【現地発】岡崎慎司を悩ます2つの壁…日本人ダービーで光明を見出だせるか

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(C)Getty Images
レスター・シティでチームスタイルに悩まされる岡崎慎司。今、この日本人ストライカーが直面している壁とは? 現状打破に必要なこととは? 岡崎のコメントから読み解いていく。

■“らしくない”イメージチェンジ

クロード・ピュエル監督の就任から6カ月弱が経過したレスター。時間の経過とともに、フランス人指揮官のカラーがチームに浸透してきた。

例えば、14日に行われたバーンリーとの一戦。攻撃時には両サイドバックが高い位置までせり出し、ボールポゼッションとサイドアタックで貢献を試みた。加えて、2人のボランチもワイドにポジションを取り、SBの攻撃参加をサポート。いずれも、クラウディオ・ラニエリ前監督とクレイグ・シェイクスピア前監督の時代には見られなかった光景だ。

この試合でレスターは61%のボールポゼッションを記録した。前節のニューカッスル戦も66%で相手を上回っている。実は、シーズン後半戦のレスターは、国内リーグで相手よりポゼッションで下回ったのがリヴァプール、チェルシー、マンチェスター・Cの3試合しかないのだ。敵にボールを持たせ、高い位置からプレスをかける「ショートカウンター」一本だったレスターのプレースタイルは、たしかにピュエル監督の就任で変わってきた。

しかし、どうしても中途半端な印象が拭えない。一言で言うなら、レスターらしくない、だろうか。

バーンリー戦も「発展途上」といった内容で、プレミアでも珍しくなった4-4-2のブリティッシュスタイルを貫くバーンリーに1-2で敗れた。実際、2月からの成績は2勝3分3敗。プレミアリーグで8位の中位をキープしているものの、シーズン終盤に入って勢いに陰りが見えている。

■「つなぐことに意識がいきすぎて…」

2018-03-22 Okazaki Leicester

そんなチームの変化を、岡崎も肌で感じている。岡崎によれば、ピュエル監督の就任当初は、「従来のレスターのサッカー」と「ピュエル監督のつなぐサッカー」が、うまく融合できていたという。とくに、勝ち星が続いているときは、インテンシティの高い従来のかたちに、ボールをキープするスタイルがうまくハマっていた。ところが最近は、つなぐ意識が強すぎるあまり、チームとして迷いが生じているという。岡崎は言う。

「(これまではショートカウンター中心だったが)自分たちからアクションを起こすサッカーに変わりつつあると思うんです。でも今は、つなぐことにみんなの意識がいきすぎていて。つなぎながらミスをすると、チームの気持ちがダウンしていくというか…。『続けよう、続けよう』という感じがなくなる」

また、対戦相手もレスターの分析を深めている。レスター対策を十分に取って試合に臨んでいることを、岡崎もピッチ上で感じるという。

「レスターがパスを回してくるという認識を、相手が強く持ち始めている。バーンリー戦だったら、ボール保持時に(巨漢CBの)ウェズ・モーガンが狙われたり。あと、相手にパスを回させられているところも増えてきた。しかも、前からプレッシャーをかけられると、自分たちはボールを落ち着いて回せなくなってしまう。ロングボールを相手に蹴らされているところもあります。自分たちのやろうとしているプレーを、相手はもう見抜いてる」

■岡崎にとっても難しさが…

岡崎自身も、難しさを感じている。レスター分析が進み、対戦相手が闇雲に最終ラインを押し上げてくることが減った。それよりも自陣でブロックを作り、レスターに攻撃のスペースを与えない。そして、レスターにボールを持たせ、前線からプレスをかけていく──。こうなると日本代表FWの難しさは増す。

例えば、スルーパスに反応したジェイミー・バーディーが前線のサイドスペースに飛び出せば、岡崎は一目散にペナルティエリア内へと突っ走り、クロスボールからゴールを狙う。しかし今、敵は後方部に引いているため、バーディーがフリーでボールを受けるシーンがなかなか生まれないのだ。当然、イングランド代表FWからクロスを受ける岡崎も、チャンスの数が減ってしまう。しかも日本代表FWは、ドリブルなど単独突破で局面打開を図るタイプでもない。

また、レスターの代名詞だったプレッシングの重要度も低下している。前政権ではポゼッションをなかば放棄し、高い位置からプレスをかけて、ショートカウンターを繰り出した。これがレスターの十八番だった。その中で岡崎も、バーディーやリヤド・マフレズと連動しながらゴールを狙った。バーディーやマフレズのクロスに、やや遅れてPA内に侵入してきた岡崎がシュートを放つ──。これもまた、レスターの得意とするパターンだったが、プレスの重要度が低下しているため、ショートカウンターの回数自体が減っている。そして、このプレッシングスタイルのキーマンだったのも岡崎だ。

つまり、従来のレスターのカラーが薄れつつあることで、岡崎の強みが出しにくくなっているのだ。実際、バーンリー戦では0-2で折り返したハーフタイムに交代を命じられた。

「(従来のレスターの形ではなかったので、試合の流れが)なかなか自分に合うことがなかったですね。まあ、45分の交代は妥当かなと思います。自分自身もそうですけど、チームが感覚的にやれていないところがある。良い時は何も考えずにできるけど、チームとして迷っている。そう感じるから、自分も迷ってしまうというか。『どこで攻めるんだろ?』って」

3月10日に膝の怪我から復帰し、岡崎はここまで5試合をこなした。試合に出場しながらコンディションを上げてきたが、「まだ乗り切れていない」と言う。加えて、今度は足首を負傷したとの報道もある。

そして、レスターの変化──。「コンディション」と「チームの変化」という2つの壁に直面しており、最後は自分に言い聞かせるように言葉をつないだ。

「今、チームがうまくいっていないから、自分も交代させられるリスクがある中でやっている。だから、いまひとつ思い切れていない。それを取っ払えれば、まだまだ自分にもチャンスはある。前を向いて勝負を仕掛けたりして、思い切ってやる」

■日本代表復帰のためにも

もちろん、視線の先には6月に開幕するW杯もある。昨年9月から日本代表から遠ざかっているが、西野朗監督の就任で流れが大きく変わるかもしれない。本人も「自分にとっては、こういう変化もひとつのチャンス。呼ばれていなかった選手としては、他の選手も含めて、みんなモチベーションがグッと上がると思う」と力を込める。

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19日には、日本代表DFの吉田麻也が所属するサウサンプトンとの一戦が控えている。昨年12月に行われた両軍の対決は、岡崎の2ゴールでレスターが4-1で勝利した。しかし、降格圏の危険水域に沈んでいるサウサンプトンもこれ以上、黒星を増やせない。

足首を痛めた岡崎のケガの具合は気がかりだが(※本稿執筆時で出場の有無は明らかになっていない)、はたして今回の日本人ダービーはどちらに軍配が上がるのか。試合は英国時間19日・19時45分にキックオフである。

取材・文=田嶋コウスケ

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