2019-12-06-nakagawa-Na Sang-ho©J.LEAGUE

「運命を感じる」。坂田大輔×石川直宏が語り尽くす最終戦。キーパーソンはやはり

 勝点67の首位・横浜F・マリノスと勝ち点64の2位・FC東京。全34試合の集大成はこの日の直接対戦で決することになった。明治安田生命J1リーグ最終節、12月7日・日産スタジアム。横浜FMは4点差以上で負けなければ、FC東京は4点差以上で勝つことにより優勝が決まる。この一戦を前に、『DAZN』のJリーグプレビューショーで、クラブOBの坂田大輔氏と石川直宏FC東京クラブコミュニケーターが対談を行った。2人が展望する一大決戦の行方はいかに?

■この対戦は運命的なもの

2019-12-06-sakata-ishikawa©J.LEAGUE

 アテネ世代や横浜FMの集まりで頻繁に顔を合わせているという二人は、ともに横浜FMユース出身、現役時代は両クラブに所属した経験がある。

坂田「横浜FM、FC東京のどちらにも在籍した選手として、この状況にすごく運命的なものを感じます」

石川「こんなうれしいことはないですね。自分がプロ選手としてキャリアの最初を歩んだF・マリノスを相手に、失うものがない状況で戦える。本当に運命だなと思います。2年前、引退を決意して日産スタジアムのマリノスのサポーターの前で挨拶をさせてもらった思い出もある。新たな歴史をお互いに生み出せる状況の中で、自分が関わっていることが非常にうれしいですね」

 2003、04年の横浜FMの連覇を坂田氏は経験している。当時の指揮官は岡田武史氏で堅守が武器だった。優勝すればトリコロール15年ぶりの戴冠となるが、今のチームは当時とは大きく異なる。

坂田「あの時代(連覇)を知っているのは今、栗原勇蔵一人だけですね。当時のチームはとにかく個性が強かった。チームのまとまりというよりも、個が集合して強かった印象です。チームのスタイルも堅守が武器で1-0で上にたどりつくといったイメージで。でも、今はよりチームとして攻守にまとまっていますし、スタイルも攻撃的です」

石川「マリノス、FC東京とも監督が代わって2年間積み上げてきました。タイプ的に真逆とまでは言わないですけど、本当に色が強い。この2年の対戦ではお互いの特長をガッと出し合う殴り合いのような展開になっています。マリノスは結果が出なかった時期もあって『このサッカーでいいのか』と迷う部分もあったと思うんですけど、それを貫き通した。その結果、今がある。そんな相手に対して僕たちも積み上げてきたものを全力で出す。ガチンコの試合になると思います」

坂田「ナオが言ってくれたとおりですね。マリノスは1点取ったら立場はすごく有利になりますね。でも、FC東京がしっかり守ってカウンターを発動して先制点を奪えば、マリノスはピンチも多くなるだろうし」

 勝ち点差『3』と得失点差『7』。横浜FM側から見れば大きなアドバンテージがあり、FC東京は4点差で勝たなくてはならない。ではこの状況で選手はいかに試合に臨むのか?

坂田「こういう条件だと、まず失点しなければいいという考えになると思うんですが、ポステコグルー監督は一切そのスタイルを持っていないんですよ。自分たちのサッカーを貫き通すことしか考えていません。選手もそれにしっかりついていっています。失点しないようにという入り方は絶対にしないと思います」

石川「もうやるしかないですね。僕はFC東京でプレーしてきたなかで、一つになってやり切る強さや雰囲気、一体感を何度も感じてきました。今回はこういう状況を自分たちで“作ってしまった”とも言えるし、こういう状況を自分たちが“作れる”という捉え方もできます。やるべきことはハッキリしています」

■6万人を超える観衆の中で

2019-12-06-sakata-ishikawa©Goal

 横浜FMにとっては15年ぶりの、そしてFC東京にとっては初のJ1制覇が懸かっている。戴冠することの意義はそれぞれに大きい。

石川「自分が言うのもなんですが、やはり首都・東京のクラブがチャンピオンになる意味は非常に大きいと思っています。東京という都市の価値や首都を背負う責任もクラブにはあります。また、クラブだけを見ても、優勝を経験して日本からアジアに、さらに世界という上で、一つのターニングポイントになると思っています。

 そして、この圧倒的に不利な状況で勝ち獲るタイトル、それは誰も見たことのない景色になるとも思うんです。その景色をみんなで見たい。実現すれば、その景色を見続けるための基準がクラブの中にできると思います。その基準を持って戦い続けていける。クラブの歴史を積み上げていける。自分たちが今までできていなかったことですから、本当に大きな挑戦ではあるんですけど、そこを狙う価値は十分にあると思います」

坂田「僕は横浜で生まれて、横浜で育って、マリノスのアカデミーでサッカーをプレーして、優勝を経験しました。そういう素晴らしい経験をしたことは僕の人生にとって誇りとなっています。だから、今いる選手たちにもそういう経験をしてほしい。優勝してその喜びを、選手にも、ファン・サポーターにもみんなに感じてもらいたいですね」

 チケットは完売し、7万人近い観衆が詰めかける。J1リーグ歴代1位の観客動員が見込まれるこの一戦。現役を退いた二人ゆえに、ピッチで戦うことができる選手たちに期待するものがある。

坂田「純粋に楽しんでほしい。長いJリーグの歴史の中でもこんなに舞台がそろっているのは初めてだと思います。みんなが築き上げてくれたものです。7万人近い観衆の中でプレーできるなんてサッカー人生の中で数えるほどしかない。そんな大舞台で優勝できる。まずは楽しんでいつものサッカーを貫き通してほしい」

石川「選手たちには今まで積み上げてきたものを出し尽くしてほしい。人生を懸けてFC東京の誇りを持って出し切ってほしい。スタッフはもちろん、ファン・サポーターの皆さんの力強い後押しがあると思うので、自信を持って堂々とチャレンジしてほしい。そして、出し切った上の結果、その中で次のチャレンジを続けていければ。今年最後の試合になりますが、次の人生やFC東京の歴史につながる試合だったと振り返ることができるような、出し切る姿を求めていきたいと思います」

■この一戦のキーマンは…

2019-12-06-nakagawa-Na Sang-ho©J.LEAGUE

 横浜F・マリノスは扇原貴宏が出場停止。一方、4点を奪わなくてはいけないFC東京は、室屋成が出場停止であり、前節・浦和レッズ戦で負傷交代した2トップ、ディエゴ・オリヴェイラと永井謙佑の出場が危ぶまれている。耳目があつまるこの一戦でキーマンとなるのは?

坂田「僕はテル(仲川輝人)です。攻守に貢献できる選手で、ここまで得点ランクトップタイの15得点を挙げています。前節のフロンターレ戦でも、チャンスは作れているのに、なかなかゴールを奪えずにいる中で、貴重な先制点を奪ってマリノスに流れを持ってきた。ゴールを奪えてアシストもできる相手にとって怖い選手。フロンターレ戦もテルにボールが入ると相手の守備陣形が崩れてきたんですよね。FC東京もテルに対して策を講じて来ると思いますが、調子もいいし最後もゴールを奪ってくれると思います」

石川「サンホ(ナ・サンホ)かな。彼は韓国代表で、チームの中心でやっていくというイメージを持って加入してくれたと思うんですが、ここまで途中出場が多かった。途中出場が多いながらも、自分のやるべきことをしっかりと出そうとする姿勢でプレーしていました。でも、途中出場の難しさを感じることもあると思うんですよね。特長を出せなかったり流れに乗れなかったり。すごく悩んでいる姿を見てきました。

 でも、この間の浦和戦で途中から出てきてリズムを変えてくれました。それはインス(ユ・インス)も田川(亨介)もそうでした。浦和戦では途中出場の選手が活性化してくれた。前線の並びはどういう形になるかは分からないんですけど、どういう形になってもゴールに向かって最後まで戦い続けてくれると思います。その姿勢に期待したいです」

27年目の王者を決める戦い。横浜F・マリノスvsFC東京は、明日12月7日14時に日産スタジアムでキックオフの時を迎える。

▶Jリーグ観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

【関連記事】
DAZNを使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
DAZN(ダゾーン)をテレビで見る方法7つを厳選!超簡単な視聴方法を紹介
DAZNの2019年用・最新取扱説明書→こちらへ  ┃ 料金体系→こちらへ  ※
【簡単!】DAZNの解約・退会・再加入(一時停止)の方法を解説  ※
【最新】Jリーグの試合日程・放送予定一覧/2019シーズン
Jリーグの無料視聴方法|知っておくと得する4つのこと
「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

Goal-live-scores
広告