ダヴィド・アラバは人柄も発言も非常に素晴らしい。
試合後にミックスゾーンで質問を受ければ、いつも何か印象的な言葉を残す。大抵の場合、彼の言葉は少なくとも小さな笑いを誘い、時には笑い声さえ引き起こす。アラバはすでに12年間ミュンヘンに身を置き、いわば人生のほぼ半分をミュンヘンで過ごしているわけだが、いまだにウィーンの訛りとユーモア感覚を失わずにいる。一方で彼は、派手に大見出しを飾ったり物議を醸したりするような発言はめったにしない。彼は強烈な個性を備えた主力選手というよりは、むしろ常に上機嫌なお祭り男のように振る舞っているのだ。
Imago Imagesだが、彼が別の顔も持っているということが、コロナ危機とそのせいで導入された無観客試合によって明らかになっている。バイエルンの試合では、敵陣ではトーマス・ミュラーが咆哮をあげながら走り回り、一方の自陣では同様にアラバの吠える声が聞かれる。2-0で勝利したウニオン・ベルリン戦然り、5-2で勝利したアイントラハト・フランクフルト戦然りだ。ドルトムント戦前に開かれた月曜日の会見でも、ハンジ・フリック監督は「彼はチームを引っ張り、号令をかける存在だ。最近のようにスタジアムが静かだと、それがよくわかる」と語っていた。
リーダー的存在にふさわしく、たとえばフランクフルト戦でのアラバはイヴァン・ペリシッチやジェローム・ボアテングに大きな声で呼びかけて、彼らのプレーを称賛していた。南ドイツ新聞(ミュンヘンに本社を置く新聞)によれば、「おい、審判、あいつらはこいつにばっかり襲いかかってるじゃないか」と食ってかかりさえしたという。
これはアルフォンソ・デイヴィスをめぐっての発言だった。彼の存在こそ、アラバがセンターバックというリーダー的存在にふさわしい位置でプレーするようになったきっかけを作った選手である。
■アラバがCBへ移ったワケ
Gettyかつてアラバはペップ・グアルディオラの下で初めてセンターバックを経験したことがあるが、今季は前半戦のフランクフルト戦でこのポジションに起用された。周知のようにこの試合は1-5の敗戦に終わり、ニコ・コバチ監督の退任を導く結果に終わっている。
後継のハンジ・フリック監督はアラバをセンターバックの位置に留めたが、初めは消去法に従っての決定だった。つまり、監督はデイヴィスを左サイドバックに置きたかったし、ヨシュア・キミッヒは中盤で使いたいと思っていた。そうなるとバンジャマン・パヴァールを右サイドへ移さねばならず、ニクラス・ジューレとリュカ・エルナンデスはケガのせいで離脱していたため、センターバックのポジションでは他にアラバしか選択肢がなかったのだ。
だが、アラバはCBとしても一流であることをすぐに示した。彼が最初にセンターバックを務めた試合の後、レオン・ゴレツカは次のようにアラバを称賛している。
「彼は僕たちとたくさんコミュニケーションを取って、守備を高い位置へ押し上げてくれる。1対1の戦いに強いし、彼が攻撃的に前へ出ることを考えるせいで、チームがしっかり安定するんだ」
さらに、キミッヒはセンターバックを務めるアラバについて「世界最高の選手の一人」だと称えている。
■なぜCBとしても優れているのか?
Imago Images今ではもはや、アラバは消去法の結果としてセンターバックでプレーしているわけではない。アラバがそこにいるのは、彼流に表現するなら、“メッチャうまく”やってのけられるからだ。とっくの昔にケガから回復し、ブンデスリーガ史上最高となる8000万ユーロ(約99億円)でアトレティコ・マドリーから獲得されたリュカが及びもつかないほどに。
フリック監督の就任以来、アラバはヨーロッパの5大リーグのすべての選手の中で4番目に多くのパスを出し、その91%を成功させている。特に注目すべきは、彼が前線へ出した292のパスがそれしかないという最適なパスであることだ。
「アラバはゲームの始め方が非常にうまい。いいパスを出して攻撃の端緒を作り、時には2ラインを越えるパスも出す」そう話すのはフリック監督だ。
さらに、アラバの1対1の勝率は64%に達しており、フリック監督の就任以後ブンデスリーガの全選手の中で8番目に位置している。5-2で勝利を収めたフランクフルト戦では、実に80%に達していた。
元々、フリック監督は一人ひとりを褒めることはやらないのだが、フランクフルト戦でのアラバの働きについては、「アラバが守備を統率するやり方はまったくたいしたものだ」とはっきり言葉に出して褒めていた。まさにリーダーにふさわしい資質だと言える。今のところDFL(ドイツフットボールリーグ機構)による衛生上の配慮からミックスゾーンでのインタビューが停止されているため、残念ながら、試合後にアラバの考えを詳しく聞き出す機会はないが、彼の守備での統率については改めてうかがいたいところだ。
■去就はいかに?
Getty Images少なくとも交渉の席においては、今のところアラバは然るべき意見を表明しているようだ。ミュラーやマヌエル・ノイアーが期限に先立って契約を更新した今、アラバはチアゴ・アルカンタラと共に最後に残った主要選手であり、クラブ側が2021年に切れる契約の延長を望んでいるはずだ。
だが、アラバ自身はまだはっきり気持ちを固めていないようだ。コロナウィルスによってリーグが休止に追い込まれた直後、彼はGQ誌(国際的月刊男性誌)に「ミュンヘンは居心地がいいけれど、基本的には別の道に踏み出すことだって考えられる」と語っている。その数日後には、今後ピニ・ザハヴィがアラバの代理人を務めることが明らかになった。この76歳になる陰の人物は、数々の華々しい移籍を手がけたことで知られている。
夏が近づいてきた今、憶測や噂が飛び交うことになるだろう。
アラバはバイエルンを去るつもりなのか?これまで長い間に渡って繰り返し関心を表明して来たバルセロナかレアル・マドリーへ行くことを望んでいるのか?あるいはイタリアやイングランドのトップクラブを狙っているのか?最近、アラバ自身は将来の計画について胸の内を明かしていない。
だが、カール=ハインツ・ルンメニゲ会長の意向はこうだ。「ダヴィドはバイエルンで非常に愛されており、安定した地位を築いて、高い評価を受けている」。
バイエルン首脳陣は契約延長を希望しており、後にフリック監督も同様の希望を表明している。
いずれにせよ、彼がピッチの上で新たに占めるようになった役割は、クラブ内でのこのような評価にふさわしいものである。アラバは常に心ひそかに、他に人材がいないためにともかく務めさせられている左サイドバック以上の存在になりたいと願っていた。サイドラインから誰も耳を貸さない指令を出すのではなく、中央から指図したいと思っていた。彼の本職はセントラルMFであり、ピッチの中央にとどまる姿も様になる。センターバックは現代フットボールの陰のゲームメーカーとも言えるポジションなのだから。
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