“無名”の鎌田大地はのし上がれるのか?定位置確保に必要なこと【海外日本人展望】

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海外で戦うサムライたちの2017-18シーズンが始まる。彼らは新たな一年のスタートをどのような形で切るのか? チームにおける序列やシーズンの目標は? 識者たちが海外組の“現在地”を探る。

チーム内序列:レギュラー候補

ノルマ:今季中のゴール

目標:スタメン定着

文=山口裕平

■ドイツでは無名…だが期待度は低くない

フランクフルトで、鎌田大地に寄せられる期待度は決して低くない。

今夏、サガン鳥栖から160万ユーロ(約2億円)の移籍金でやってきた男は、日本代表歴はおろか年代別代表の経験もなかった。当然、ドイツでは無名の存在だった。しかし、チームにおける長谷部誠の存在感と、近年のブンデスリーガにおける日本人選手の安定した活躍からか、加入を伝える記事からはどこかポジティブな印象を読み取ることができた。

そして鎌田は自らのプレーでそれらの反応が間違いでなかったことを証明しつつある。

ドイツでは珍しい軽やかなボールタッチと類まれなるパスセンスで早くから特異なプレーヤーとして存在感を放つと、ドイツ誌『キッカー』で「興味深い新戦力」として名前が挙げられた。プレシーズンでは中盤の中央だけでなく、サイドハーフやウイングバックでも起用され、ニコ・コヴァチ監督から「ダイチはボール扱いが非常に優れていて、軽快で読みも素晴らしい。視野も広く、いつボールを受けて、いつダイレクトでプレーすべきか知っているんだ」と評価されている。また、指揮官は守備についても国際標準のレベルにあると述べている。

8月上旬には4部クラブとの練習試合で初ゴールをマークし、その後も3つの得点をアシストした。フランクフルトは1.5軍ではあったものの、鎌田は攻撃のアクセントとなって今後の活躍を期待させるプレーを見せた。コヴァチ監督からは「よりアグレッシブな試合で攻撃するためには少し物柔らかすぎる」と、ブンデスリーガにおける戦いに向けて注文をつけられたものの、「彼はボールを持った時にいくつもいいプレーを見せた」という評価を受けている。

■ポジション争いのライバルは?

コヴァチ監督は現状、5-2-3、5-3-2、4-4-2などトップ下を置かないシステムを中心に試していて、鎌田はサイドハーフかインサイドハーフのポジションで起用されることが多くなっている。

ポジションを争う最大のライバルになるのがメキシコ代表MFマルコ・ファビアンだ。彼は昨シーズン、期待された中でなかなかチームにフォットしなかったが、チーム最多となるリーグ戦7ゴールを記録した。力強いドリブル突破に加え、ゴールの匂いをかぎ分ける嗅覚を持っていて、今季も攻撃の中心として期待されている。

ただし、腰椎の問題でおよそ2カ月戦列から離れることが決まっている。チームは彼の穴を埋められる選手を探しているところなのだ。

実際のところ、ミヤト・ガチノヴィッチやアイメン・バルコックといった若手選手たちもファビアンの穴を十分に埋められる。22歳のガチノビッチは機動力に優れ、ボランチとしてもプレーできるほど献身的に守備をこなす選手だ。戦術理解度も高く、指揮官からは計算できる選手と見なされている。19歳のバルコックは足元の技術が秀でていて、巧みなドリブルで相手守備陣を突破できる。

そんな攻撃陣において、鎌田の最大の武器は何といってもパスセンスだ。プレシーズンの時点で多く見受けられているように、スルーパスで決定機を演出するシーンをいくつ作れるかが彼の生命線となってくるだろう。

■レギュラーになるために必要なこと

では、鎌田がポジションを得るために必要な要素は何になるのか?

ポイントとなるのはFWとの連携と、彼ら決定力だ。鎌田がボールを持ったときにFWがゴール前に走り出すくらいの意識がチームに出てくれば、彼の能力はより発揮される。一方で彼らが決定機を決めてくれなければ鎌田のプレーの印象は薄くなる。FWの働きに多くが掛かっているとも言えるわけだ。

気になる連係面であるが、少なくとも鎌田のチームへの順応は進んでいる。フランクフルトはリーグ最多20カ国の選手で構成され、もともと外国人選手が多いため、溶け込むにあたって大きな障害はない。練習では長谷部がドイツ語を訳しているが、鎌田も「サッカーのことなら大体分かる」と専門用語の取得は進んでいる。言葉の問題からか練習では長谷部とペアを組むことも少なくないが、本人もなるべく他のチームメイトとコミュニケーションを取るようにしている。

スタジアムの平均観客動員数世界一を誇るドイツの雰囲気はすでに感じていて「日本とはサッカー文化が違うと言っていいほどサッカー熱がありますし、世界的に見ても観客や雰囲気、激しさはあると思うので、そういう舞台で早くできるようにやっていきたいです」とブンデスリーガでのデビューに燃えている。

文=山口裕平

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