Alexis Sanchez, Thomas Lemar, Arsenal, Atletico Madrid splitGetty

【独占】土壇場での心変わり…サンチェス退団時に何が起きたのか?元アーセナル交渉担当が明かす裏側と南米選手との交渉術/インタビュー

■サンチェス退団の裏側

アレクシス・サンチェスは、アーセナルから提示された新たな契約に同意しており、後は弁護士が契約書を確認するだけだった。しかしこのチリ代表は、土壇場でその考えを180°変えてしまった。

サンチェスの去就は、彼がアーセナルに所属していた最後の18カ月の間ずっとニュースを賑わせた。ガナーズ(アーセナルの愛称)は、2014年にバルセロナから獲得したそのフォワードを是が非でもクラブに引き止めておきたかったのだ。しかし、結局サンチェスは契約期間を6カ月間だけ残してチームを去った。2018年1月に成立したその契約は、彼のマンチェスター・ユナイテッド加入と引き換えに、ヘンリク・ムヒタリアンをアーセナルに迎え入れるといったトレードによって成立したものだった。

サンチェスは、アーセナル所属時に166試合に出場して80ゴールを挙げ、2015年と2017年には2度のFAカップ優勝に貢献。良くも悪くも絶対的なエースとしての地位を確立していた。チリ代表FWが去ることによって、アーセナルは大打撃を受けると予想されていた。そして、サンチェスにはマンチェスターでの輝かしい未来が待っていると思われていた。

しかし、大打撃を受けたのはサンチェスの方だった。オールド・トラッフォードで未だもがき苦しみ、移籍後過去18ヶ月間で、わずか5つのゴールしか挙げられていない。

そんなチリ代表FWの旅立ちについて、アーセナルの元交渉担当ディック・ロウ氏が『Goal』の独占インタビューで詳細に明かしてくれた。急展開を迎えた契約延長交渉や退団の経緯、そして「南米選手との正しい付き合い方」について、彼なりの考えを語ってくれた。

インタビュー・文=チャールズ・ワッツ/Charles Watts(『Goal』アーセナル番記者)

■サンチェスの心変わり

Alexis Sanchez ArsenalGetty Images

サンチェスがクラブを去る前、アーセナルはできる限りを尽くして彼を引き止めることを決めた。そして、2016年12月には説得に成功したかに思われていた。

「話しは決まっていた」ディック・ロウは語る。「私たちは、サンチェスの代理人(フェルナンド・フェリチェヴィッチ)と2016年を通してずっと話をしていた。そして12月に私はサンティアゴへと飛び、交渉を行ったんだ。サンチェスはフェルナンドのオフィスからの電話越しに、契約に同意したんだ。フェルナンドと私は握手をして、難航した交渉について話し合い、契約を終わらせたよ」

しかし、ディック・ロウと代理人が握手を交わした後、事態は急展開を迎える。

「契約チームが新たな契約書を作成して、サンチェスの弁護士に送ったんだ。だが、書類が精査されているわずかな時間に、なぜだかサンチェスの気が変わったんだよ。誰がサンチェスの気に障ったのかは分からないし、なぜ気が変わったのかも分からない。だが結果として、彼はそうしたんだ」

■マン・C移籍が成立しなかった理由

Thomas Lemar France Bolivia Friendly 02062019Getty

サンチェスの心変わりの後、アーセナルは2017年のFAカップ決勝でチェルシーを下して優勝を達成。決勝でゴールを挙げたこともあり、市場価格は高騰。さらに多くのビッグクラブがその動向を追い続けていた。その夏にアーセナルが引き留めるためには、かなりの額が必要となることが予想された。サンチェスの契約はあと1年残っていたが、マンチェスター・シティが4500万ポンド(約64億円:当時)を用意することで、このフォワードを絶えず狙っていたのだ。

しかしアーセナルは、サンチェスをプレミアリーグのトップ4を争うライバルに売りたくはなかった。その夏のはじめにマンチェスター・CのCEOフェラン・ソリアーノからの申し込みがあり、最初の移籍話が持ち上がった際、アーセナルの元CEOイヴァン・ガジディスはその旨を告げていた。

それでも、ガナーズは交渉に持ち込まれてしまうことを理解していた。サンチェス退団に備え、フランス代表MFトマ・レマル(現アトレティコ・マドリー)とその所属クラブであるモナコとの交渉を始める準備を進めていたのだ。しかしながら、公式なオファー自体は移籍市場の最終日まで届くことはなく、結局3クラブが最終合意に達する前に時間切れとなった。そのため、アーセナルはサンチェスの代役として、モナコからレマルを獲得することができなかった。

「移籍市場の最終日にマンチェスター・Cが交渉に入ってくるまで、サンチェスへの公式なオファーはなかったんだ」ロウはそのように説明する。

「そこからの計算は簡単さ。移籍市場の締切日だったからね。泣いても笑っても最後の日だったし、私たちは来シーズンにチャンピオンズリーグ(CL)出場圏内を争えるチームでいたかった。CL出場圏内をサンチェスと共に目指すか、それともサンチェスなしで戦うべきなのか。私たちは、サンチェスがいた方が可能性は高いといった結論を下したんだ」

ロウは続けて語った。「我々はその日にレマルの獲得に乗り出したが、それは叶わなかった」

「レマルの獲得は、サンチェスのマンチェスター・C行きを意味すると考えていた。サンチェスの移籍で得た資金をレマルに費やす。とてもシンプルなオペレーションだったんだ」

「私たちはレマルとの交渉を終わらせ、サンチェスはシティとの交渉を終わらせていた。だがレマルはフランス代表に招集されていて、モナコは交渉を遅らせていたんだ。結局彼らは、交渉を延期させすぎてしまったんだ」

「モナコはレマルが代表チームへと向かうまで、はっきりしたことは言わなかった。そしてオファーの存在を明らかにした時、レマルはすでにフランス代表チームに合流しており、その日にインターナショナル・マッチを控えていたんだ。こうして、交渉はご破算になったんだよ」

「レマルがアーセナルでプレーするところを見たかったよ。残念だったね。だが、様々な決断が導いたこの状況から前に進む必要があった。あり得た可能性について、あれこれと考えている暇はなかったんだ」

■ユナイテッド行きは失敗?

それから6カ月後の1月の移籍市場にて、サンチェスは結局シティ行きを断ってマンチェスター・ユナイテッドでプレーすることを選んだ。彼らはこのチリ人に、プレミアリーグ史上最高額とされる週給およそ50万ポンド(約7700万円:当時)の契約を提示したのだ。

当時この契約は、これを大型補強の成功とみたオールド・トラッフォードの人々からの祝福を受けた。しかしサンチェスは、エミレーツでコンスタントに示してきた実力をユナイテッドで再現することができなかった。

「マンチェスター・ユナイテッドは、サンチェスに給与に見合った働きをしてもらえていないね。ユナイテッドは選手の給与に厳しいから、めったに大盤振る舞いはしないんだ。だが、なぜか彼らはサンチェスに信じられない額を提示したんだよ」

「我々には理解できない取引だったが、サンチェスは喜んで契約を結んだだろうね。まぁ今になってみると、彼は判断を誤ったんじゃないかと思うよ」

「現在の彼は、2016年の12月に私たちが提示したオファーを受けていた場合よりもリッチだと思う? 答えは『イエス』だ。確かに彼は数百万ポンド多く稼いでいる。だが、彼がどれほど満たされているのかは分からないし、今後どのような道を歩むかも分からない」

■南米選手との交渉術

Dick LawConfederação Brasileira de Futebol

サンチェスはノースロンドンでプレーした期間に多くの功績を残してきた。アーセン・ヴェンゲル晩年のチームにおいて、疑いなく中心選手だった。しかし、このチリ代表FWがクラブを去ったその経緯は、アーセナルにとって決して誠実には映らなかった。とはいえ、2014年にカンプ・ノウからエミレーツに加わり、そこで彼が残してきたインパクトは疑いようがないものだ。

サンチェスは、ユヴェントスやリヴァプールからの誘いを断った。そして1年前にレアル・マドリーからメスト・エジルを獲得したばかりのアーセナルの看板選手となるべく、3500万ポンド(約60億円:当時)での加入を果たしたのだ。

「すべてはトゥーロン国際大会でのスティーヴ・ロウリー(前チーフスカウト)から始まったんだ」ロウはそのように説明する。

「チリでサンチェスの代理人が所有しているエージェンシー『Twenty Two』で働くセバスチャン・ローゼンタールが、スティーヴのところに来て言ったんだ。『サンチェスがバルセロナを去ろうとしている』ってね」

「当然私たちは疑り深いから、スティーヴが電話してきた時にはそんなことありえないと考えていたよ。だから私たちは、直接エージェンシーに連絡を入れたんだ。すると彼らはそれが本当だと告げて、バルセロナは彼らに金額まで提示したって言うんだ」

「フェルナンドがこの取引にどの程度本気なのかを確かめるために、私は直ちにサンティアゴに飛んだよ。もし私たちがユヴェントスや、(ルイス)スアレスを失いかけていたリヴァプールの当て馬として扱われていたのであれば、そんな駆け引きには加わりたくなかったからね」

ロウはさらに続ける。「話を終えた後、私はチャンスは五分五分といった判断を下した。そしてアーセンがクローザーとしての仕事を果たし、その勝負に勝ったんだ。アーセンは(2014年ブラジル)ワールドカップの際にリオで2、3回フェルナンドと会って、10日間にわたってサンチェスがどこでプレーするのかなど、彼の考えについて話したんだ。そうした対話のかいあって、サンチェスはロンドンでプレーすることに前向きになっていったんだよ」

「リヴァプールはサンチェスに多額の資金を投じたけど、私が知る限りでは個人的なコンタクトはしていなかったようだ。結局のところサンチェスは、自分のことをリヴァプールにとっての埋め合わせ要員のように感じていたんじゃないかな。バルセロナと移籍交渉をしていたスアレスのね」

「その交渉では金がすべてではなかった。私は、南米の選手と交渉をする際にはそこに人間味を加えなければいけないと思っているよ」

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「※」は提携サイト『 Sporting News』の提供記事です

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