鎌田大地はアイントラハト・フランクフルトで確実に定位置を確保しつつある。
今夏の移籍マーケット期間で一時セリエA・ジェノアへの移籍が取り沙汰されていた鎌田だが、フランクフルトのアディ・ヒュッター監督に彼を手放す考えはなく、 それはUEFAヨーロッパリーグの2次予選や3次予選、そしてDFBポカールでの選手起用にも如実に示されていた。
フランクフルトは昨季のブンデスリーガで7位に入ってヨーロッパリーグ予選からの出場を果たしたが、その影響でシーズン始動が早まった中で早期のチーム構築に着手。ブンデスリーガ、そしてヨーロッパリーグを見据えて着々とチーム陣容を整えている。その中でヒュッター監督はプレシーズンから自らが理想とする4バックの導入に踏み切ったが、既存選手の能力や特性を加味したうえで、やはり昨季から採用している3-4-1-2が最適と判断したようだ。
今季のフランクフルトはルカ・ヨヴィッチ(→レアル・マドリー/スペイン)、セバスティアン・ハーラー(→ウェスト・ハム/イングランド)という攻撃の2枚看板を失う中で、絶対的エースのアンテ・レビッチに加えて急成長中のゴンサロ・パシエンシア、そしてヨビッチの後継者としてレッドスター(セルビア)から獲得した20歳のデヤン・ヨヴェリッチらを中心とした攻撃陣形成を目論んでいる。しかし彼らだけでは盟主バイエルンや進境著しいドルトムント、そしてヨーロッパの列強と伍して戦うのは心もとない。そこでヒュッター監督は昨季レンタル移籍先のシント=トロイデン(ベルギー)でチームトップのリーグ戦(プレーオフステージを含む)15得点をマークした鎌田をトップ下に配する戦力強化をプラン立てした。
■鎌田を中心に新たな攻撃陣が誕生か
Getty Imagesフランクフルトのトップ下はこれまでミヤト・ガチノヴィッチがレギュラーとして君臨していたが、ヒュッター監督は鎌田を攻撃の中心軸に据えることでチーム全体のパスワークを活性化させると共に、先述したレビッチやパシエンシアらとの中央打開、そしてサイドに陣取るフィリップ・コスティッチ、ダニー・ダ・コスタというパワフルなサイドアタッカーの攻撃力をも引き出そうとした。そして鎌田は、8月11日のDFBポカール1回戦・ブンデスリーガ3部のSVヴァルトホーフ・マイハイム戦で早くも今季公式戦初ゴールを決めるなどして指揮官の期待に応えた。
鎌田の特長は数多い。まず、彼の安定したボールキープ力はチーム内でも群を抜いている。まだブンデスリーガのゲームをこなしていないので断言はできないが、現状では相手マーカーの圧力にも動じずに足下へボールを収め、かつ反転して前を向いて相手ゴールへ向かえる力強さがある。また鎌田は右足の高精度キックを有していて、左利きのコスティッチと共にセットプレー時のキッカーも務められる。
そしてなにより鎌田には相手守備陣の急所を突く鋭いスペースへの飛び込みと、卓越したボールコンタクト力を駆使したフィニッシュ能力が備わっている。彼の前にレビッチやパシエンシアといったパワフルさを兼ね備えたFWが陣取るのも良い化学変化をもたらすはずで、2019-20シーズン型のフランクフルト攻撃陣は昨季のヨヴィッチ、ハーラー、レビッチが形成した『マジック・トライアングル』とは異なる、新たな融合を果たすかもしれない。
■長谷部もいまだ存在感は抜群
鎌田の存在がチーム内でクローズアップされる中で、フィールドプレーヤーの最後尾で構える長谷部誠もいまだ絶大な影響力を発揮している。
(C)Getty Images3バックの中央に君臨するリベロポジションは、もはや長谷部の聖域になりつつある。ヒュッター監督が4バック変更に踏み切れないのは長谷部を中心とした3バックの守備の堅牢さに加えて、このリベロが機敏かつ迅速に実行する正確無比なビルドアップがチーム全体の勢いを促進させることを十分に理解しているからだ。本来はダブルボランチのジェルソン・フェルナンデスや負傷から復帰したセバスティアン・ローデらがゲームをコントロールする任を負うべきだが、彼らは相手のプレッシャーが激しいミドルエリアでのバトルに苦しみ、後方の長谷部に攻撃起点の役割を託す所作が多々ある。
一方で、長谷部の下支えを受けたフランクフルト・ボランチ陣は味方攻撃陣と近接してアタッキング能力を引き上げようともしていて、ローデなどはその役割に専念することで潜在能力を一気に覚醒させ、今季はドルトムントからのレンタル移籍から完全移籍へ切り替えて純然たる“フランクフルター”としてチームの中軸を担う。
■早くも問題点も…
(C)Getty Imagesただ、すでに始まっているヨーロッパリーグやDFBポカールの各種公式戦の戦いを見ると、フランクフルトの中で長谷部に課せられる守備面での負担が昨季以上に増大しているのは気がかりだ。FCフローラ・タリン(エストニア)、マンハイム、FCファドゥーツ(リヒテンシュタイン)といったチームに対してシャットアウトできたのはファドゥーツ戦の2試合だけ(○5−0、○1-0)。フローラ戦ではホームでもアウェーでも得点を許し、マンハイム戦では先制を許すなどして3失点を喫する中で5ゴールを浴びせて、なんとか下部カテゴリーの相手をねじ伏せている。
フランクフルトの守備が機能しない要因は幾つか考えられるが、負傷から復帰したばかりのローデやレヴァークーゼンから今季加入したドミニク・コールがまだフル稼働できない中で、フランクフルトの中盤が相手の攻撃を受け止めるフィルターとして機能していない点が挙げられる。その結果マルティン・ヒンターエッガーやキャプテンのダビド・アブラアムの両ストッパーが相手攻撃者との対人プレーで劣勢を強いられ、それをフォローする形で長谷部が矢面に立つケースが目立つ。
もちろん長谷部も守備の要として局面勝負に挑まねばならないが、フランクフルトとしては“最後の壁”が打って出る前に相手の攻撃をせき止めたい。今後は昨季のレギュラーだったエヴァン・エンディッカ、またはアルマミー・トゥーレらの若手ストッパーらの台頭によってディフェンス陣の底上げを図り、長谷部には彼の長所を生かした役回りに注力させたいところだ。
また、フランクフルトは8月15日に行われたヨーロッパリーグ3次予選のファドゥーツとの第2戦で今季初めてターンオーバーを敢行した中で長谷部の代わりにリベロを務めたマルコ・ルスが負傷交代するアクシデントに見舞われただけに、特にシーズン序盤は一層長谷部の力を必要とする状況に立たされている。
今季のフランクフルトは昨季と同様にブンデスリーガでの上位進出によるUEFAチャンピオンズリーグ出場権獲得、そして悲願のヨーロッパリーグ制覇の両輪を追い求める。ただ、その選手層の薄さから昨季はシーズン終盤に急失速して勝ち星を落とした。今季もチームの総合力的にターンオーバーが難しい中で、いかに所属選手たちのコンディションを維持して勝ち星を積み上げられるかが鍵になる。ただ、そのようなチーム事情である以上、ブンデスリーガでも希少な日本人選手である2019−2020シーズンの長谷部と鎌田のふたりには、大車輪の活躍が望まれている。
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「※」は提携サイト『 Sporting News』の提供記事です





