ニュース ライブスコア
明治安田生命J1リーグ

【独占】フィンク監督が神戸を選んだ理由「ヴェンゲルも候補にいた」/インタビュー全文

12:46 JST 2019/08/20
2019-08-20-fink
日本での新生活やイニエスタを始めとするスターたちとの交流について、また現在のFCバイエルンに対する評価をトルステン・フィンクが語る。

トルステン・フィンクは6月からJリーグのクラブであるヴィッセル神戸で指揮を執っている。ドルトムント生まれで現在51歳になるフィンクがヨーロッパを離れるのはこれが初めてのことだ。

『Goal』ドイツ語版のインタビューに応えたフィンクはアジアでの新生活について語り、彼の率いる多数のスター選手たちの中で誰に最も強い印象を受けたか、チーム全員で摂る夕食がどんな問題をはらんでいるかを明かす。

さらにフィンクは現役時代にプレーしたバイエルンとの深い結びつきについて語るとともに、かつての同僚であるハサン・サリハミジッチSD(スポーツディレクター)に対する一般の評価に対して疑問を呈する。

■欧州とは異なる日本のスタジアム観戦

――フィンクさん、リーグで15位というヴィッセル神戸の現在の状況をどう思いますか?

我々がシーズンの終わりまで残留争いの位置に留まるとは考えていない。さらに数人素晴らしい選手を獲得したこともあり、楽観的な見通しを持っているよ。ここ15年間、ヴィッセル神戸は一度もJ1で7位より上に行ったことがない。つまりこれまではいくつもの失敗があったんだ。それは、繰り返し何人ものスター選手を手に入れながら上位に食い込めなかったことから明らかだ。だが、もっと長期的に成功を収めるには何をしなければならないのか、クラブはようやく認識してきているところなんだよ。

――それはどんなことですか?

日本の若い選手と外国から雇い入れたトップクラスの選手たちをうまくミックスする方法を模索するために、すでに新たなスカウト方式に手をつけている。その場合、注意深く事に当たって、選手の人柄を詳しく調べなければならない。のんびり休養をとるつもりで、ついでにいい稼ぎを手にするような選手は我々には必要ないんだ。

――日本とヨーロッパのスタジアム観戦を比べると、どこに一番大きな違いがありますか?

こっちの人たちはスタジアムに来るのを楽しんでいる。必ずしも試合に勝たなくてもね。全体にとても打ち解けた感触がある。負けた時でも、全力を尽くしていれば拍手してもらえるんだ。全体の雰囲気がたいていのヨーロッパのスタジアムほど攻撃的じゃない。日本のスタジアム観戦はどちらかと言うと一種のイベントで、家族連れで出かけて愉快に楽しむものなんだ。だから、試合を見に来る人たちは最終的に満足することにもなるんだよ。

■イニエスタの特別性とは?

――あなたはJリーグのレベルをどう評価しますか? たとえば、あなたのチームにはブンデスリーガで戦えるような力があるのでしょうか?

私たちのチームには、すでに最高のリーグで力を証明してきた正真正銘のスター選手たちが何人もいる。彼らの中にはもういくらか年を取っている者もいるけれど、まだまだコンディションは非常にいい。もちろん、リラックスしていてもブンデスリーガで戦えるなんて言うとしたら、それは身の程知らずだと思うけどね。

――あなたのチームで一番改善が必要な点はどういうところですか?

私たちは守備の面でいろいろ大きな問題を抱えている。けれど、センターバックのポジションにトーマス・ヴェルメーレンという経験豊かな選手を獲得することができた。ゴールキーパーからフォワードに至るまで、高いボールポゼッション率で攻撃的なフットボールをやるのが私の計画だ。私たちにはそれをやれる人材がそろっている。

――ヴェルメーレンにルーカス・ポドルスキにアンドレス・イニエスタにダビド・ビジャといったふうに、ヴィッセル神戸には数々のスター選手がいますね。あなたが最も強い印象を受けたのはどの選手ですか?

実際、ビジャには大きな感銘を受けたね。あの年齢でいまだにあんなにいいコンディションでいられるのは並外れたことだ。彼は紛れもなくトップクラスのプロだよ。ピッチの外でも彼の態度は模範的だ。日々彼は高いプロ意識を持って仕事に励み、チームを前進させようと努めている。それに、イニエスタのことも強調しておきたい。彼が日本へやって来たのは大金を稼ぐためではなく、成果を手にするためなんだ。そういう態度は彼のキャリア全体を通じて明らかで、だから彼はあれだけの成功を収めることができたんだよ。

――イニエスタが特別なのはどんな点ですか?

彼は常に、他の誰よりも多く自分を投げ出す準備ができている。自分のキャリアにおいてすでにすべてを成し遂げているのに、スター気取りなところがまったく見られない。特に若い選手たちの力になりたいと思っており、だからこそ彼は私たちのリーダーになっているんだ。オープンで思い上がったところがない人柄だからクラブの誰からも非常に愛されており、職員たちにも慕われている。自分にできることなら何でも手助けをして、アドバイスをしたり自分の経験をチームのために役立てようとしている。彼は素晴らしいキャプテンだよ。

――そういった有名選手たちの場合、ただお金のためにアジアへ行くんだという世間一般の非難がよく聞かれます。

私たちのチームの外国人選手たちを見る限り、そういった印象は全然受けないね。たとえばイニエスタは中国へ行けばもっと大金を稼げただろう。文化やどんなふうに作られたクラブなのかということ、フットボールの熱が高い国で何かをやってのけるんだという意気込み、そういったものがある種の魅力になるんだよ。ヴィッセルの外国人選手たちはもう一度新しい何かを経験したいと思っているんだ。

■生活面での問題はなし

――では、あなた個人にフォーカスしましょう。神戸での日常生活をどんなふうにこなしてるんですか?買い物や生活の仕方や食事など…

日本では名誉や敬意が非常に大きな役割を果たしていて、道を歩いていてもピッチの上でもそれを感じるんだ。それが私は非常に気に入っている。もちろん、新しい物事に出会った時にはオープンな態度で臨む必要がある。そうでなければ問題が生じるだろう。ドイツと比べ、当然ながら勝手の違うことやいくらか制約の多いこともある。たとえば、チームで一緒に夕食を摂る習慣なんかがいい例だ。

――それはどういうことですか?

スペイン人は夜の9時になってやっと食事を摂りたがる。つまり、とても遅い時間だ。反対に日本人は、夕方の6時半になればもう何が何でも食事を摂りたがる。彼らはそれに慣れているんだ。監督としてはどうしたらいい? 今のところ6時半から9時半までを夕食の時間にしているよ。確かにみんなが一緒に食べないのは変ではあるけれど、私はアンドレスやダビドに向かって「腹が減ってなくても6時半に食べなくちゃダメだ」とは言えないよ。

――あなたは町の中心部のすぐ近くに住んでいるんですか? それとも少し郊外の方が好みですか?

私は中心部から車で15分くらい離れたところに住んでいる。その辺はものすごく人出が多いというほどではないけれど、もちろん道で知った顔に出会うくらいの人出はあるんだ。私の住んでいる地域にはたくさんのヨーロッパ人が暮らしていて、他のスポーツ選手、特に野球やラグビーの選手たちもいる。とても快適な場所だよ。

――ですが、あなたの家族は今もミュンヘンで暮らしていますね。ひどいホームシックを感じませんか?

今はちょうど1カ月間の予定で家族がやって来ているところなんだ。学校に行っている私の子供たちが夏休みなものでね。もちろん早めに予定を立てて、10月と12月にもまた家族が日本へ来るようにしているよ。私がウィーンやキプロスにいた時も家族は一緒にいなかったけれど、その頃は当然ながら行ったり来たりするのが今よりは簡単だったね。そんなわけで、家族はこういう暮らし方に慣れているんだ。それに監督という仕事柄、半年後にはもうまた用済みになっているのやらいないのやら、その辺のことは全然わからないからね。

――なぜあなたの家族は一緒に引っ越してこないのですか?

子供たちをそのたびに彼らのいる環境から引き離すのはいいことじゃない。けれどちょうど今、来年には長期的な見通しを持って家族がこっちへ移ってくるかどうかをじっくり考えているところだ。だが、まだ決まったわけじゃない。

■「ライバルにはヴェンゲルもいた」

――ところで、あなたはどういういきさつでヴィッセル神戸へ来ることになったのですか?

選手の仲介人を務めているある人物を通じて、ヴィッセル神戸との間にコンタクトが生まれたんだ。彼自身が以前は選手だったし、私はインゴルシュタットで彼と一緒に仕事をしたことがあった。ジャイメ・ブラガンサだよ。彼はヴィッセル神戸との間にいいパイプを持っていた。彼がクラブの首脳部に私の経歴を紹介してくれたんだ。それから最初の話し合いがあった。楽天の三木谷浩史会長との話し合いだ。彼は何よりバルセロナのメインスポンサーでもある。そういうビジネスマンは非常によく事情に通じていて何も知らないわけではないから、納得してもらうためにはずいぶん骨を折らなければならなかった。私は自分のフィロソフィーを彼に示して、それからそのフィロソフィーがクラブに合っているどうかが評価されたんだ。同時に私にとっても、ヴィッセルのプロジェクトが自分の求めているものなのかどうかが問題だった。私にとっては大きなチャレンジだったよ。

――三木谷浩史会長を通じてヴィッセル神戸とバルセロナの間には緊密な協力関係が生まれていますね。

まさにその通り。両者の協力関係はつい最近始まったばかりだ。

――具体的にはどういう点で協力が図られるのですか?

私たちは夏に初めてテストマッチを行ったところだ。育成分野では、スペインの監督が日本へ来て、日本の監督がスペインへ行くという緊密な交流が行われることになっているんだが、スペインの選手を私たちのクラブへ貸し出すといったことも将来的には大きなテーマの一つになるだろう。三木谷氏はそういった交流や連携に非常に心を配っている。彼はバルセロナのスピリットやフットボールの流儀に魅せられていて、それをヴィッセル神戸でも実現したいと考えているんだ。目標は、バルセロナとの協力関係のもと日本で大きな前進を遂げることであり、守備的戦術ではなく洗練された圧倒的なボールポゼッションタイプのフットボールによってそれを達成することだ。

――別のクラブで仕事をすることを考えたことはなかったのでしょうか?

確かにもっと故国に近い場所で、何か別の仕事を引き受けることもできただろう。けれどお互いに相性が合うことが必要で、ヴィッセル神戸との間にはそれがあるんだよ。

――ヴィッセル神戸の監督のポストについてはライバルがいたのですか?

ヴィッセルはかなりの数の優れた監督と話し合いを持って、その中にはアーセン・ヴェンゲルも含まれていた。この仕事を欲しがる者は大勢いたんだが、どうやら私はうまく自分をアピールできたらしいよ。

■ポドルスキの復帰はいつ?

――ところで、ルーカス・ポドルスキの手術後の様子はどうですか?

これまでのところ、私はルーカスのことは個人的に全然知らないんだ。彼はまだ耳に問題を抱えている。相変わらずドイツにいて、残念ながらまだ飛行機で旅をする許可は出ていない。まだ危険すぎるんだよ。

――いつ彼の復帰を望めそうですか?

私の希望としては2週間後に戻って来てくれるといいと思うんだが、様々な意見が錯綜する状態が続いている。治癒の経過を詳しく予測することは非常に難しいんだ。彼がまたちゃんとしたコンディションを取り戻すまでには、きっと4週間から6週間はかかるだろう。

――クラブを背負って立つ選手として彼の役割はどのくらい重要なんですか? この先あなたは彼をどんなふうに使おうと思っているのでしょうか?

私たちは最近4人の外国人選手を雇い入れた。ポドルスキが戻って来れば、すぐに彼のコンディションをチェックしなければならない。もちろん彼のことは、今シーズン重要な役割を担う選手として計画に入れていたよ。彼はクラブの看板選手の一人であり、非常に知名度が高く、その性格のおかげで非常に人気がある。だから、当時のヴィッセルはとにかく彼と契約したかったんだ。彼は今後も指導的役割を果たす選手として確実に計画に組み入れられているが、もちろん誰を試合に出すかは外国人規定によって左右されることになる。ルーカスのことはシーズンの終わりまでしっかり計画に組み込まれているよ。

――ポドルスキとの契約はまだ2020年まで残っています。その後はどうなるのでしょうか?

将来の身の振り方について、彼自身はまだ何も予告していない。けれど彼は復帰に熱意を示しており、リハビリに励んでいるところだ。

■盟友サリハミジッチのSDとしての評価

――最後に、以前あなたの活躍の場だったバイエルン・ミュンヘンの話を聞かせてください。あなたはまだバイエルンに対して深い結びつきを感じていますか?

相変わらず強い結びつきを感じているね。それは紛れもなく明らかだ。伝説となった数々の試合を戦った私たちかつての選手の間では、何度も会合が開かれている。まもなく2001年のチャンピオンズリーグ優勝20周年を記念してみんなで顔を合わせることになっており、パーティーが開かれるだろう。当時一緒にタイトルを取った選手たちのことを私が悪く言うなんてまったく考えられないことだ。私たちは一つの家族だった。一緒に優勝を祝ったし、1999年(編集部注:チャンピオンズリーグ決勝戦において1-2でマンチェスター・ユナイテッドに敗れた)には一緒に悲しんだ。そういうことが私たちを固く結びつけているんだ。バイエルンとの絆はいつまでも失われることはないだろう。

――夏に大変革を経験し、フランク・リベリとアリエン・ロッベンが去った後のバイエルンに何を期待しますか?

バイエルンにフットボールのことを教えてやる必要はないね。バイエルンは移籍市場でまだ一つ二つ皆を驚かせるようなことをやるだろう。まさに攻めの姿勢で、さらに激しい競争に挑むのは間違いないだろう。ウィングを務めるセルジュ・ニャブリやキングスレイ・コマンのような選手には特別なレベルが備わっている。だが、長いシーズンの間に3つの戦場(ブンデスリーガ、ドイツカップ、チャンピオンズリーグ)に参戦するとすれば、左右のウィングに高いクオリティの選手をもっと揃えなければならないこともバイエルンにはわかっている。

――この夏のバイエルンの移籍状況は、これまでのところ多くのファンから批判的な目で眺められています。あなたは今夏の処置をどう評価しますか?

まさかウリ・ヘーネスやカール=ハインツ・ルンメニゲ、あるいは若々しい熱意を持ったハサン・サリハミジッチのようなプロの中のプロたちが、メンバーの現状を軽視しているとは思っていないだろう。バイエルンには十分な経験と専門知識がある。私は何年もバイエルンにいたから、今のような状況を身をもって経験したことがある。バイエルンは彼ら自身が何を望むのかよく心得ているクラブだよ。

――あなたはハサン・サリハミジッチと非常に親しい間柄で、以前は一緒にプレーしていました。彼の就任や仕事ぶりに対して批判が絶えないことをどう思いますか?

私たちはよく一緒に話をするし、非常にいい関係にある。以前は共に多くの成功を祝った仲であり、アウェー戦の遠征の時にはルームメイトだった。ブラッツォ(サリハミジッチの愛称)にはプロとしての腕が備わっているし、クラブのことに隅々まで通じている。私たちは彼の仕事や一人ひとりの選手のことについても話し合い、意見を出し合っているんだ。少なくとも、その時に話題になっていることについて彼が私に話せる範囲でね。彼は何カ国語も使いこなせるし、育成分野のこともよく知っている。だが、バイエルンで認められるためにはとにかくまず何かを達成しなければならない。その場合、昨季は2冠を達成したが、十分じゃないと思われるようになっているんだ。

――ブラッツォはバイエルンの指導部で確かな足場を築くことができると思いますか?

彼には大きな未来が待っていると思うね。私は、以前クラブでプレーしていた選手たちと一緒に仕事をするというフィロソフィーは完全に正しいと思っている。今までも常にそれが成功のレシピだったことは間違いない。誰だって最初からすぐにうまくやれるわけじゃない。彼も長く今の仕事を続けていれば、それだけうまくやれるようになるはずだ。

――これからのバイエルンを作っていく役割を担う人物の一人にオリバー・カーンがいます。彼にはその力があると思いますか?

それは間違いないね。彼はバイエルンがどんなクラブなのかよく知っているし、独自の性格の持ち主だ。そういう特別な仕事に必要なインテリジェンスを備えており、偉大なオーラも持っている。その個性から言って、彼はバイエルンを偉大な未来に向かって導くのに理想的な人物だ。

――それにもかかわらず、まさに国際的な移籍市場においては、バイエルンはその絶大な影響力を失ってしまったのでしょうか?

私はそうは思わない。バイエルンには国際的な場で話し合いに参加するだけの財政的手段が備わっている。だが、私の現役時代にもすでにそうだったように、たとえばレアル・マドリーにはまったく別のチャンスがあり、バイエルンより大勢の質の高い選手をチーム内にそろえている。けれど、リロイ・サネがプレミアリーグからバイエルンへの移籍に近づいたというのは、今なおバイエルンが大きな影響力を持っており、依然として世界のトップ選手たちの興味を引くクラブであることをはっきり示している。私は、サネは彼のポジションで3本の指に入る選手の一人だと思っているんだ。

――ボルシア・ドルトムントは大量の資金を投入していますが、それが意味する危険はバイエルンにとってもはやここ数年ほど大きくないのでしょうか?

ドルトムントの動向は非常に有益なことだとも言える。ドルトムントは実にクレバーな買い入れをしており、それにふさわしく優勝争いに加わるだけの力を蓄えている。だが、今もやはりバイエルンを超えずにはドイツ王者への道は開けない。それは私が保証するよ。

▶Jリーグ観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

【関連記事】
DAZNを使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
DAZNが「テレビで見れない」は嘘!6つの視聴方法とは?
DAZNの2019年用・最新取扱説明書→こちらへ ┃料金体系→こちらへ ※
【簡単!】DAZNの解約・退会・再加入(一時停止)の方法を解説 ※
【最新】Jリーグの試合日程・放送予定一覧/2019シーズン
Jリーグの無料視聴方法|知っておくと得する4つのこと
「※」は提携サイト『 Sporting News』の提供記事です