ウエスカに所属するFW岡崎慎司が2月29日のリーガ・エスパニョーラ2部第30節、エストレマドゥーラ戦で2ゴールを記録。今季7ゴール目をマークし、2-2の引き分けに貢献した。前々節、FWラファ・ミルの出場停止を受けて先発すると、その試合でゴールを決めてチャンスを活かした岡崎。3試合連続スタメンとなった今回の一戦でも、見事に期待に応えた。『マルカ』ウエスカ番、セラーノ記者はクラブの1部昇格について、「彼のゴールにかかっている」と綴った。
■状況を変えた岡崎
昨夏、諸事情によってマラガをわずか1カ月で退団して、ウエスカにやって来た岡崎慎司。ウエスカの人々にとって、この日本人の到着は予期せぬプレゼントだったわけだが、彼がここにいるという喜びの感情は、ここにきてより強まることになった。岡崎はウエスカで最も辛い日々を過ごした後、自らの努力と実力でもって、最も素晴らしい日々を迎えているのだ。
冬の移籍市場でウォルヴァーハンプトン・ワンダラーズから新たなストライカー、ラファ・ミルがやって来て、岡崎はアンタッチャブルな存在ではなくなった。ウエスカを率いるミチェルは、まずミルと岡崎の併用を試したものの、中盤ダイヤモンドの4-4-2は機能することなく普段の4-3-3に戻すと、ワントップには岡崎ではなく191センチと長身のミルを起用。VARのゴール取り消しが続き、得点数がいまいち伸びてこなかった岡崎は、ベンチから試合を見守るという苦境に立つことになった。
しかしながら、ミルが岡崎に先んじた日々は7日間、2試合しか続かなかった。ミルが出場停止によって欠場した第28節、本拠地アルコラスでのアルメリア戦(3-2)、3試合ぶりにスタメン復帰を果たした岡崎は、豪快なヘディングシュートを決めきった。彼は結果を残し、状況を逆転させたのだった。
■信頼
(C)MutsuFOTOGRAFIA岡崎はレギュラーとしてプレーすること、さらにゴールを決めることを決してやめない。第29節、敵地バジェカスでのラージョ・バジェカーノ戦(0-2)では、前半にまたもヘディングからネットを揺らすことに成功。ただ、これはゴールから30秒前の彼のハンドを取られたことで、VARによって取り消された(VARによる取り消しは今季7点目だ)。そして第30節、アルコラスでのエストレマドゥーラ戦(2-2)、ウエスカのチームとしてのパフォーマンスは決して褒められたものではなかったものの、岡崎は観客を失望させなかった。またも、彼の“利き足”であるという頭の威力を見せつけた。
「クロスではほとんどの形でマークを外せているので、そこだけはやっぱり自信持っているし、『ここにクロスを入れてくれたらな』というところに入ってくるなら確実に点を取れていると思う。実際、VARがなかったらもっと点を取れているはずなので」
ラージョ戦後、岡崎は自身の強みについてこう語っていたが、確かに彼のマークを外す動きは一級品。リーガ2部であれだけ狡猾に動き、ペナルティーエリア内でフリーとなれるストライカーは、そうはいない。そしてボールをつなぐことを優先してきたウエスカのチームメートも、彼の動き出しに直接合わせることを意識し始めている。
エストレマドゥーラ戦の28分、左サイドでボールを保持したMFダビド・フェレイロのクロスは、岡崎を信頼するがゆえに上げられたものだった。フェレイロがボールを送るや否や、岡崎はエストレマドゥーラのCB2枚の間を一瞬の加速によって抜け出し、そのまま“利き足”でボレーシュートを放ち、チームに同点弾をもたらした(まあ、その“利き足”のシュートは、どう考えてもボレーにしかなり得ないのだが……)。
そして63分に決めたさらなるヘディング弾は、狡猾さと同等の岡崎の長所、泥臭さが目立った。ゴールエリア内右でフリーとなっていた彼は、すぐ右にいたDFペドロ・ロペスの浮き球に反応。ボールに食いつくような、魂の込もった迫力あるダイビングヘッドでもって、再びGKカスト・エスピノーサを破っている。ただし、このゴールはオフサイドの疑惑もあった。
先に「ゴールのあと、気持ち切り替えるのもあれだから、もう入ったときも入ってないって思っておこうって(笑)」と語っていた岡崎本人もゴールなのかどうか半信半疑で、主審のサゲス・オスコスに確認をしていたが、結局オンラインであったとしてゴールは認められている。
岡崎のスペインでは初となるドブレテ(2得点)で一時逆転を果たしたウエスカだが、88分にFWアレックス・アレグリアのゴールを許し、2-2で勝ち点を分け合った。サポーターはここ5試合を1勝1分け3敗で終えるなど、下降線をたどるチームに対して明らかな失望を感じていたが、岡崎に対しては違う。前線からの必死の守備で汗をかき、ダイナミックなゴールを決め、苦境に立たされてもそれを乗り越えていく日本人は、間違いなくウエスカのエンブレムを守っている。彼は私たちにとっての模範的存在であり、進むべき道を指し示しているようでもある。今、私たちがアルコラスに足を運んでいる動機に、岡崎という選手は間違いなく含まれている。
「自分がもし決めることができれば、あいつに集めようってなると思うし、まだそこには至っていないかな、と。このチームでそういう選手にならないといけないなと思います。そういう意味でも、貪欲にゴールを狙わなくてはいけないですね」
岡崎の今季リーガ2部での得点数は7。VARの取り消しも含めれば14点(!)だ。自動昇格圏2位のレアル・サラゴサに勝ち点5差をつけられる4位ウエスカは、最近の低調ぶりもあって、ここから死に物狂いで勝利を目指さなくてはならない。その中で着実に結果を残していく岡崎は、これまでよりずっとボールが集まることになるだろう。
ウエスカが1シーズンでの1部復帰を果たせるかどうかは、岡崎慎司のゴールにかかっている――私たちはそう感じ始めている。それは岡崎が“利き足”とする頭ではなく、彼の懸命な姿勢に打たれた胸が、心が感じていることだ。
文=クリスティアン・セラーノ(Cristian Serrano)/スペイン紙『マルカ』ウエスカ番
翻訳・構成・加筆=江間慎一郎
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