2019-11-28-Thomas_Vermaelen_Kobe©Tomoya Saito

「良いところは技術とスピード、改善点は」フェルマーレンが語る日本そしてJリーグ/インタビュー

 4人目の元“バルサ”。この夏、ヴィッセル神戸に加入したベルギー代表DFトーマス・フェルマーレン。アヤックス育ちで、アーセナル、バルセロナでもプレーした。その実績はピッチ上でのプレーを見れば一目瞭然。神戸の守備も安定した。Goalでは来日して3カ月あまり経ったフェルマーレンにロングインタビューを実施。前編は、移籍の経緯と日本そしてJリーグへの印象、ロストフでの日本代表戦について話を聞いた。【聞き手=小野慶太/写真=齊藤友也】

■日本人選手との関わりを大事にしたい

2019-11-28-Thomas_Vermaelen_Kobe©Tomoya Saito

――7月27日に加入会見を行い、3カ月が過ぎました。日本での生活はいかがですか?

 良い感じです。適応もうまくいきました。親切に助けてくださるかたばかりなので、住みやすく、生活に順応できていると思います。クラブのスタッフはもちろん、選手も本当にフレンドリーなので、良い感触ですね。

――神戸という街の印象は?

 すごく良い街です。それほど大きくはないので移動もしやすいですし、ヨーロッパ的なところもたくさんあります。でもすごく日本らしいところもあって、それがうまく混ぜ合わさっている印象です。神戸のいろんなところを訪れたんですけれども、これからもこの街をもっと知っていきたいですね。

――訪れて感動した場所などはありますか?

 散歩でけっこう周っていますが、観光で訪れたというわけではないので。今はチームへの適応にフォーカスしているのもあるのですが、慣れてきたら神戸を含め神戸の外も、もっと観光で訪れたいなと考えています。

――オフはどのように過ごしているのですか?

 近所に散歩に出たりすることが多いですね。あとは東京に一度、観光で行ったこともあります。でも、休みが重なる時に代表戦(ベルギー代表)に行っていることも多いので、あまり多くのことはできていないですね。オフによってはしっかり体を休めてリカバリーしたい日もありますし、そういう日はゆっくり過ごしています。

――アンドレス・イニエスタ選手らチームメートと一緒に出かけることもありますか?

 アンドレスとはまだ行ったことはないんですが、サンペール(セルジ・サンペール)とはいろんなレストランに行っています。あとは日本人選手とも関わりたいので、彼らとも食事に行きます。家族が来た時にどこがおすすめかといったレコメンドを聞いたりしています。日本人選手との関わりはもっと大事にしていきたいと思っています。

――サガン鳥栖のイサック・クエンカ選手のインスタグラムで、フェルーマーレン選手、サンペール選手が肩を並べて記念撮影されている姿がアップされていました。

 サンペール選手とクエンカ選手が仲が良いんです。私がサンペール選手と東京に行ったとき3人で撮影しました(笑)。彼(クエンカ)がアヤックスでプレーしていたのを見たことはありますが、一緒にプレーしたことはなかったので、彼と会ったのはそれが初めてでしたね。

■古橋は注目されて当然の選手

2019-11-28-Vissel_Kobe_Iniesta-Villa-Furuhashi©VISSEL KOBE

――あらためてヴィッセル神戸に移籍した経緯と、決め手になったことを教えてください。

 日本という国に対する興味は、イニエスタ選手が日本に移籍する決断をしたときに、自分の中でもそれは良いデスティネーション(目的地)というか、良い決断だと思った覚えがあります。伝統もあり、独特の文化もあるこの国に対して興味があったのが一つ。そして、もちろん自分が知っている選手、一緒にプレーしたことがある選手がここにいて、彼らから生活について聞けたところも一つの決断の助けになったと思っています。

――ルーカス・ポドルスキ選手とはアーセナルでともにプレーしていますが、彼からもアドバイスをもらいましたか?

 ポドルスキ選手にも聞きましたし、イニエスタ選手、サンペール選手にも聞きましたが、みんなポジティブな感想を答えてくれました。一緒にプレーしたポドルスキ選手がここでの生活に満足しているのは一つの決断をする上での重要な要素でした。

―― 8月10日の第22節・大分トリニータ戦からリーグ戦に出場しています。ここまで実際にプレーして、どのような印象をJリーグに持ちましたか?

 良いリーグ、とても魅力のあるリーグだと感じています。すべてのチームがアイデアを持ってプレーしようとしていますし、本当にうまい選手、テクニックのある選手、スピードのある選手が揃っています。自分にとっても良い意味でのサプライズでした。

――その中で日本人選手の特徴として、世界に通用すると感じた部分、あるいはもっと高めていく必要があると感じた部分は?

 強み、良い点は持久力、走り疲れないところ、テクニックがすごく高いというところです。改善できると思う部分は、チームとして戦術的な規律を保つこと、ディフェンス面での組織をしっかりと保つことですね。

――神戸のチームメートでは現在、古橋亨梧選手が注目を集める存在になっています。彼をどう見ていますか?

 良い選手だと思います。ディフェンダーとして守るのは難しい選手で、スピードも俊敏性もあり、方向転換もスピーディーにしてくる選手。良い走り出しもできますし、僕が彼とプレーしている短い間の中でも、素晴らしいゴールを何点か決めています。注目されるのも当然だと思っています。

■日本人選手が海外移籍で学べること

2019-11-28-Thomas_Vermaelen_Kobe©J.LEAGUE

――フェルマーレン選手は日本のサッカーにすぐに順応した印象です。順応するために意識して取り組んだことはありますか?

 すごく助けになったと思うのは、スタッフを含めてクラブの皆さんが日本に来た時にピッチ外の適応や生活に関してすごくサポートしてくれたことです。そのおかげで初めからサッカーに集中できました。サッカー選手としてピッチ内のことに集中できることは、適応のためにすごく大事です。ピッチ外のことを考えずに集中できたことが大きかったと思います。

――逆に今、日本人選手がベルギーリーグやオランダリーグに移籍するケースが増えています。そこでプレーすることでどんなメリットがあると感じますか?

 ベルギーリーグやオランダリーグを普段からあまり見ていないので、サッカーの面から詳しいことを言うのは難しいのですが、まず最初に思い浮かぶのは、自分が日本に来たように、自分のコンフォートゾーン、居心地の良い環境を抜け出して、新たな環境に挑戦することは、それ自体に学ぶことがあります。そういう意味で、彼らにとって学ぶところは多いと思いますね。

 それぞれのリーグの特徴から何を学べるかまでは分からないんですが、例えばオランダリーグならヨハン・クライフの思想を受け継いで、ボールを扱ってのプレーを好むチームが多く、そこから学べることはあるかもしれません。ベルギーリーグはフィジカルなリーグなので、そこは日本人選手には適応が難しい部分もあるかなと思ったりはします。とはいえ、普段から見ていないのであまり詳しいことは言えないですね。

■ロストフでの日本戦はよく覚えている

2019-11-28-Thomas_Vermaelen_Kobe©Getty Images

――フェルマーレン選手はベルギー代表の一員です。代表に呼ばれることはどのような意味を持っていますか?

 大きな意味が自分の中にあります。ベルギー代表は良いサッカーができていますし、結果も出せている中で、自分が呼ばれること、世界ランクも1位だったと思いますけども、そのチームに自分が呼ばれることへの嬉しさもあります。長年ともに戦ってきたチームメートもたくさんいるので、彼らと一緒にプレーできることは本当に楽しいことです。来年にはユーロもありますし、自分の年齢を考えるとそこで何か大きな結果を残したい気持ちもあります。

――日本人としてベルギー代表と言えば、昨年のロシア・ワールドカップベスト16、ロストフでの戦いが思い返されます。その試合にフェルマーレン選手は出場こそしませんでしたが、ベンチから見ています。試合をどうご覧になっていましたか?

 本当にあの試合はよく覚えています。日本代表とはW杯の前の強化試合でも戦っていて、うまくて危険なチームだなという印象がありました(※)。W杯の本戦の試合でも特に前半のベルギーは良いプレーができなかった。何分にベルギーが1点を決めたか覚えてはいないですが、そこから逆転することができた大事な試合でした。日本の皆さんには本当に悔しい試合だったと思います。

※アジア最終予選でロシア大会出場を決めた後の2017年11月14日、ベルギーのヤン・ブレイデルスタディオンでの親善試合。ロメロ・ルカクが決めて1-0でベルギーが勝利。フェルマーレンはこの試合にフル出場している。

――そのときの日本の印象が、新天地に日本を選ぶ上での良いイメージをもたらしたりは?

 意識的にその試合が何か影響を与えたということはありませんが、その試合の前の親善試合でプレーした中で、日本人がクオリティーのある選手たちだという印象を持っていましたし、そういう意味では代表として戦ったことも大事だったのだと思います。

 実際、ここに来て自分のチームメートやJリーグでプレーする中で、日本はサッカーがうまい国だという印象が補強されています。当時の印象を裏切られなかったので、対戦は大事なことだったと思います。

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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

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