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高原 直泰

沖縄SV高原直泰。世界を経験した男が九州リーグで目指すもの【それぞれのW杯】

11:30 JST 2018/05/24
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日本サッカーにおいて「レジェンド」と言われる選手たちがいる。 ユース年代から頭角を表し、Jリーグ、日本代表、そして海外のクラブで活躍した。彼らは20年以上のプロ生活をつねに最前線でプレーするとともに、今はその経験をそれぞれの場で還元している。

■アルゼンチン、ドイツでの経験を武器に

今から12年前の2006年5月30日。ドイツワールドカップを直後に控えたジーコジャパンは、敵地・レバークーゼンで開催国・ドイツとのテストマッチに臨んでいた。

世界的大国との真っ向勝負で先手を取ったのは日本だった。
57分、ドイツ守備陣の背後に飛び出したFW高原直泰(当時ハンブルガーSV)が右足を一閃。目の覚めるような先制点を挙げる。8分後、この日本のエースはペナルティエリア右隅から反転してシュートを放ち、2点目を叩き出した。最終的には2-2に追いつかれたものの、自身がプレーする国で強烈なインパクトを残す。ドイツW杯本戦では3試合出場したものの得点は奪えなかったが、翌06-07シーズンに移籍したフランクフルトではシーズン11得点。点取屋として一つの時代を築いた。

高原直泰は1979年生まれのいわゆる「黄金世代」である。同じ静岡県出身の小野伸二(現札幌)らとともに ユース年代から無類の強さを誇った世代だ。フィリップ・トルシエに率いられたU-20代表では、99年ワールドユースナイジェリア大会(現U-20W杯)で準優勝。U-23 代表としては2000年のシドニー五輪でべスト8。当時、A代表の指揮官も兼ねていたトルシエは、高原の能力を高く評価し、同年からA代表に引き上げた。

当時21歳の彼は野心に満ち溢れた若者で、01年にはジュビロ磐田からアルゼンチン1部のボカ・ジュニアーズへ1年間の期限付き移籍をする。タフな環境に身を投じた経験値を持ち帰り、02年日韓W杯ではFWの軸を担う「はず」だった。ところが、本番直前、肺動脈塞栓症(エコノミークラス症候群)に見舞われ、自国開催のW杯の舞台には立てなかった。

■J1、J2、J3、そして沖縄県3部へ

この悔しさを胸に戦いの場をJリーグからブンデスリーガ1部に移した高原。結局、02年から6シーズンをドイツで戦ったことになる。その後、数多くの日本人選手がドイツに活躍の場を求めるようになったのも、先駆者であるこの男が扉を開いてくれたからこそ。それは紛れもない事実だろう。08年、Jリーグに復帰すると、浦和レッズ、清水エスパルス、東京ヴェルディ、SC相模原というJ1、J2、J3の全カテゴリーでプレーした。この間、10年には韓国に渡りKリーグ・水原三星でも1シーズンを過ごしている。

そして36歳になった16年、沖縄という新天地に赴く。自身が創設し、代表を務める沖縄SV(当時沖縄県リーグ3部)で監督兼選手として新たな一歩を踏み出すためだ。

「選手をやりながら、残りの人生でチャレンジできることをしたい」
そんな思いで始めた挑戦だったが、当初は右も左も分からず、手探り状態で動くしかなかった。午前中は監督兼選手としてピッチを駆け回り、午後はクラブ代表としてスポンサーや協力者集めに奔走する。清水東高を98年春に卒業し、磐田でプロサッカー選手としてのキャリアを歩み出した彼には、企業や支援者に頭を下げてお金を出してもらうといった類の苦労の機会はなかった。生来、人見知りで、面識のない人と話すのを苦手としていた男が先陣を切って営業活動をしなければならないのだから、ハードルは高い。すべてが未知なる体験の連続だったことだろう。

沖縄SVの1年目は沖縄県リーグ3部からのスタートだった。清水東高の1つ後輩に当たる森勇介コーチ兼選手(元川崎フロンターレ、東京ヴェルディなど)、同じ静岡出身で同い年の池端陽介(元サンフレッチェ広島、大分トリニータ、ヴァンフォーレ甲府など)やプロ経験者は何人かいたが、多くはセレクションで集めたアマチュア選手。沖縄という土地柄ゆえ、練習試合の相手もなかなか見つからず、チーム強化は困難を極めた。

それでも、一歩一歩着実にクラブは前進。3年目を迎えた今季は九州サッカーリーグを戦っている。5月20日の第5節終了時点では5戦全勝のダントツ首位。この調子でいけば、全国地域サッカーチャンピオンズリーグに参戦してJFL昇格を勝ち取るのも夢ではない。

W杯経験者であり、ドイツ・ブンデスリーガ1部で2ケタ得点を挙げた名FW高原直泰。彼は今、地方で地道な努力を重ね日本サッカー界の底上げにまい進している。苦難にあえてぶつかっていくのも、心底愛するサッカーとひたむきに向き合っているからこそ。
彼は今日も日本でのトップリーグを目指して、沖縄の地で戦い続けている。

文=元川悦子

 

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