で最も優れたゴールキーパーだった。国際プロサッカー選手会が選ぶベストイレブンに、2013~2016年まで文句なしのNo.1ゴールキーパーとして連続で選出されているのだ。しかし昨年、彼はその賞にノミネートさえされなかった。代わりにゴールキーパー5人の候補に選出されたのは、ワールドカップで不名誉を被ることのなかったドイツ人だった。
マルク・アンドレ・テア・シュテーゲンは、バルセロナでの大活躍によって世界一のゴールキーパーとまで目されるようになった。たとえノイアーがケガによって2017−18シーズンのほとんどを棒に振ったにもかかわらず、レーブがテア・シュテーゲンを正守護神に据えなかったとしても、その評価は変わらない。
テア・シュテーゲンは、自らがドイツ代表のファーストゴールキーパーとしての能力を持っていると自負している。しかし、レーブはその自信を意に介そうとしない。そうでなければ、彼がディフェンス陣やアタッカー陣に下した宣告を、ノイアーだけには言い渡さない理由が思い浮かばない。
テア・シュテーゲンの自信は本人の口からもすでに語られている。まるで頑固な指揮官を説得するように言葉にしているのだ。
「所属クラブで良いパフォーマンスを見せることは、代表でゴールマウスを守ることを要求するための前提条件だ。そう考えれば、僕はパーソナリティとクオリティを兼ね備えており、良いポジションにいるだろう。バルセロナで良いパフォーマンスを見せ続け、コンディションを保つことが重要だ。(ノイアーに対して)プレッシャーをかけていきたい。僕らは良い雰囲気で会話をするし、ゲームについても話をして、お互いにフィードバックもするんだ」
「マヌ自身と、彼がドイツ代表にもたらしてきたものは素晴らしい。彼は大きな大会でもプレーしたし、大きなリスペクトを持っているよ。だけど、だからといってゴールマウスを譲りたいわけではない。過去にも語ったことがあるが、ゴールキーパーのポジションに変化をもたらしたいと考えている。そのために努力を続けているよ」
■テア・シュテーゲンにもチャンスがある
Gettyボアテング、フンメルス、ミュラーを代表から引退させたレーブの決断は、このバイエルン・トリオがかつてほど輝けなくなったことを示す証拠といえるかもしれない。しかし、もし彼らの能力が衰退しているのであれば、当然ノイアーの能力はさらに低下しているといえるのではないだろうか。
ケガから復帰したとはいえ、ノイアーの実力はかつての自分自身に届いていない。今シーズンのスタッツでは、1試合あたりのセーブ数がブンデスリーガの中で最も低く、セーブ率でも下から2番目の数字となっている。
一方のテア・シュテーゲンは、今シーズンのラ・リーガでノイアーの2倍のセーブ数を記録し、クリーンシートの達成数も2番目に多く、2018年のロシア・ワールドカップ以前から続く素晴らしい状態を維持している。これだけ卓越した結果を出しながら、1番を与えられないということは正当に評価されていないことを意味する。
一方で、レーブは最後尾に変化を与えることも示唆し、「今年、私たちは小さなリスタートを切るのであり、マルクはユーロ2020の予選でチャンスを得ることになるだろう」と話す。
「来年の夏にはユーロ本番を迎えるのであり、私たちに残された時間は少ない。どちらのゴールキーパーのレベルも素晴らしいため、今年の間に何が起こるかは分からない。もちろん、マルクにも数試合のチャンスがあるだろう」
しかしながら、ミュラーらのトリオに突如とした決断をわざわざミュンヘンまで訪れて伝えたことを考えれば、テア・シュテーゲンがそのようなチャンスを待つ必要はないはずだ。本当にドイツ代表を生まれ変わらせたいと考えるのであれば、ノイアーにも話をしていただろう。
新生ドイツ代表がお披露目されるのはあと一歩のところまで来た。しかし、それはしばらくの間、「ほぼ」という冠が外れることはない。ときに選手起用に際して意固地な面を見せるレーブが指揮を執っている間はそう断言していいだろう。
文=ロナン・マーフィー/Ronan Murphy
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