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迷宮に入り込んだ名古屋。今季初の剣が峰・勝ち点2差の清水戦で光は見えるか?

 今季開幕当初の破竹の勢いから急転直下、残留争いに巻き込まれている風間グランパス。13日の金J・明治安田生命J1第26節で、13位・清水エスパルスと対戦する。その勝ち点差は「2」。この一戦が今後を大きく左右することは間違いない。【取材・文=齋藤孝一】

■気づけば残留争いの真っただ中

 4月、関東に遠征した時に馴染みの編集者からこう言われた。

「グランパスが優勝したらうちも特集号を出すのでよろしくお願いしますね」と。

以下に続く

 その試合でグランパスは手痛い逆転負けを喫していた。しかし、試合前ならともかく試合後にそう言われたことで、今年の名古屋の強さは本物だ、周囲もそれを認めているのだと思った。その後もホームではがっちり白星を掴み、アウェイでもしぶとく勝ち点1を得る盤石な戦い方を見せる。順位も2位に付け、来年のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)用にパスポートを更新しておかないと、などと余計なことが頭をよぎった。

 そう、まさに「捕らぬ狸の皮算用」だった。

 第13節松本戦(5月26日、0●1)。それまで無失点で5戦全勝と完璧な戦いを見せていたホーム戦を落とし歯車が狂った。ほとんどボールを保持しゲームをコントロールしていたにもかかわらず、一発のカウンターに沈んだ。直前のJリーグYBCルヴァンカップでエースFWのジョーが負傷し欠場したことも響いたが、相手に完全に分析され、その対策を上回れなかったことが大きかった。

 その後、名古屋は迷宮に入り込むことになる。第12節の川崎フロンターレ戦から10試合勝ちなし。第22節にそのフロンターレに3-0で勝利し一息ついたものの、第23節はアウェイで松本に引き分け、第24節・横浜Fマリノス、第25節・FC東京と上位に連敗を喫した。気が付けばJ1参入プレーオフの16位とは勝ち点差が「4」、J2自動降格となる17位とは勝ち点差「7」。優勝争いどころか、今年は大丈夫と思っていた残留争いの真っただ中である。

■ここまで調子を落とした理由

 ここまで名古屋が調子を落としてしまった理由の一つが、負傷者の連鎖だと言えるだろう。Jリーグカップでのジョーのケガに続き、17節からはDFの要でキャプテンの丸山祐市が、さらに20節からは中盤でボールを奪い取る役目を果たしていた米本拓司をケガで欠いた。「一人の選手に頼ったチーム作りはしていない」と風間八宏監督は言うが、実際に替えの効かない選手が揃って離脱してしまった。

 さらに去年は大成功を収めた夏の補強が上手くいかなかった。課題のジョーの相棒問題では、意中の選手との商談は成立せず、なぜか比較的戦力が揃っているポジションの選手を獲得した。しかも計算できるバックアッパーだった櫛引一紀や小林裕紀、金井貢史などが揃って移籍。チームの雰囲気を明るくしていた菅原由勢はオランダに巣立ち、劣勢の試合の流れを変えられる駒も失った。序盤の破竹の勢いは消え失せ、一向に好転しない、もどかしい時間が続いている。

■カギは中盤の構成。米本、それともネット?

2019-09-12-nagoya-Schmidt©J.LEAGUE

 今節、9位の名古屋グランパスが対戦するのは清水エスパルス。13位だが勝ち点差は「2」と負ければ順位が入れ替わる直接対決だ。グランパスにとって今季初の剣が峰と言えるかもしれない。

 5月以降、大殺界のような苦しい時期が続くが、ここに来て急にかすかな光も見え始めた。今週の練習から右ひじの靱帯を痛めていた米本が本格復帰。昨年末に負ったケガで離脱していた青木亮太も全体練習に入れるようになった。

 清水戦の出場について風間監督は「青木はそう簡単ではないが、米本は以前もずっと試合に出ていたしコンディション次第」だと出場に含みを持たせた。もし米本が復帰すれば、課題のカウンター対策にも大きな影響があることは間違いない。持ち味である切り替えの速さと献身性はディフェンスラインの助けとなり、高い位置で奪い切れば攻撃力のアップにも当然つながる。いなくなって余計に米本の存在の大きさが理解できた。

 その米本が復帰となると、スタメンがどうなるかも興味深い。

 公開された10日の練習で米本は控え組のボランチだった。主力組はジョアン・シミッチとエドゥアルド・ネットのコンビ。風間監督は、FC東京戦前半のジョーを狙ったエドゥアルド・ネットの縦パスに、「あれは誰も見えていない」と、ネットに高い信頼を寄せており、序盤の快進撃の時のようなジョアン・シミッチと米本のコンビが復活するかは微妙だ。

 一方で風間監督は「米本は、とにかくチームを勝たせたいという姿勢がみんなに伝わる選手。彼が入ることで周りも変わる」と米本への高い評価も語る。ジョアン・シミッチも全試合出場中で、中盤の組み合わせが清水戦のカギを握ることになるだろう。米本は「早く試合に復帰したいという気持ちはあるけど、メンバーは監督が決めること。スタメンになれば一生懸命やりますし、なれなくてもチームに貢献できるようにやるだけ。焦ってはいないし、自分のやれることを見つけて勝利に貢献できれば」と、ベテランらしく淡々と答えた。

 序盤の快進撃からは考えられない残留争いの直接対決。中谷進之介は「これからは良いサッカーをするのはもちろんだが、勝たないと意味がない」と、強い危機感を口にする。負けることは許されない金Jのエスパルス戦。グランパスにとって今後を左右する大きな一戦となる。

取材・文=齋藤孝一

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