11月30日、明治安田生命J1リーグ第33節でFC東京は浦和レッズと1-1で引き分けた。首位・横浜F・マリノスとの勝ち点差は開き、優勝条件はかなり厳しくなった。しかし、この試合でたしかに見えたものもある。【取材・文=飯尾篤史】
■怒涛のラッシュを仕掛けるも
©J.LEAGUEからっと晴れた天候のおかげだけではないだろう。雨天に見舞われた1週間前の湘南ベルマーレ戦とは何もかもが違った。選手の迫力も、サッカーの内容も、スタジアムの雰囲気も――。
首位の座を横浜F・マリノスに譲り、苦手な浦和レッズを迎え撃ったホーム最終戦。逆転優勝を狙うFC東京は、立ち上がりから怒涛のラッシュを仕掛けた。
4分と6分に立て続けにディエゴ・オリヴェイラが、2分後にも永井謙佑が決定的なシュートを放つ。いずれもゴールを割れなかったが、津波のようなアタックで浦和を飲み込むと、ボール非保持のシチュエーションでも永井が激しくファーストプレスを仕掛け、東慶悟、三田啓貴、橋本拳人らが二の矢、三の矢となって襲いかかった。
「(長谷川)健太さんから『アグレッシブに、空回りしてもいいから行け』と言われていた。そのために2トップを生かそうということをチームとして共有できていた」
そう振り返ったのは、2試合ぶりにスタメン復帰した三田である。そこに、9試合ぶりのホームゲームで浮足立った前節のような、ナイーブな姿はまったくなかった。
もっとも、好機を逃し続けていると、運気が逃げるのは勝負事の常。39分にコーナーキックの流れから先制されると、さらにアクシデントに見舞われる。42分にディエゴ・オリヴェイラが、57分に永井が、負傷によって交代を余儀なくされてしまうのだ。
攻守にわたってチームを牽引してきた“ダブルエンジン”の離脱――。この絶体絶命のピンチからチームを救ったのが、今季リーグ戦無得点の田川亨介だった。
「チャンスは散々もらってきたし、本当に迷惑を掛けてきた」という男が、この大一番で初ゴールを叩き込む。結果、1-1のドローに終わったが、東京らしいアグレッシブでスピーディな試合運びができていたのは、間違いない。キャプテンの東も振り返る。
「途中から入った亨介や(ナ・)サンホがいい準備をして、すごくいいプレーをしてくれた。先週の湘南戦と結果は同じですけど、内容は全然違うと思います」
スタジアムの雰囲気も1週間前とは大きく違った。
大音量による歌声で最初から最後までチームを鼓舞し、後押しする。その一方で、試合前にはウェーブを生み出し、それに乗らないアウェイサポーターに対してお約束のブーイングを見舞って、盛り上がる――そんな様子を見ていて思い出したのは、15年前のナビスコカップ決勝だ。
前年のカップウイナーである浦和に東京が挑んだ国立競技場での決戦でも、そうやってプロレス的な挑発を繰り返し、最後にはカップを奪い獲っていった。
■選手たちに悲壮感はない

あの日、「この先、浦和に勝てなくてもいいから、今日だけは勝たせてくれ」と願った東京サポーターが大勢いたから、それ以降の公式戦で2勝9分24敗と、びっくりするほど相性が悪いのかもしれないが、この日のドローゲームは、東京にとって大事なものを取り戻すきっかけになったに違いない。
横浜との勝ち点差は3、得失点差は7。逆転優勝するためには、最終節の直接対決で4点差以上の勝利が求められるが、それでも、選手たちに悲壮感はなかった。
「4点差で勝ったら優勝という状況を経験できることって、なかなかない。もう楽しみで仕方ないですね」と渡辺剛が笑みを見せれば、三田も落ち着いていた。
「サッカーは本当に何があるか分からない。ロッカールームでも誰も諦めていなかった」
東京にとって拠りどころとなるのは、直近の対戦で横浜から大量得点を奪ったという事実だろう。今季の17節では4-2で、昨季の17節には5-2で勝利しているのだ。橋本が自信を覗かせる。
「いけるんじゃないかっていう雰囲気がチームにある。(2016−17シーズンのCL)バルサ対パリ・サンジェルマンも、5点差を付けなきゃ勝ち抜けない状況でバルサが6-1で勝った。世界でもそういうことが起きたので、Jリーグでも起こしたいと思います」
プロサッカー選手の寿命は10年前後。決して長いとは言えない。そんな儚い選手生命において、リーグ優勝を経験できる選手が一体どれだけいるか。東京でリーグ優勝の美酒を味わったことがあるのは、髙萩洋次郎、大森晃太郎、丹羽大輝、オ・ジェソクの4人だけ。横浜にも栗原勇蔵、ティーラトン(タイリーグ)しかいない。
だから、両チームとも、リーグ優勝を懸けて最終節の決戦に臨める幸せを噛み締めながら、この1週間を過ごしてもらいたい。そのあとは、これまで積み上げてきたものを、ピッチの上で表現するだけだ。
取材・文=飯尾篤史
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