「蹴りを食らわしてきたのは一度じゃない」感情的過ぎるガットゥーゾにミランの未来を託せるか?

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ヴィンチェンツォ・モンテッラを解任したミランは、ファンのお気に入りであるガットゥーゾを後任に指名した。しかし、彼の監督としての資質には疑念が持たれている。

ジェンナーロ・ガットゥーゾがまだ10代だった頃。彼はアンドレア・ピルロのプレーを見て自身の能力に不安を覚え、サッカーをやめることを考えたという。幸運なことにガットゥーゾはその後もプレーを続け、イタリア代表でもACミランでも、ピルロの横で素晴らしく、成功に溢れたキャリアを楽しんだのだった。

ガットゥーゾはプレーメーカーにとっては完璧な引き立て役であった。中盤の見張り番として、相手の攻撃を遮断し、ボールを奪い返し、できるだけ早くピルロに渡すのが彼に課された第一の役割だ。

最近はピルロの芸術性もガットゥーゾの献身性がなければ不可能だったのではないかと言われている。しかし、これに対して当の本人は「意味のないことを語るな!(チョコレートペーストの)ヌテラとクソを混同させるんじゃない!」と一蹴した。

ガットゥーゾは素晴らしいミッドフィルダーであり、2度のセリエA優勝と2度のチャンピオンズリーグ優勝を経験して、サンシーロですばらしい14シーズンを過ごしたのだ。

ところが今疑問なのは、彼が“ミランの監督として”良い監督かどうかということである。

Gattuso PS

■指揮官としての手腕は…

ガットゥーゾはミランのプリマヴェーラ(下部組織)で仕事をしており、そこでの目的は今回ガットゥーゾに代わってミラン監督を退任したヴィンチェンツォ・モンテッラから学ぶことであった。

「モンテッラは優れた監督なのだから、彼のアドバイスにはしっかり耳を傾けたい」

当時彼はそう強調していた。

しかしながら、それまでの監督としてのキャリアが素晴らしいものではなかったこともあり、プリマヴェーラを率いることを快く歓迎されてはいなかったことも事実。パレルモではセリエBのわずか6試合を率いただけで解任され、その前には、スイスのシオンで選手兼監督を務めていたときもわずか3カ月しか続かなかった。

その後、ギリシャのOFIクレタを率いたが、クラブは財政面の問題で破綻しており、正式に監督に就任した後に、一度辞任したことがある。当時、ガットゥーゾは選手達に食事を提供することもできないほど金がないと主張していた。

しかしその翌年、ピサの監督に就任しイタリアに戻ってからは、チームをセリエB昇格に導いていて、はるかにいい仕事をしていたと言えよう。クラブの財政的事情で昇格決定からわずか1カ月後に彼は辞任したのだが、その2カ月後には監督の座に復帰するというドラマティックなUターンを果たした。

Gennaro Gattuso Sion

Gennaro Gattuso Palermo

Gennaro Gattuso Zamparini Palermo

だが、ここでの問題はピサの財政的な問題が収束していなかったことだ。財政面での基準がクリアされていなかったため最終的に降格することになったシーズンで、チームは勝ち点4剥奪というペナルティを受けていた。

しかしその時すでに、彼は心のふるさとであるミランに戻り、プリマヴェーラを指揮することを決めていた。

5月には「後退ではない。正しい選択だと思っている」と主張していた。

■挙がる不安は?

いずれにせよ、彼がトップの監督にふさわしいかどうかはこれから判断されることになろう。だが少なくともミランのCEOを務めるマルコ・ファッソーネとSDのマッシミリアーノ・ミラベリは、短い期間ながらガットゥーゾのプリマヴェーラでの仕事ぶりに感銘を受けており、彼の就任はよりパッション溢れるプレーを求めるファンからも好評であった。

心配事を挙げるのであれば、彼が感情的過ぎる監督であるという部分だろう。実際、彼は一度「選手をいつも守るというのは良いことではない」という議論を巻き起こし、選手に手を出したこともある。

しかしユヴェントスのスター選手であるパウロ・ディバラは、パレルモ時代の練習中に蹴りやパンチを受けながらも「ガットゥーゾは自分を育ててくれた」と信じている。

「ガットゥーゾはいかに相手の攻撃をかわして自分のポジションを取るかというアドバイスをいつも僕にくれていたんだ。自らをどのように守るかを教えるために、彼が僕に蹴りを食らわしてきたのは一度のことじゃない。そういう点でガットゥーゾは非常に助けてくれたんだ」

ディバラのコメントを聞くと、厳しい態度で接することが時にうまくいくこともあったのだと考えさせられる。

Gennaro Gattuso

Gennaro Gattuso AC Milan Cartoon

■“熱血指導”は裏目に出るか

だが、過去3年で7度の監督交代が起きているミランでは、より繊細なアプローチによる指導が求められている。この不安定な時期にガットゥーゾのような感情的な性格の監督を雇うことがよい判断だとは思えない。それはまるで火に油を注ぐようなものだ。

しかし、彼はクラブの失態も含め、ミランというチームをよく分かっている。

「マンチェスター・シティやパリ・サンジェルマンには歴史がないけど、ミランには深い歴史があり、それはまるでユネスコのようなものだよ。でもミランにはプランニングというものがないんだ」

2年前、ガゼッタTVのインタビューでガットゥーゾはそのように話していた。

「ファンにははっきりと説明することが重要だ。彼らは若手選手について話しているけれど、ミランの若い選手はレンタルされているか、放出されてしまっているんだ。それに私がいた時のミランのロッカールームでは、ルールというものを尊重していた。今のミランにはそれが欠けているね」

そして、自身の立場に関してはこう続ける。

「偉大な選手が偉大な監督になるとは限らない。失敗から学ぶことも必要だが、今日では信頼できる存在でなければならないね。選手達は待ってはくれないんだ。自分たちがしていることが正しいのかを選手達は知りたいんだ。一度でもしくじってしまえば、それは終わりを意味するよ」

ミランとガットゥーゾの挑戦は始まったばかり。その“終わり”が早く訪れないことを、ミランファンたちは願ってやまない。

文=マーク・ドイル/Mark Doyle

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