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海外キャリア10年を超えた香川真司が語る女子サッカー。「Jクラブがさらなるサポートを」

 日本時間11月21日未明に開幕するカタール・ワールドカップ。大会の公式試合球はアディダスの「アル・リフラ」だ。アラビア語で「旅」を意味するこのボールの多彩なカラーは多様性に富んだ国や人々のアイデンティティを表しており、性別、年齢、人種やナショナリズムに関係なく、あらゆる人々が熱狂するW杯を通じて世界が一つにつながるという思いも込められている。

 2010年7月にドイツ・ドルトムントに移籍して以降、海外キャリアが12年目となる香川真司(シント=トロイデン)。神戸に生まれ、宮城でサッカーを磨き、大阪でプロの一歩を踏み出した。日本、ドイツ、イギリス、トルコ、スペイン、ギリシャ、そして現在のベルギーとさまざまな国でプレーを続けている。2022年4月下旬に開催されたアル・リフラのイベントで女子小中学生選手とプレーした香川に多様性という観点の一つから、女子サッカーについて話を聞いた。【取材協力=アディダス ジャパン】

■欧州では男女ともトップチームがある

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 アル・リフラのアクティベーションでは、JFAとアディダスが進める女子サッカー推進プロジェクトHER TEAMの活動により発足した女子サッカーチーム、上田FCフィリア(長野県)、鴻巣FC(埼玉県)、ボラミーゴ新潟(新潟県)の小・中学生選手たちが参加。香川は35名の少女たちとともにミニゲームを行った。

――今回女子と一緒にプレーしていかがでしたか?

 まずは僕のことを知ってくれていてホッとしました。良かったです。喜んでくれて。僕自身は、女子とサッカーをする機会が初めてに近かったので新鮮でした。小中学生選手でしたが、技術的な高さであったり、繊細なタッチであったり、基礎技術を含めて男子と全く遜色なくて、非常にうまいと感じました。

――日本の女子サッカーでいえば、香川選手は2010年にドルトムントに移籍され、翌11年に女子ワールドカップドイツ大会が開催、なでしこジャパンが優勝します。

 ドルトムント時代に同じドイツで開催された女子W杯、特に決勝(アメリカ戦)は本当に日本サッカー界のベストマッチというか、歴史に残る試合でした。自分も鮮明に覚えています。

――欧州の女子サッカーをどう見られていますか?

 近年のヨーロッパの女子サッカーは環境を含めて変化しているという印象です。クラブの傘下に男子、女子、それぞれのチームがあることが当たり前で、観客も増えてきています。女子チャンピオンズリーグのカンプ・ノウでの試合には、約9万人の動員があったそうですね。注目度は確実に上がってきています。女子サッカー人口が増えたことも感じます。

 日本の女子サッカー選手で言えば、熊谷紗希選手(バイエルン・ミュンヘン)は長い間ヨーロッパのビッグクラブでプレーしていますし、熊谷選手以外にも複数の選手が欧州でプレーしています。日本国内にも少女たちがサッカーをプレーする環境が増えてきていますから、これからもさらに欧州でプレーする選手が出てくるのではないでしょうか。

■欧州で活躍する女子選手たち

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 香川が話すように、今年3月の欧州女子CL準決勝バルセロナ対ヴォルフスブルクでは、9万1,648人の観客が駆けつけた。今季の女子CLは10月からグループステージがスタートしており、熊谷始め、南萌華(ローマ)、岩渕真奈(アーセナル)が出場。11月24・25日にGS第3節を迎える。

――日本は昨年、女子のプロリーグWEリーグがスタートしましたが、女子サッカーが欧州のようにさらに根付くためにはどういったことが必要でしょうか?

 やはり、Jクラブに女子サッカーチームがあることは一つの解決策なのかなと思います。例えばセレッソ(大阪)の男子チームの隣のグラウンドで女子(セレッソ大阪堺レディース)の選手が練習するといったような。練習環境を含めて、同じ意識で男子も女子もサッカーを盛り上げていこうといった形です。Jリーグクラブが、女子サッカーにも力を入れて環境を作ることで、男子のファンも自然と目にするでしょうし、両方の試合を見に行く機会も多くなると思います。

 Jクラブがどんどん女子サッカーをサポートして、男女お互いが高め合って盛り上がってほしいと思います。日本のサッカー界がそういう意識を持って忍耐強くやっていければ、ヨーロッパのような盛り上がりも可能かもしれないですよね。

 香川の古巣であるセレッソ大阪の女子トップチームであるC大阪堺レディースは、23-24シーズンからのWEリーグ参入が決定した。欧州クラブのユニフォーム発表やスポーツブランドの広告などでは、男女のトップ選手が並んでモデルを務めることが当たり前になってきている。日本はまだ、男女両チームの存在が「普通のこと」ではないが、「大好きなクラブのユニフォームを着て戦いたい」という少女たちの選択肢は、少しずつ広がってきている。

【カタール大会公式球「アル・リフラAL RIHLA」】

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取材は、カタール・ワールドカップ公式球であるアディダス「アル・リフラ」のアクティベーション時に行われた。アラビア語で「旅」を意味するアル・リフラを香川は「華やかなボール」と表現した。その多彩なカラーは、多様性に富んだ国や人のアイデンティティを表しているという。カタール大会ではぜひボールにも注目してほしい。

Profile
香川真司(かがわ・しんじ)
1989年3月17日生まれ、33歳。兵庫県神戸市出身。175cm/63kg。FCみやぎバルセロナJrユース→FCみやぎバルセロナユースを経て2006年セレッソ大阪に加入。10年ドルトムント(ドイツ)、12年マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)を経て、13年ドルトムントに復帰。19年ベシクタシュ(トルコ)に期限付き移籍、19年8月サラゴサ(スペイン)に完全移籍。 21年1月PAOKテッサロニキ(ギリシャ)を経て22年1月からシントトロイデン(ベルギー)でプレーする。日本代表Aマッチ97試合出場31得点。

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