10月27日の夜、U-17日本代表が世界のサッカーシーンに与えた衝撃は決して小さなものではなかった。クレーベル・アンドラーデ・スタジアムにて実現されたのは、欧州王者オランダに対する3-0の勝利。その数字だけでも驚きだろうが、結果のみならず試合の内容面でも日本の完勝だった。
FW若月大和(桐生第一高校)とFW西川潤(桐光学園高校)の2トップは間違いなく今大会で最も輝いた前線のデュオだった。若月が2得点1PK奪取、西川が1得点2アシストという結果を刻み、日本を大勝へと導いた。
こうした結果に対する勝因を一つに限定するのは難しいだけでなくナンセンスではある。ただ、いくつか挙げておくことはできる。
©Hiroyuki Sato■入念なオランダ対策
まず一つは何と言ってもチームとしての組織的な守備が機能したこと。[4-2-3-1]のスタート時の立ち位置から「3バック+1アンカーの形になってビルドアップしてくる」(森山監督)オランダのビルドアップへの対策は、ブラジル入りしてから入念に実施してきた。
特に右MFの成岡輝瑠(清水エスパルスユース)、左MFの三戸舜介(JFAアカデミー福島U18)の位置取りが秀逸で、オランダの選手を巧みにけん制しながらミスも誘発し、ボール奪取にも成功した。
「成岡や三戸が(相手選手と選手の間に立つ)中間ポジションを取って両方を観ながら、(ボールに対して)行く・行かないの判断を後ろからの声掛けをもらいながらやってくれた」(森山監督)
ヨーロッパで大量得点を重ねてきた相手に対してパーフェクトな守備はもちろんあり得ないのだが、急所は確実に抑え、前半立ち上がりの時間帯を除けば、ほとんどチャンスを作らせなかった。入念なスカウティングと戦術的な準備に裏打ちされたチーム一丸の守りは、間違いなく勝因の一つだった。
■「若月大和」の存在
そしてもう一つ、何と言っても若月の存在を無視することはできまい。森山監督が昨年発掘し(しかしアジアの予選における特殊なルールによって招集はできず)、今年になってチームに加えたとっておきの個性。指揮官は「彼のような選手は日本のDFを相手にするよりも、欧州や南米のDFを相手にしたときのほうがきっと輝く」と予言していたし、実際にU-17アルゼンチン代表(1軍ではなかったが)との試合でのハットトリックなど、準備段階でもその才能は証明されていた。
何と言っても、圧倒的に速い。単純なスピードもそうだし、若月は感覚的にも明敏で、ボールが出るかどうかというギリギリのタイミングで誰よりも素早く動き出しを始めている。DFのいないほうを選択する方向選択も巧みで、この日の1点目などは若月の個性がよく現れていたように思う。
もう一つが献身性で、とにかく止まらない。単純にスタミナがあるというのはもちろんそうだが、もっと強烈なのはメンタリティの部分だろう。
「出し手を信頼して僕は走るだけなので。どんなボールが来ても、そこに向かって自分は走る。その覚悟を持ってやっている。良いボールじゃなくても良いボールでも、自分は信じて走るだけ」(若月)
よく言われる「日本人が世界と戦う上での武器は何か」といった問いに対する一つの回答例だったかもしれない。若月は「スピードを活かし、信頼関係で出せるのが日本の武器」と明言する。西川との「あうんの呼吸」としか言いようのないギリギリを突く連係は、確かにちょっと特別なものを感じさせた。
「(西川)潤がボールを持ったら、たとえ出なくても、何本でも走って、点を取れるまで走ろうかという感じですね。自分は(パスが)出てくるまで走り続けようと思っていた」
一種のピュアネスすら感じさせるコメントだが、実際のプレーぶりもまさにこの通り。常に危険なタイミングで裏を狙っての動き出しを続けるスプリンターに対し、オランダのDFは確実にそのポジションを押し下げられ続け、結果として日本のボランチや西川が活用するスペースを中央に提供することともなった。
2つのゴールに関しては単なる速さだけでなく、動き出しを含めた戦術的な要素、パスを受けてからのボールタッチ、シュートの質の高さという技術的精度の高さも当然言及されるべきだろう。ただ、その根底にあるのは「信じて走る」、「信じて出す」という関係性であり、「潤ならここで出してくれると思った」という瞬間的に生まれる呼吸のような関係性である。
二人は別のチームでプレーしている選手であり、育成されてきた環境の接点も乏しい。そして代表チームで一緒にやったのは、西川が今年9月まではU-20代表を優先してこの年代のチームに参加していなかったため、ほとんどなかった。西川も大会前に「実は一緒にやったことがほとんどないんですよね」と笑っていたが、「必ず動き出してくれているので、本当にパスが出しやすい」とも語っていた。この短い時間で、「あうんの呼吸」を成立させられたこと自体が彼らの能力とも言えるかもしれない。
■大一番で底抜けの明るさ
©Hiroyuki Satoそして何より、このチームは大一番に際しても底抜けに明るかった。試合前からロッカールームはお祭り騒ぎだったそうで、「『お前らもっと緊張しろよ』と言わなくちゃならないくらいだった」と森山監督は苦笑を浮かべる。もっとも、その監督が前日練習から自分がピエロになってまだドカンドカンと笑いを取っていたのだから、そのカラーが反映されたと観るのが妥当だろう(つまり、監督のせい)。
「いまW杯に参加している選手たちの中で一番、自分がこのW杯を楽しめている自信があります」(若月)
「選手たちはボロボロになるまで走ってくれた」と森山監督は言っていたし、実際に引き上げてきた選手たちの様子を観るとそのとおりだったのだと思う。ただ、そこに一切の悲壮感はなし。
指揮官は試合前にリバプールのクロップ監督の言葉を引用し、「90分が終わったあと『もう試合はこりごり』と言いたくなるくらい走れ」と言ったそうだけれど、ニコニコ顔で試合を振り返る選手たちから、そんな言葉が出てくる様子は微塵も感じられなかった。
取材・文=川端暁彦
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