2017-05-27-marinos- Hugo Vieira(C)Getty Images for DAZN

横浜FMのポルトガル人ストライカーが見せた“MVP”の実力…雌伏の時を経て新天地で本領発揮へ/コラム

勝負どころで奪った値千金の2ゴール。昨季セルビアリーグMVPの本領発揮だ。

アウェイに乗り込んだ明治安田生命J1リーグ第13節。快晴のIAIスタジアム日本平で清水エスパルスと対戦した横浜F・マリノスは3‐1で快勝。その立役者となったのが、伊藤翔の負傷で27分に急きょ出番が巡ってきたウーゴ・ヴィエイラだった。

「ウォーミングアップもしていなかったので、体が温まるまでに時間がかかった」と苦笑いで振り返るポルトガル人ストライカーは、投入直後の30分に迎えたチャンスこそ決め切れなかったものの、後半に持ち前のスピードと決定力を存分に生かすこととなる。

ベンチスタートだった彼だからこそ、はっきりと気づいていたことがあった。

「ベンチから見ていて、清水はセンターバックがそんなにスピードが速くないし、最終ラインが高かったので、裏のスペースが狙い目だと思っていました。だからピッチに入ってすぐにマルティノスやチームメイトとコミュニケーションを取って『裏を狙おう』と話したんです。ハーフタイムにも改めて狙いどころを確認しました」

前半に松原健の左足シュートで先制した横浜FM。50分に同点とされてしまうが、直後にウーゴ・ヴィエイラの読みが見事に的中する。

左サイドで金井貢史の縦パスを受けたマルティノスがドリブルで持ち上がって高速アーリークロスを入れると、これに「完璧で素晴らしいクロスに合わせるだけだった」というウーゴ・ヴィエイラが抜け出し、トップスピードの状態から右足を合わせてインサイドでゴール。同点劇からわずか2分で相手の勢いを消沈させる勝ち越しゴールを奪う。さらに後半アディショナルタイムには1点を追って攻勢に出る清水に対してカウンターでドリブルを仕掛け、巧みなステップで相手DFを翻弄して右足でダメ押しの3点目。ポゼッションを掲げるチームに縦へのスピードでアクセントを加え、敵地での勝ち点3獲得に大きく貢献した。

今季開幕前に“昨季セルビアリーグMVP”という鳴り物入りで名門レッドスター・ベオグラードから横浜FMに加入したウーゴ・ヴィエイラ。リーグ開幕戦で浦和レッズ、第2節で北海道コンサドーレ札幌相手に連続ゴールをマークして注目を集めたが、その後のリーグ戦ではノーゴール。思うように結果を出せない状況が続いていた。だが、5月24日のYBCルヴァンカップ第6節サガン鳥栖戦で2ゴールを決めると、3日後の今節でも同じく2得点。ヨーロッパで披露した決定力を一気に発揮した形となった。

だが、当然ながら満足はしていない。自分の実力、そして出すべき結果はこんなものではないと。

「僕自身もセルビア時代のレベルに達していないことは分かっています。あれだけのプレーができれば、もっとチームに貢献できるはず。JリーグではFWにも守備が求められるので、そちらにもパワーを使うことに適応していかなければいけない。家族も含めて日本の文化に慣れる必要もあります。少し時間はかかるかもしれませんが、自然とセルビアリーグ時代のような結果を出せるようになると思いますし、そうなればチームもプラスの方向に進んでいくはず。これからもっといいプレーを見せていきたい」

今季開幕当初に与えた強烈なインパクトが薄れてしまった感はあるが、それも彼にとっては真価を発揮するための“雌伏の時”だったのかもしれない。この結果が大きな自信となって新たな境地へと達するのか。鋭く力強い縦への突破で持ち味を見せつけたウーゴ・ヴィエイラの今後が楽しみだ。

文=青山知雄

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