浦和レッズ、CS決勝の再戦を乗り越えタイトル奪還へ…鹿島戦は栄光への道程/コラム

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浦和レッズは昨季の明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ決勝で鹿島アントラーズにアウェーゴールで上回られ、10年ぶりのJリーグタイトルを逃した。5月4日に迫る再戦は、浦和にとって絶対に負けられない一戦。選手たちの想いやその試合が持つ“意味”に迫った。

2016シーズンのJリーグ順位表を見る。トップには鹿島アントラーズと記してあり、続いて2位・浦和レッズ、3位・川崎フロンターレと続いている。遥か未来にこの順位表を見た者はいぶかしむかもしれない。リーグタイトルを手にした鹿島の最終成績は18勝5分11敗の勝ち点59、2位の浦和は23勝5分6敗の勝ち点74と記されている。勝ち点13差を付けたチームが後塵を拝する。その意味は当時のリーグレギュレーションを把握しなければ理解できない。

浦和は2016シーズンの明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ(以下、CS)で鹿島に敗れた。ホーム&アウェーで戦った第1戦は興梠慎三のゴールで先勝。しかし第2戦のホーム・埼玉スタジアムでは再び興梠が先制ゴールを奪ったものの、鹿島FW金崎夢生に2ゴールされて屈した。2戦合計は2-2のイーブン。しかし浦和は大会規定に準じてアウェーゴール差で敗れ、2006年以来10年ぶりの戴冠を逸した。

CSでの浦和は常に攻撃的姿勢を貫いた。アウェーで勝利しても戦闘本能をたぎらせ、ホームでも果敢に攻め立てて試合開始早々にゴールを奪った。本来なら、ここで冷静に相手をあしらえば良かったのだろう。しかし、血気盛んなホームチームは一層前のめりになり、ミスから同点に追いつかれると激しく動揺した。リベロポジションでピッチへ立った遠藤航は当時を振り返り、チームに芽生えた焦燥が敗戦の引き金になったと話す。

「金崎選手にゴールされて2戦合計2-1になった。その1失点目が大きかったのかなと思います。2-1になったことで、僕たち選手は『あと1点取られたら危ない』というメンタルに陥りました」

シチューエーションを認識して適切に振る舞う。Jリーグ史上最多タイトルを有する鹿島には状況に応じた『押し引き』があり、浦和にはそれがなかった。鹿島が常勝たる所以は、どのタイミングでフルパワーを発揮するかをチーム全体が熟知していることにある。彼らはリーグが定めたレギュレーションに沿い、CSを制することだけに注力した。Jリーグ史上最多タイの勝ち点を獲得してもタイトルマッチに敗れれば意味を成さない。槙野智章が鈴木優磨を倒して与えたPKを金崎が決めた瞬間、浦和に転がりかけていた栄冠が彼方に遠のいた。それが2016シーズンの浦和が認識した現実である。

Jリーグタイトルを獲得する。今季の浦和が果たす使命は明確だ。浦和は前節、リーグ戦首位に立ちながら『さいたまダービー』で最下位の大宮アルディージャに敗れた。埼玉県鶴ヶ島市出身で、浦和のアカデミー組織を経てトップチームに加わった関根貴大は、ダービー敗戦後に、「正直、次の鹿島戦に気持ちを切り替えることはできない」と落胆した。しかし時は刻々と刻まれている。浦和は究極の目標を見誤ってはならない。Jリーグ第10節の鹿島戦は大宮に敗れた屈辱を晴らす場ではない。昨季のCSで味わった悲嘆と悔恨はJリーグタイトルを奪還することでしか拭えない。5月4日の一戦はリベンジの場ではなく、栄光へ辿り着くための道程と捉えるべきだ。

浦和は『さいたまダービー』で傷を負った。前半で途中交代した柏木陽介が右太もも裏を痛め、遠藤が左足をねん挫して試合後に足を引きずりながらスタジアムを去ったことで、DF那須大亮、MF青木拓矢らが大一番で重要な役割を担う可能性も出てきた。しかし今季の浦和はチーム全体のベースアップを果たしつつある。誰が出場してもプレーレベルは保たれる。浦和は日々の訓練で培ったチームスタイルを標榜し、揺るぎない自信を携えて眼前の敵を討つ。

李忠成が、あえて自らを鼓舞するように宣言した。

「大宮に負けたことで、次の鹿島に勝たなければならないプレッシャーを掛ける形になりました。それでも、次は絶対に勝ちたいと思います」

困難を克服した先に光り輝くタイトルが見える。今季の浦和は、早くも乗り越えるべき第一関門の前に立った。

文=島崎英純

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