マルセイユは3日前の25日に行われたリーグ・アン第25節でパリ・サンジェルマンに0-3で敗れていた。雪辱を果たしたいところだったが、フランス杯での再戦でも、0-3とまったく同じスコアで敗れた。
主将のチアゴ・シウバ、エディンソン・カバーニ、キリアン・ムバッペの3人以外はメンバーを入れ替えたPSGに対し、マルセイユはフィールドプレーヤーの半数が2戦続けて出場した。酒井宏樹はこう振り返る。
「前半からめちゃくちゃきつかったです。僕のサイドもブナ(サール)のサイドも全然守れていなかった。人数が揃っていないからなんとかしのいでいたという感じで。スティーブ(GKマンダンダ)の好セーブもあったし。スティーブ様様ですね。彼がいなかったら0-5くらいになっていたかもしれない」
しかし、1戦目では欠けていたチーム全体でのコレクティブな守備も見られ、PSGがリズムに乗っていなかったこともあり前半は拮抗した展開になる。
「全体的に守備にかなり集中していました。前半を0-0で乗り切れれば何かあるかな、とは思っていましたし。この前の試合は攻めにいって0-3だったので、今回はまず『しっかり前半は0-0で』という守備の意識のほうが強かった。監督ももちろんそうでしたけど、チーム全体としても個人としてもそういう意識はあったと思いますね」
「あとは相手もちょっとリズムが落ちていたのもあります。もっと日曜日はリズミカルだった。ネイマールがいなかったからですかね」
ところが、前半をスコアレスでしのげば後半への期待が広がる展開だった矢先のロスタイム、アンヘル・ディ・マリアに先制点を許す。すると後半、PSGは勢いに乗って追加点。センターバックのアブデヌールのクリアミスを、またもディ・マリアが決めた。
「(2点目のシーンでは)最初、カバーニをエイマン(アブデヌール)と2人で挟むように見ていたんですよ。そしたらカバーニが前に行ったのでマークを受け渡して、ちょっと後ろから前に行けるようなディフェンスの態勢を作っていたんです。(後方にいた)ディ・マリアに対しても。でもボールがエイマンのほうに行った。『大丈夫かな……前のほうを向きながら走ろうかな』と思っていたところへいきなりボールが出てきて。ちょうど前にいた2人の死角に入っていたところへボールがパッと出てきた」
ディ・マリアに拾われたこぼれ球は、虚をつかれた酒井の脇をかすめてゴールに吸い込まれた。
「防ぎたかったですね……あの2点目で全部決まっちゃいましたから。(あの後は)向こうはボールポゼッションしながらやってきて、僕らはまったくプレッシャーに行けなくなったので」
■「欲しいのは休息よりも勝利」

マルセイユはこの11日間で4試合を消化した。加えて2月22日のヨーロッパリーグ・ラウンド32ブラガ戦からPSGとの2連戦まで、3試合続けてアウェーという超過密スケジュールをこなした。しかも、その都度、試合後にマルセイユへ戻り、試合当日の朝に飛行機で移動を繰り返した。結果として後半は明らかに選手の足が止まってしまった。
2失点目を許すと、ガルシア監督は次のリーグ戦に向けて主力温存を選択。フロリアン・トヴァンやルイス・グスタボに替え、プロデビューしたばかりの10代の若手を送りこんだ。
「あの時間帯はチームも崩壊していたので、日曜日に向けて……。若手の選手が思った以上に伸び伸びとやっていたので、それは素晴らしいことだと思います」
「でも、2試合連続でPSGはきついです。0-3で負けたのに、(3日後に)また0-3で負けて0-6というのはきつい。しかも10日で4試合消化したうちの3試合目と4試合目なので。ダービーだし、精神的には『やってやろう!』という気はありましたけど、体がついていかなった」
「0-3というのはダービーの結果ではないし、僕らとしてはホームでやったときの2-2(リーグ・アン第10節)という結果があるので、そのくらいの質で戦いたかったです。だから前半0-0でしのげればチャンスはあると思ったし、非常に残念だと思いました」
「(相手がPSGとはいえ6失点は)言葉にできないくらい悔しいですけど、でも日曜日には次の試合(第28節ナント戦)がありますし、休んではいられない。4試合連続で出てるんで、日曜日は出られないというのはちょっといやですね。『0-3』『0-3』できて、その前もポルトガルで負けているので、勝ち試合が……」
PSGとの1戦目で58分に交代した以外、4連戦中3戦でフル出場と出ずっぱりの酒井。しかし、求めているのは休養よりも勝利の余韻であるようだ。
取材・文=小川由紀子




