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潮目は変わった。鬼門を打破したいセレッソ大阪、15年ぶりのアウェイ勝利へ総力で【大阪ダービープレビュー】

■大阪ダービー予想フォーメーション

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■青黒のレヴィーに成長した姿を見せる

17日に行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージ第6節で広州恒大に1-3で敗れ、セレッソ大阪にとって3度目となるアジアの挑戦は幕を閉じた。

20日の練習後、ACL敗退を振り返って「われわれの実力が及ばなかった」と尹晶煥監督は話した。「試合前の練習の雰囲気もすごく良かったし、中国に行ったメンバーはチームを代表して戦った。だからこそ勝ちたかった。自分は出ることができなかったけど、試合が終わったあとはすごい脱力感があった」と振り返るのは水沼宏太だ。

「ここからリーグ戦、ルヴァンカップ、天皇杯と大会がある中で、最初の試合が明日の大阪ダービー。舞台としてはこれ以上ない。気持ちのこもったプレーを見せて、ガンバをしっかり叩いて、クラブとしてさらに上にいきたい」。再スタートとなる今節の大阪ダービーを、水沼はそう位置付ける。

C大阪としては、リーグ戦5連勝、ACL敗退後の再出発、という要素に加え、今節の大阪ダービーには、“青黒のレヴィー・クルピ監督”との対峙、という大きなトピックもある。「今までのダービーの中で一番楽しみ。早く試合がしたい。レヴィーをガッカリさせるプレーはしたくない」と柿谷曜一朗がワクワク感を隠せない様子を見せれば、清武弘嗣は「レヴィーと一緒にやった2年間はすごく楽しかった。僕がここまで来ることができたのも、レヴィーとの2年間があったから」と言葉に気持ちを込める。

もっとも、ただの再会で終わらせるつもりはない。「感謝の気持ちを持ちつつ、成長した姿を見せて、最後は勝って終わりたい」(清武)とあくまで勝利にこだわる姿勢をかつての恩師にぶつける。

■桜の歴史を変えた場所、吹田

パナソニックスタジアム吹田での大阪ダービーと言えば、昨年10月8日のJリーグYBCルヴァンカップ準決勝第2戦。試合終了間際に木本恭生が決勝点を決め、C大阪が劇的な勝利を収めた一戦以来となる。あの試合に勝ったことが、クラブ史上初のタイトル獲得となったルヴァンカップ優勝へつながった。言わば、セレッソにとってクラブの歴史を変えた一戦であり、スタジアムでもある。ただし、リーグ戦においては、昨季は第19節で1-3の完敗を喫し、大阪ダービーの歴史を紐解いても、G大阪とのアウェイ戦では03年7月のJ1・1stステージ第12節以来、勝利がない。

昨季、2冠を獲得し、クラブに新しい歴史を築いたセレッソとしては、ガンバのアウェイ戦という鬼門を今季こそ打破し、まだ見ぬリーグ戦の頂点へと駆け上がっていく契機の一戦としたい。

文=小田尚史

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■クルピの下では開花せず。杉本健勇のダービーに懸ける思い

「皆さんが特別にしてくれていると思います。スタジアムの雰囲気もそうですし、サポーターのかたが盛り上げてくれる。僕たちが特別に思うというよりも、勝手に湧き上がってくる気持ちが大きい。そういう舞台を作ってくれることはありがたいですし、そこでプレーできることに感謝して、しっかり勝ちたいと思います」。試合前日の20日、練習後の囲み取材で「大阪ダービーは特別か」と聞かれた杉本健勇は、こう答えた。

ピッチに立つ選手の一挙手一投足に注目が集まり、ワンプレーごとに歓声が沸き、悲鳴がこだまする。血沸き肉躍る大阪ダービーだが、昨季のリーグ戦で、杉本は2試合とも得点を決めている。ホームで行われた4月の第7節は、自身にとってのシーズン初ゴールを含む2得点。アウェイでの第19節も、先制点を決めた。ただし、ホームでは試合終了間際に追いつかれて引き分けに終わり、アウェイではその後3失点して逆転負けを喫している。

常々、「チームを勝たせるゴールを取りたい」と話している杉本としては、納得のいく結果ではない。それだけに、「明日は自分が決めることも大事だけど、まずはチームが勝つこと。それをもたらせるゴールを自分が決めることができればいいと思います」と話す。

“青黒のレヴィー・クルピ監督”との対峙が話題を集める今節。杉本もまた、クルピ・チルドレンの一人だが、柿谷曜一朗や山口蛍、清武弘嗣や丸橋祐介といった、クルピ監督の下でその能力をいかんなく発揮していた選手たちとは、捉え方もまた違う。

当時、高校3年生だった2010年7月にトップチーム昇格が決まって以降、「ストライカーとして必要なすべての要素を持っている。日本を代表するFWになれる資質はある」とクルピ監督に高く評価されていたが、クルピ監督の下ではついぞ、ストライカーとして花開くことはなかった。チームが躍進した13年もリーグ戦に30試合出ているが、サイドのMFでプレーすることも多く、得点数は「3」にとどまっている。

クルピ監督がセレッソを離れて以降、15年の川崎フロンターレへの移籍を経て、C大阪に復帰した16年のJ2で得点を量産すると、昨季、得点王にあと一歩と迫る22得点を挙げ、ついにストライカーとして覚醒した。

恩師との対戦に際し、「成長した姿を見せたい」という決まり文句は、今回の一戦での杉本にこそ、よく当てはまる。ただし、当の本人は「楽しみではありますけど、勝負事なので」と気負う様子はほとんどない。それよりも、「リーグ戦では昨季はガンバに勝てていないので、まず試合にしっかり勝つことを考えています。その上で、レヴィーに成長した姿を見せることができたらいいし、そういう姿を見せることが、チームの勝利にもつながると思う」と、あくまでチームの勝利最優先の姿勢を崩さない。

当時二十歳そこそこの若者に対し、「日本を代表するFWになれる」と評したクルピ監督。その目に狂いがなかったことを、本人の前で見せ付けるべく、背番号9のゴールを期待せずにはいられない。

文=小田尚史

プロフィール:FW 9 杉本健勇
1992年11月18日生まれ、25歳。187cm/79kg。大阪府出身。FCルイラモスヴェジット-C大阪U-15-C大阪U-18を経てトップチーム昇格。12年は東京Vに期限付き移籍し、13年復帰、また15年は川崎Fに期限付き移籍し、16年復帰。J1通算155試合出場41得点、J2通算59試合出場19得点(18年4月20日時点)

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