ブンデスリーガで7年プレーし、日本代表としても2度のワールドカップを経験した酒井高徳。Jリーグのアルビレックス新潟でトップチームデビューしてからわずか2年で欧州・ドイツへと渡った。シュトゥットガルト、ハンブルガーSV(HSV)では残留争いなど厳しい状況に身を置き、精神力を鍛え、いずれの監督の下でもレギュラーとして活躍してきた
2017-18シーズンではHSVでキャプテンを任されるなど大きな信頼を手にする。日本人選手が欧州クラブでチームキャプテンとなったのは初の出来事だ。なぜ彼はドイツで認められ、活躍できているのか? それは、酒井高徳の中にある「W~ダブル~」の発想によるところが大きい。
本書のタイトルともなっている「ダブル」。ドイツ人の母と日本人の父を持つ酒井はハーフであることを理由に抱いた幼少時代のトラウマを振り返る。人と話したくなかった自分、決して裕福ではなかった家庭。そして、いつしか身に着けた「ハーフ」ではなく「ダブル」という発想。
「ダブル」である自身の生い立ちが選手としての酒井の礎となった。ドイツ人としての身体能力が日本での酒井を助け、日本人としての精神力がブンデスリーガでプレーする酒井を後押しした。どちらが欠けても意味がない。それぞれの人間、「ダブル」が酒井を形成している。
コンプレックスからスタートした「ダブル」を武器にし、選手としての成功を収めた酒井。もちろん、当然失敗も挫折もあった。一人の人間として生きていくうえでの苦しみ、喜び、失敗、成功。それらの経験は、同じような境遇に立たされている子ども、トラウマを抱えている人たちの道標になるかもしれない――あくまでも本人は「おこがましいかもしれないけれど」と断ってはいるが、勇気を与える一冊になるはずだ。
■著者プロフィール
酒井高徳/Gotoku Sakai
1991年3月14日生まれ。
日本人の父とドイツ人の母の間に生まれ、アメリカで誕生。新潟県の三条市で育った。
2009年、アルビレックス新潟ユースからトップチームに加入。
2012年1月、ドイツのシュトゥットガルトへと移籍し、欧州へ初挑戦。2015年にはHSVへと移籍し、古豪でキャプテンを任された。
日本代表には2010年1月に初選出され、2014年ワールドカップブラジル大会、2018年ワールドカップロシア大会と2大会連続でメンバー入り。
ロシア大会後には代表から退くことを発表。日本代表Aマッチ通算42試合に出場した。
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■『W~ダブル~ 人とは違う、それでもいい』
定価:1296円+税
発行:ワニブックス
発行日:2019年3月30日
仕様:四六判/並製/256頁


