Rodri Manchester City 2019-20Getty Images

【独占】シメオネとペップ、世界最高の指揮官2人から指導を受けた男:ロドリが語る“アンカー論”/インタビュー

『ロドリのパスはイングランドの銀行よりも安心』とは、マンチェスター・シティの熱狂的なファンの言葉だ。これはおそらく、イングランドの偉大なGKでワールドカップの優勝も果たしたゴードン・バンクスの偉大さを称える賛辞の言葉からインスピレーションを受けてできたフレーズだろう。クラブ史に残る7000万ユーロの移籍金でアトレティコ・マドリーを退団したロドリゴ・エルナンデス・カスカンテ(マドリー出身、1996年6月22日生まれ)が、『Goal』と『DAZN』のインタビューに答えてくれた。

インタビュー・文=ルベン・ウリア/Rubén Uría

「23歳にして現代最高の監督2人から指導を受けられた」

Rodri Manchester City 2

――マンチェスター・Cのようなビッグクラブ、プレミアリーグのような巨大なリーグへに適応はいかがですか?

「シティは素晴らしいプロジェクトを持つヨーロッパのビッグクラブの1つだよ。ここにいられるのは夢だね。個人的に、選手として成長するための挑戦だと思う。プレミアリーグのような、世界中に大きなインパクトを与えるリーグでの新しい経験ということにもなるね。満足しているよ、本当に」

――クラブにはペップ・グアルディオラという人物像が常に付いて回りますね。ペップと過ごす毎日はどんなものでしょうか?

「グアルディオラとの距離は近いし、至って普通だね。僕はスペイン人だからより緊密な関係を持てているかな。時々監督ではなくて友達やチームメイトのように感じるし、よくある選手との距離というものを超えることができる監督だよ。関係性を縮めること、一緒に話すこと、指導することをいつも心がけているね。常に教える姿勢、ポジティブな姿勢がある。それがグアルディオラをとてもよく物語っていると思う。物ごとが上手くいっているときに何を話すべきか、逆に悪いときに何をすべきかがわかっている監督さ。グアルディオラのレクチャーや会話は人生全般にフォーカスされていて、人として、プロフェッショナルとしての成長にもつながるよ。自分のことを気にかけてくれるグループの一員なんだと感じられるんだ」

――マンチェスター・Cは、リヴァプールとの競争が常に話題に上がっています。彼らは考え得るなかでもっとも厳しいライバルでしょうか?

「個人的に、リヴァプールは僕が対戦した中で最高のチームだと言えるね。エリアを支配してとてもアグレッシブだ。ラインを上手に支配しているし、それによって恐ろしいチームになっているよ。選手もとても素晴らしいね。でも、どんなチームにも勝てる可能性はあるし、僕らは最後まで戦うよ」

「目標がリヴァプールを倒すことなのかはわからないな。ヨーロッパチャンピオンだし、まずはチームのことを考える必要がある。もし僕らがリヴァプールのことばかり考えていたら大きな代償を払うことになるだろう。アトレティコ・マドリーやディエゴ・シメオネのように、毎試合を僕ら自身に集中することがベターだよ。決して休んではいけないし、毎試合を決勝だと思って戦う必要があるのさ。それがグアルディオラの毎日の教えだよ」

――あなたはシメオネの指導を受けたあと、今はグアルディオラの影響下にありますね。両監督で似ている点、異なる点は何でしょうか?

「シメオネとグアルディオラは対極に位置しているね。23歳にして現代最高の監督2人から指導を受けられたおかげで、守備面と攻撃面の両方で物凄く成長できた。2人が異なるフットボール観を持っていることは周知のとおりだけど、どちらも勝者で、選手の成長のために毎日24時間仕事をしているよ。2人とも最高の監督だね。シメオネは一貫性と忍耐のスタイルで、一方のグアルディオラは革新的なスタイルで日々成長しているよ」

――他にプレミアリーグで真に影響力のある監督といえば、ジョゼ・モウリーニョが挙げられますね。新たなクラブへの監督復帰がニュースになりましたが、モウリーニョがベンチに戻ってきたことをどのように解釈しますか?

「モウリーニョは自分が最も好むプレーをまた実践するだろうから、プレミアリーグに復帰したことは喜ばしいね。メディア的なのに勝者でもあるというキャラクターを持つ監督だから、ポジティブなことだよ。多くの実績を勝ち取ってきたし、イングランドのフットボールにとってもポジティブなんじゃないかな。ある監督(マウリシオ・ポチェッティーノ)が去って別の監督(モウリーニョ)が来る。フットボールにとってもいいことだね」

「アンカーは生まれてくるもの」

Rodri Manchester City 1Goal

マンチェスター・シティのクラブハウス(最新のテクノロジーによって十二分の快適さを誇る、1億ユーロ超のコストがかかった素晴らしい施設)にある屋内練習場の1つに座るロドリだが、守備的MF(アンカー)に関するテーマに話が及ぶと、さらにリラックスした様子を見せた。『Goal』は、キャリア初期の話、プレーを理解する方法、コンディション、そして何よりもアンカーというポジションが元々適性を持つ選手のものなのか、それとも後からでも育てることができるのかについて語ってくれた。

――あなたのアンカーポジションへの愛情はどこから来ているのでしょうか?また、今のポジションでのキャリアはどのようにスタートしたのでしょうか?

「父の影響で、小さい頃からアンカーのポジションが好きだったのさ。面白いエピソードがあって、僕は監督から尋ねられるたびに『アンカーでプレーしなくてはいけないんです』と答えてきたんだよ。最初に僕を今と同じ守備的なピボーテのポジションに配置したのは、アトレティコ・マドリーのインフェリオール・カテゴリー(下部組織)で監督をしていたフラン・アルコイさ。僕にとってはクラブで2人目の監督で、とても尊敬する人物だよ。アルコイは僕をアンカーの位置に置いて、このポジションのコンセプトを伝授してくれた。ワンタッチやツータッチのプレーを意識するようになったし、バルサやセルヒオ・ブスケツのプレーをよく見ていたんだ」

――ただ、あなたの幼少期の頃のアイドルはジネディーヌ・ジダンでしたね。アンカーの選手ではありませんでした…。

「ジダンは子どもの頃の一番のアイドルだったよ。でも、その後の僕のスタイルを考えたとき、僕はジダンのような特徴は持ち合わせていなかった。ジダンはピッチの3/4よりも前でプレーしていたし、よりイマジネーションが豊富な代わりに責任という点では小さかったと思う。僕のポジションはより大きな責任が伴うよ。僕がよりよい選手になるためには、シャビ・アロンソやブスケツといった選手が素晴らしいお手本だったね」

――チームのアンカーを担う上で、最も難しいことは何でしょうか?

「最も難しいのは、今いる場所に適応すること。それが1つ目めかな。2つ目は試合の局面を読むことだよ。ポジショニングをどこに置くか、どうやって展開を描くか、どうやって今の状況を理解するかということだね。試合ごとに異なるプランが求められるなかで、今何が起きているかを分析しなくてはいけない。良いアンカーはボール奪取やパスカットといった自分の存在を発揮するためのポジショニングがわかっているものだ」

――アンカーの選手は生まれてくるのでしょうか?それとも育て上げるものですか?

「アンカーを務めるには明確なコンセプトを持つ必要がある。生まれてくるものだと思うね。それから少しずつプレーの構築や磨き上げをしていくのさ。そのために監督は手を差し伸べてくれるし、後押しもしてくれる。信頼も与えてくれるだろうし、プレーを進化させる方法も教えてくれるよ。でもやっぱり、アンカーは予め適性を兼ね備えて生まれてくるものだと思うよ」

――あなたはシメオネとグアルディオラの下でアンカーとしてプレーしましたね。両者のスタイルは理論的に対極に位置しています。アトレティコ・マドリー時代、シメオネはチームを操る役割として具体的にあなたにどんな指示を出していたのでしょうか?

「シメオネの主な指示はプレー参加だったよ。非常に流動性を必要としたチームで、大胆さ、特に攻守のつなぎ役となることが求められていたね。(自陣と敵陣の)2つのエリアとピッチ中央に強固さを保つために、誰かが少しボールを蹴り出したら別の選手、これが僕だったんだけど、ポジショニングを維持するようにしていたね。シメオネは攻撃面と守備面の両方に強固さを求めていたよ。フットボールをスピードとダイナミズムで理解する監督だから、アグレッシブさと縦の動きが重要だった。少ないパスで相手陣内に到達するのを好んでいるね」

――グアルディオラとシメオネでは、あなたへの要求がそこまで大きく違っているのですか?

「グアルディオラとシメオネの間にそこまで大きな違いはない、と言っても結局は信じられないと思う。ただ、確かにプレースタイルは変わったね。僕は唯一のアンカーで、チームはよりオープンにプレーしているから、異なるタイミングで別の動きが求められる。たとえば、空中戦では常にジャンプして競り合うことはできない。もし相手のプレッシャーを受けているのに空中戦で競り負けてしまえば、誰も僕を助けることができなくなってしまうからね。いつ飛び出していつ留まるのかを読まなくてはいけない。1人しかいないポジションで誰も守ってはくれないから、これはとても難しい判断なんだよ。より孤独なのさ。失敗すれば普通よりも目立つしね。でも僕の成長にとって素晴らしいことだと思っているし、シメオネとグアルディオラは僕を本当に成長させてくれた」

――グアルディオラはアンカーの役割を完璧に理解していて、大きな助けになっていると思いますが……。

「グアルディオラはとても“教えたがり”だよ。元々アンカーでプレーしていたし、選手を助ける才能もある。でもそれはFWやSBについても同じだよ。フットボールのことを非常にシンプルに理解していて、プレーの判断は選手自身が下すべきという考えの持ち主さ。アンカーの僕にはいつ飛び出すのか、いつ留まるのかのタイミングを見極めるために試合をもっとコントロールしなくてはいけないことを教えてくれたよ。グアルディオラは僕のことを本当によく助けてくれているね」

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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

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