興梠の相棒に最適なのは?武藤復帰が待たれる浦和、現状のベストな選択はナバウト起用か

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浦和レッズは9日に行われる明治安田生命J1リーグ第3節で松本山雅FCと対戦する。公式戦3試合未勝利で迎えたACL初戦で、重苦しい雰囲気を払拭したのはこれまで出場機会が限られていた控え組だった。中2日で迎える松本戦は、その控え組を含めた総力戦となる。【文=神谷正明】

■攻撃に躍動感をもたらしたナバウト

重く垂れ込めた暗雲の裂け目から、ようやく一筋の光が差し込んだ。

新シーズンの開幕を告げる2月16日のゼロックス杯の川崎フロンターレ戦から3試合、浦和は苦悩の日々を過ごしてきた。特にリーグ第2節の北海道コンサドーレ札幌戦は前半から相手に蹂躙され、ハーフタイムには早くもサポーターから強烈なブーイングが飛ばされたが、選手たちも「当然」と認めたほどの低調ぶり。試合後の指揮官や選手の発言からも不穏な状況が窺われ、チームに重苦しい雰囲気が漂っていた。

それだけに、ACL初戦となったブリーラム戦完勝の持つ意味は小さくない。もし、ここでも不甲斐ない姿を見せていたとしたら、今後の道のりは一層険しくなっていただろう。公式戦3試合で勝利がなく、気分も沈んでいたチームにとって、白星はなによりの清涼剤となるはずだ。

3-0に終わったブリーラム戦は結果だけでなく、内容でも今後の弾みになりそうな要素が見られた。新たに出番を与えられた選手たちの奮闘もその一つだ。オズワルド・オリヴェイラ監督は2日の札幌戦からメンバーを3人入れ替えたが、なかでも特に目を引いたのがアンドリュー・ナバウトの働きだ。

浦和の前線は過去3戦、ポストプレーや中盤でのパスワークへの関与で貢献していたものの、一方で攻撃に迫力をもたらすための重要な要素が乏しかった。それは相手DFラインの背後を取る動きだ。

多くのプレーが相手守備者の前で完結していたため、相手は背後のケアに気を配る必要がなかった。そのため、躊躇なく前に出て浦和のパスレシーバーを潰しにいけていたし、DFラインの裏をカバーすることで生まれやすいバイタルエリアのスペースも簡単に管理できていた。

その課題を解消する糸口を示したのがナバウトだった。このオーストラリア代表FWは肉厚の身体をグイッとねじ込むようなダイナミックな動きで攻撃に絡むのが持ち味で、ブリーラム戦では特に後半から精力的にDFラインの背後や、サイドのスペースに飛び出す動きを見せていた。それによって過去3戦のような手詰まり感が薄れ、後半から浦和の攻撃に躍動感が増した大きな要因となっていた。

前半の内容を見て、オリヴェイラ監督がハーフタイムに「もっと背後を狙おう」と指示したことが後半に起きた変化のきっかけではあるが、その意図を汲んでチームを活性化させたナバウトは評価を高めたはずだ。

■汰木はデビュー戦で最高のアピール

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評価を上げたと言えば、ほかにも特筆に値する選手がいる。途中出場で鮮烈の浦和デビューを飾った汰木康也である。今季モンテディオ山形から加入したドリブラーは、ピッチに立ってわずか4分後、「自分のキレとか、間合い次第で取られない自信はある」と強い矜持を見せる圧巻のドリブルで左サイドを切り裂き、橋岡大樹のゴールをアシスト。「自分の得意なコース、得意なドリブルからの理想通りのアシスト」と胸を張ったように、セールスポイントを最高の形で披露してみせた。

汰木が残した強烈なインパクトには指揮官も「彼は良いサプライズとなった。私たちが指示をして、期待していたプレーを見せ、得点のところ以外でも非常に面白い姿を見せてくれた」と目を細める。浦和に攻撃の切り札が一つ増えた。

これまで控え組だった選手が抜擢に応える姿はチームのムードを高める。サブの立場から先発のチャンスをもらった森脇良太や、スタメン落ちの悔しさを味わって再び先発で起用された橋岡大樹も自身の長所を表現し、新風を吹かせた。レギュラーとして試合に出続けている槙野智章は「新たにメンバーに入った選手たちのいい刺激がチームに入った」と言い切る。

もっとも、たった1試合のパフォーマンスをもって、悪い流れを断ち切れたと考えるのは都合が良すぎるだろう。酸いも甘いも噛み分けてきた槙野も「そんなことはないと思う」と気を引き締める。

ブリーラム戦の出来は間違いなく今季4試合の中でベストだったが、それでもセットプレーで先制してオープンな展開になるまではゴールの攻略に手を焼き、得点以前にゴールマウスに2度も救われた幸運もなければ、結果や内容は変わっていたかもしれない。3-0というスコアほど安泰な試合ではなかった。

■松本戦で注意すべきは前田大然のスピード

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サッカーは相対的なスポーツでもある。相手が変われば、内容も変わる。ブリーラムは浦和に対し、カウンターに勝機を見出す戦い方を選択したが、本来はそういうスタイルではない。

率直に言って、守備のレベルはあまり高くなかった。5−3−2で待ち構えていたが、中盤3枚はスライドやスペースカバーの意識が低かったため、そこかしこに綻びが生まれていた。前線2枚もプレッシングをかける際のポジショニングが整備されておらず、簡単に第1プレッシャーラインの突破を許していた。

また、攻守が切り替わった際のカウンターも整理されておらず、ボールを奪った後にスプリントで浦和のゴールに向かうアクションは鈍く、コース取りも秩序立っていたとは言い難い。

球際のインテンシティ、攻守の運動量、カウンターに移った際にゴールに迫る迫力という意味においては、今節戦う松本の方が戦いにくい相手だろう。とりわけ、驚異的なスプリント数とスピードで攻撃でも守備でも強い存在感を放つ前田大然は、ブリーラムのどの選手よりも危険な相手と言えるかもしれない。

また、これ以上不甲斐ない姿を見られなかった浦和は、ACLのスタメンにレギュラー格を並べたが、松本は6日のルヴァンカップ・清水エスパルス戦でメンバーを大胆に入れ替えていた。同じ中2日で迎える試合と言っても、主力組のコンディションに差が出るのは否めない。

ブリーラム戦で光明を見い出せたとは言え、一息つける状態ではない。だが、この厳しい状況で、弱点を突くことを得意とするいやらしい相手にも手応えのあるパフォーマンスを出せれば、掴んだ自信はより深まっていくはずだ。

文=神谷正明

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