2017-06-04-cerezo-yoichiro kakitani(C)Getty Images for DAZN

若手が世界を体感する貴重な機会…J1で快進撃を続けたいセレッソ大阪

最近J1・3連勝で勝ち点25の3位まで順位を上げてきたセレッソ大阪。首位・柏レイソルとの勝ち点差はわずか2で、2011年J1を制した柏レイソル、2014年国内三冠達成のガンバ大阪のように、J2昇格1年目でのリーグタイトル獲得も現実味を帯びつつある。今季から指揮を執る尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督は「まだまだチームは成長段階にある」と繰り返し強調しているが、トップ下にコンバートされた山村和也の覚醒、4年半ぶりに古巣復帰した清武弘嗣の復調など、チーム全体に好循環がもたらされているのは間違いない。

そんなセレッソにとって、さらなる飛躍の好機になりそうなのが、7月17日にヤンマースタジアム長居で開催される「StubHub ワールドマッチ2017・セビージャFC戦」だ。

ご存知の通り、セビージャは清武が今年1月まで在籍していたスペインの強豪。ホルヘ・サンパオリ監督が率いた今季はリーガ・エスパニョーラとUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)というビッグトーナメントを掛け持ちし、前者はレアル・マドリード、バルセロナ、アトレチコ・マドリードに続く4位。後者は岡崎慎司所属のレスターにラウンド16で苦杯を喫したが、彼らの実力を国内外に改めて示したのは事実だろう。

「今季のチームはサンパオリと(ファン・マヌエル・)リージョが一緒に指導をしている感じで、すごい戦術的なサッカーしている。それを細かく理解できないと大事な時に使ってもらえないし、緊迫したゲーム展開の中に入れない。難しさはあります。

サミール(・ナスリ)とスティーブ(・エンゾンジ)を中心にボールが回ってますけど、ホントに個人個人のレベルが高い。スペインの選手はパスを出したら、絶対1人ではがすか、1回こねる。その時にみんながポジションを取り直すんですけど、ドイツとか日本でやってた感覚だとパス来たらダイレクトではたいて動き直すというのが普通なんだけど、それをやるとボールロストにつながってしまう。そういったスタイルの違いにも適応していかないといけない」と清武はセビージャ時代に語っていたことがある。日本人屈指の技術を誇る彼でさえ思うようにならないことが多く、満足に試合に出られなかったのだから、セビージャがどれだけハイレベルな集団かが分かるだろう。フレンドリーマッチとはいえ、セレッソはそんな強豪に真っ向勝負を挑まなければならないのだ。

ただ、新シーズンに向けて、セビージャ側の陣容には多少の入れ替わりがありそうだ。まず指揮官のサンパオリがアルゼンチン代表監督に就任し、チームを離れてしまった。それに伴い、主力級の移籍も出てきそうだ。清武が名前を挙げたナスリやエンゾンジの去就が流動的なのはもちろん、今季チーム最多の11得点を挙げたウィサム・ベン・イェデル、8点のパブロ・サラビア、3位のビセンテ・イボーラらの動向もはっきりしない。

「7月の日本遠征にサミールもスティーブもいるかどうか分からないし、他のメンバーも若くて優秀なんで、引き抜かれる可能性はありますね。その時期、欧州クラブはキャンプ中なんで新たな組織を作っている段階。どういうチームになるのか気になりますね」と清武も興味津々の様子だった。今季とは一味違ったセビージャを生で見られるのは日本のサッカーファンにとっても大きなチャンス。それを逃す手はない。

セレッソの選手たちにとっても、日頃は戦えない海外トッププレーヤーと同じピッチでマッチアップできるのは意義深いことだ。

「若手からしたら、世界を身近に感じるチャンス。セレッソには有望な若手が沢山いますし、彼らには機会を大事にしてほしいですね。僕らにとってもやっぱり勝負事なんで勝ちたいですね。こっちがシーズン中、相手がプレシーズンであろうが、試合させてもらえることはホントに有難いこと。僕も全力を尽くしたいと思います」と清武は改めて奮起を誓った。

今年2月にJリーグに復帰した後、相次ぐケガもあって6月の日本代表2連戦(7日=シリア戦、13日=イラク戦)のメンバーから漏れてしまった清武。だが、本人は「代表は入れ替わりが激しいし、僕が外れて新しい選手が入ってきたり、誰かが外れてまた新しい選手が入ってきたりとかは普通なこと。代表に定位置ないと思うんでまず俺ははセレッソでやるしかない。全ては自分次第」と気持ちを新たにしている。

ドイツ・スペインでタフに戦い抜いてきた彼も国際試合からしばらく遠ざかっているだけに、このセビージャ戦で屈強な外国人と対峙する感覚を取り戻したいところ。それはスイスの強豪・バーゼルから復帰して1年半が経過した柿谷曜一朗、2012年ロンドン五輪準決勝進出メンバーの山村、杉本健勇らにとっても共通する点である。セレッソの選手1人1人が世界を体感し、より高いものを求めていく意識を高めるためにも、セビージャとの貴重な一戦を最大限有効活用してほしいものだ。

文=元川悦子

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