日本代表で最もエネルギッシュなプレーヤーの一人である原口元気をもってしても、中東の暑さは体に堪えたようだ。
「予想以上でしたね。もう少し前から行けるかなと思いましたけど、最初の10分で『これはしんどいな』と感じた」
2018 FIFAワールドカップロシア アジア最終予選 第10戦、日本代表はサウジアラビア代表に0−1で敗れた。気温と湿度の高さが選手たちの体力と集中力を奪い、「なかなかイメージが共有できなかった」という。
「僕もチャンスがあったし、セットプレーでも多くチャンスがあった中で、なかなか決めきれなかった。敗因があるとすれば、そこだと思います」
前節のオーストラリア戦でワールドカップへの出場が決まった日本にとって、サウジ戦はいわゆる消化試合だった。しかし、原口はここで得た教訓や課題から目を背けてはダメだと主張する。
「(課題を今後に)生かさないといけない。『はい、負けました』で片付けてはダメ。ワールドカップで『負けました』では、終わってしまう」
ロシアで行われるW杯で、ここまでの暑さを経験する可能性は低い。だからといって「それを言い訳にしてもしょうがない」「相手が引いたり、戦いにくい相手だったりしたとき、どう戦うかというのは考える必要がある」と語る。
原口個人を見ていくと、今後は厳しい戦いに挑んでいくことが予想される。所属するヘルタ・ベルリンでは、去就の問題もあってレギュラーとして起用されていない状況にあるからだ。今夏、原口の放出を見越したクラブは同ポジションの選手を獲得。結果として原口が残留することになったため、競争は激化した。
一選手としてロシア行きの切符を勝ち取るためには、クラブチームで活躍することが必須条件だ。ヘルタ・ベルリンでベンチを温めることになれば、チャンスは遠のいていく。
だからこそ、原口はこう口にしたのかもしれない。
「チームとしての課題はもちろんあると思いますけど、僕はそういうのを考えるよりも、個人の課題に向き合うべきだと思います」
ロシアW杯まで、残り約10カ月――。
「すぐに過ぎると思う。一日一日を大事にしたい」
そう語るアタッカーは、再びドイツで、新たな戦いの日々に身を置いていく。


