2019_8_26_Kawasaki2(C)J.LEAGUE

痛恨ドローの川崎。“風間チルドレン”の減少、戦力の代謝、負傷離脱…苦悩の王者が見せたひとつの光明とは

川崎フロンターレは24日、明治安田生命J1リーグ第24節で清水エスパルスと2-2で引き分けて5戦未勝利。同節引き分けていた首位FC東京との勝ち点差を縮めるチャンスも逃した。しかし、スポーツライターの飯尾篤史氏は痛恨のドローゲームにも光明を見出している。

■意地の同点も逆転には持ち込めず

2019_8_26_Kawasaki1(C)J.LEAGUE ほとんどの時間帯を清水陣内で過ごしながら、1−2とリードを許していた川崎が残り20分、一見、なりふり構わぬ攻撃に出たように思われた。

長谷川竜也が左サイドを突破してクロスを入れると、右サイドの馬渡和彰もゴール前にシンプルに放り込む。直後、中村憲剛までが、これでもかと言わんばかりに右サイドからレアンドロ・ダミアン目掛けて蹴り込んだが、清水DFにクリアされた。

だから、それで得たCKがクリアされ、センターサークル内でボールを拾った車屋紳太郎が近くの中村に預けたとき、ロングボールを予想した清水の選手は少なくなかったに違いない。

その一瞬の隙を、3人の選手が見逃さなかった。

中村、馬渡、そして、その直前に途中出場したばかりの小林悠である。

「憲剛さんがボールを持ったとき、誰もが放り込むと思ったと思うんです」と振り返ったのは、CKの際にゴール前に上がっていた右サイドバックの馬渡である。

「でも、僕は自分の前にスペースがあることが分かっていた。それで、憲剛さんを見たら、目が合って……」

中村から繰り出された鋭い縦パスを、相手DF陣の左サイドと中央に生まれたスペースで受けた馬渡は、自身の前の空間にパスを出す。

そこに、走り込んできたのが、小林だった。「狭いスペースでしたけど、うまく走り込めた」という小林が右足を振り向くと、タックルに来たDFの股を抜け、ゴールネットを揺らした。

J1王者が見せた意地の同点ゴール――。しかし、逆転には持ち込めず、2−2の引き分けに終わった。首位・FC東京との勝点差は8のまま。センターバックの谷口彰悟も「追いつけてよかったというゲームではない」と険しい表情を見せた。

■“相手を見る”サッカーへの回帰

2019_8_26_Kawasaki2(C)J.LEAGUE もっとも、痛恨のドローゲームに光明が見えなかったわけではない。そのひとつが、目の揃え方(崩しのイメージの共有)である。

今季は大型ストライカーのレアンドロ・ダミアンを獲得し、パワープレーという新しい武器を獲得したが、それがかえってチームの戦い方を難しくした面もある。

前線にどっしり構えるレアンドロ・ダミアンのポストワークと、流動的に動いて攻略するこれまでのスタイルが、あまりに真逆で、フィットしない。また、空中戦を多用すれば、それだけ攻撃が単調になってしまう。

ただでさえ、今季はケガ人が多く、メンバーを固定できていない。そのうえ、ボールを保持するスタイルを築いた風間八宏監督時代を知る選手も少なくなり、揃わなくなってきた目が、いっそう揃いにくくなっている。

とはいえ、かつてのように緻密に崩せないチームを救ってきたのが、レアンドロ・ダミアンの個の得点力であるということも事実。リーグ戦7ゴールのストライカーをレギュラーに据えられないところに、鬼木達監督の苦悩がうかがえる。

だが、今季の川崎が苦しんでいるのは、あまりに“自分たちのことだけ”を見すぎだったからかもしれない。目を揃えるための大きな条件は、相手を見てサッカーをすること。清水戦の同点ゴールは、基本に立ち返ったことを感じさせた。

得点前のロングボールについて「(最後に地上で仕留める)フリになりましたね」と振り返った中村は、「上でやれる選手もいるし、下でやれる選手もいるから、どう使い分けるか。相手も最後は5−4−1で守ってきたけど、それでも、どこが空くか、一人ひとりが感じながらやっていかないと」と、自身に言い聞かせるように言った。馬渡も「あの場面では、相手を見てサッカーができた」と胸を張った。

2年前に監督が交代し、選手も大きく入れ替わっている。失いつつあるものを嘆くのではなく、新しいメンバーの強みを利用しながら、目を揃え直す――。

それができるかどうかは今季だけでなく、リーグ屈指の技術を誇る川崎の来季以降を占ううえでも大きい――そんなことを感じさせたラスト20分だった。

取材・文=飯尾篤史

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