現代最高のSBコンビ――。リヴァプール約30年ぶりの悲願達成へカギを握る2人の男

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Getty/Goal

2月27日、リヴァプールは本拠地アンフィールドでワトフォードを5-0で粉砕した。しかしこのスコア以上に注目すべきなのは、プレミアリーグ史上初めてディフェンダーが5回のアシストを記録するという快挙を成し遂げたことだ。

アシストしたのはすべて両サイドバック。トレント・アレクサンダー=アーノルドが3アシスト、そしてアンドリュー・ロバートソンが2アシストだ。昨シーズンの躍進を支えたのは間違いなくモハメド・サラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノからなる自慢の3トップだが、今季のタイトルはこの二人のサイドバックにかかっていると言えるだろう。

リヴァプールでは、長らく攻撃の起点として創造性を見せるサイドバックの台頭が待ち望まれてきた。2008年のヨン・アルネ・リーセ退団以降、攻撃面で優位性をもたらすサイドバックはなかなか現れず、2015年に就任したユルゲン・クロップは、しばらくジェームズ・ミルナーに頼るほかなかったのだ。

そんな中、プレミアリーグ初優勝を目指す今シーズン、ついに最高のペアを手に入れたのだ。彼らのように果敢なオーバーラップと精度の高い配給をこなすコンビは、他にいないだろう。

今シーズンのマンチェスター・シティとのアウェイ戦(第21節、1-2)。リヴァプールのゴールを思い出してほしい。アーノルドが逆足から繰り出したパスをシティのペナルティエリア内で受けたロバートソンが折り返すと、フィルミーノが同点弾を決めた。サイドバックからサイドバックへという大きな展開から、貴重なゴールをもたらしたのだ。フットボール史上でもなかなか見ることはない形だった。

■モダンフットボールに求められるSBの役割

昨シーズンまで、プレミアリーグで1試合3アシストを記録したディフェンダーはいなかった。しかし、この70日間ですでに2回も達成されている(もう1つは12/26の第19節、対ボーンマス戦でトッテナムのカイル・ウォーカー=ピータースが達成)。

Andy Robertson Liverpool 2019

ロバートソンは、今季ここまでリーグ戦計8アシストをマークしている。これは、ディフェンダーとしては1996-97シーズンのスティグ・インゲ・ビョルンビーが達成したクラブ記録に匹敵する数字だ。またチーム全体でのシーズン合計41アシストは、プレミアリーグ設立以降のクラブ記録をすでに塗り替えている。そのうち14アシストが、サイドバックから生まれているのだ。

特筆すべきは、この数字がシーズン毎に増えていることだ。つまり、これは偶然ではない。確かなアプローチにより着実に進歩している証である。

「これは本当に重要な事なんだ」。マージーサイド・ダービーを前にサイドバックのアシストについて聞かれると、クロップは語った。

「これが現代フットボールだ。少年に『好きなポジションは?』と聞いたら『サイドバック!』っていう子は少ないだろう」

「でもフットボールは変わったんだ。サイドバックは本当に大事なんだよ。私自身、選手として長くサイドバックをやってきた。今彼らがやっていることは、昔とはまったく違う。それでも、私は少なくとも何をすべきかは知っている。しっかり守備をすること。それと同時にウイングとして攻撃に参加することが求められるようになったんだ」

Trent Alexander-Arnold Liverpool 2018-19

「豊かな創造性を持ち、頭をクリアにして、ペナルティエリア内のチームメイトを見つけるんだ。それだけでまったく変わる。5-0でワトフォードに勝った試合は格別だったよ」

「誰かがアシストでハットトリックした試合なんて見たことがない。本当に特別なことだ。(アーノルドは)マッチボールを欲しがって、見事に手に入れた! 実にクールだね」

1月にナサニエル・クラインがボーンマスへ放出されたことを覚えているだろうか? 彼は確かに頼りになるディフェンダーだ。だが、リヴァプールで77試合に出場してアシストは2回のみ。このことが物語っているように、攻撃面でうまくフィットできなかった。

レッズ(リヴァプールの愛称)は彼らをどれほど評価するべきか。答えは“とても”高くだ。今季のトップ5リーグにおいて、リヴァプールは6回以上アシストをマークした両サイドバックを擁する唯一のクラブである。

■現代最高のサイドバックコンビ


選手 チーム アシスト チャンスメイク
ヨシュア・キミッヒ バイエルン・ミュンヘン 10 52
ケニー・ララ ストラスブール 8 42
アンドリュー・ロバートソン リヴァプール 8 35
ジョルディ・アルバ バルセロナ 7 35
マルツェル・ハルステンベルク ライプツィヒ 6 39
ホセ・ホレバス ワトフォード 6 32
トレント・アレクサンダー=アーノルド リヴァプール 6 25
ウカシュ・ピシュチェク ドルトムント 6 19
セルジ・ロベルト バルセロナ 6 20

(※3月3日時点)

この表を見れば、バイエルンDFヨシュア・キミッヒがDFアシストランキングをリードしているが、彼は複数の試合で一列前に入っている。バルセロナDFジョルディ・アルバも当然のようにランクインしているが、彼は今月末には30歳だ。一方ロバートソンは24歳、アーノルドは20歳であり、まだまだ先は長い(アーノルドに関しては中盤でプレーする可能性も十分に期待されているが……)

サイドバックの位置を攻撃の起点として目論んでいるのは、リヴァプールに限ったことではない。プレミアリーグの至る所でその傾向が見られる。その最たる例がトッテナムであり、ウォーカー=ピータース、キーラン・トリッピアー、ダニー・ローズ、セルジュ・オーリエ、ベン・デイヴィスらサイドバックにより80回以上ものチャンスを生み出し、12アシストを記録している。だが、彼らはリヴァプールのペアほど一貫したパフォーマンスは今のところ見せてはいない。

残り10試合となった今、プレミアリーグのタイトル争いは完全にリヴァプールとマンチェスター・Cの一騎打ちとなった(※シティが勝ち点74で首位、リヴァプールが同73で続く。3位トッテナムは同61)。リヴァプールがイングランドトップリーグで優勝したのは、1989-90シーズンが最後だ。およそ30年ぶりのタイトル獲得へ向け、アーノルド&ロバートソンのコンビがカギを握ることは間違いない。

「ヨーロッパで最強のサイドバックコンビは?」。もしあなたがアンフィールドで訪ねたとしよう。答えは決まっている――。コップ(リヴァプールファンの愛称)はさも当たり前のように、誇らしげに2人の名前を出すであろう。

文=ダンカン・アレクサンダー/Duncan Alexander

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