新戦力や代表復帰組を多数招集したキリンチャレンジカップのベネズエラ代表戦で1-4の大敗を喫したものの、カタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選では苦戦しながらも4連勝を収めている森保ジャパン。昨年夏の発足以来、チームとしての基本の形も見えてきたが、これから先のアジア最終予選、そしてW杯本大会で結果を残すことを目指した時、さらなる成長が求められる部分はどこにあるのだろうか。
これまでの森保ジャパンの活動を通して浮かび上がった「5つの疑問」について、スポーツジャーナリストの河治良幸氏が検証した。
■国内組の評価、新戦力の見立ては?
(C)Kenichi Arai10月の代表では23人中の過去最多の20人が”海外組”となり、”国内組”は橋本拳人、永井謙佑(ともにFC東京)、畠中槙之輔(横浜F・マリノス)の3人だけだった。理由は単純明快で、今年に入ってから伊東純也(柏レイソル→ヘンク)や久保建英(FC東京→レアル・マドリード:マジョルカにレンタル)などの欧州移籍が複数起きたこと。つまり、もともと“国内組”だった代表レベルの選手が“海外組”になった。代表チームの母体がJリーグにあることは変わらないが、今後もA代表レベルの選手が海外組になるケースが増えてくるかもしれない。
そうした状況で、先日のベネズエラ戦ではスタメン5人が国内組、途中出場も含めて10人がピッチに立ったが、結果は1-4の大敗。もちろん国内組だけのせいではないが、後半から入って最終ラインを支えた三浦弦太(ガンバ大阪)は「どうしても海外組と国内組で比べられる立場にあると思いますし、実際に結果を見ても、海外組の選手の方が結果を出せていると思うので、そこを国内組の選手がより高い意識と悔しさを持ってやっていかないといけない」と語っていた。
ただ、古橋亨梧(ヴィッセル神戸)が後半の攻撃に勢いを与え、三浦や日本唯一の得点を挙げた代表復帰組も山口蛍(ヴィッセル神戸)も健在をアピールしていたのは明るい材料。12月のE-1選手権は国内組だけで臨む見通しであるため、そこで彼らの真価が問われ、来年の代表招集に影響しそうだ。
■大迫不在時、1トップの選択肢は?
(C)Getty Images大迫勇也(ブレーメン)と同じ仕事をできる日本人選手は見当たらず、FWが前線でボールを収めるところから逆算して攻撃を構築するスタイルは彼なしにあり得ない。もちろん、それだけの選手を生かさない手はないが、10月、11月と彼を欠いた状況でいくつかのオプションを準備できたことは今後にプラスになるはず。
現時点の一番手は永井謙佑(FC東京)を1トップに置く布陣だ。永井には大迫にもない爆発的なスピードがあり、常に裏抜けを狙いながらディフェンスの間で縦パスを引き出すことができる。ただ、アウェイのキルギス戦では荒れたピッチでグラウンダーのパスがつなげず、仕方なく蹴り込んだロングボールも永井に収まることなく、ほとんど跳ね返された。似た状況では同じくスピードがあり、かつ長身の鈴木武蔵(北海道コンサドーレ札幌)を置く、もしくは南野拓海(ザルツブルク)とキープ力のある鎌田大地(フランクフルト)が縦の2トップとして柔軟に入れ替わりながら連係で崩す形もオプションになる。
■人材豊富な2列目をどう生かし切るか?
(C)Kenichi Arai森保監督の戦い方は4-2-3-1をベースに前からのプレス、攻守の切り替えなど原則はあるものの、試合の中で選手が判断する範囲が広く、選手の組み合わせが連係面に大きく影響しやすい。もちろん対戦する相手によってプレスの狙いどころなどはあるものの、そこがうまくハマらなかった時にはピッチでの選手たちの判断が生命線になってくる。
代表チームはもともと活動期間が少なく、メンバーを固定させた方が当面は結果が出やすいことはこれまでも変わらない。しかし、依存度が高すぎると主力のコンディション、怪我などに左右される綱渡りの代表になってしまい、大一番で誰かを欠いた途端に大ピンチに陥りかねない。
その中で2列目は人材が豊富なうえ、特徴の異なる交代カードも含めて計算は立つ。森保ジャパンのスタートから、堂安、南野、中島翔哉(ポルト)の3人がファーストセットであることは変わらないが、伊東が存在感を増しており、アップダウンに優れた原口元気(ハノーファー)、スペインで成長中の久保など最もタレントが揃っている。U-22で10番を付ける三好康児(アントワープ)などのA代表予備軍もいる日本代表のストロングポイントだけに、拡充を図りながら高いレベルの競争を促していくという流れになりそうだ。
■新たなシステムの導入は進められるのか?
(C)Kenichi Arai2次予選がスタートしてからは、4-2-3-1を固定的に採用している。ただ、ベネズエラ戦では鈴木武蔵と浅野拓磨を2トップに並べる4-4-2をスタートから、後半に中島翔哉を2列目の中央にシフトした4-2-3-1に戻し、終盤は柴崎岳、山口蛍、井手口陽介の3ハーフで構成する4-3-1-2をテストしたが、前線の形が変わったにしても4バックのままではスタメンが入れ替わると機能不全に陥ることが確認された。しかし、ここから最終予選までで3バックをテストするタイミングはなかなか難しそうだ。
国内組中心と見られるE-1選手権は新戦力をテストする好機ではあるが、そもそもの主力が限られるため、基本コンセプトの理解を進めるというより、基本的には戦力の掘り起こしに近い。そこで3-4-2-1を試すプランもあるが、J1の最終節が12月7日にあり、8日に集合して10日に試合という過密スケジュールであるため、現実的には4-2-3-1か4-4-2がベースになるはず。最終予選までに3-4-2-1をテストする唯一のチャンスは、3月で2次予選突破を決めて6月のホーム2試合が“消化試合”になった場合だ。公式戦ではあるが、ここで新しいオプションをテストできる意味は大きく、是が非でも3月で突破を決めてしまいたい。
ただ、そもそも3バックを取り入れる必要性があるのかという意見もあるだろう。U-22代表で用いられている森保監督の3バックは、ポゼッションをベースとしながら高い位置では3バック、深い位置で守る時間帯は5バックと汎用性は高い。
例えば4バックのスタート時、キルギス戦のように守備が噛み合わない場合に、ピッチ上で臨機応変な調整をするのは簡単ではない。そこで3バックをオプションに持っておき、そうした対応を形の変化でまかなうプランは日本人選手に向いているところもある。また、3-4-2-1はJリーグで採用しているクラブが多く、このシステムだからこそ持ち味を発揮できるタレントもいるだろう。そういう意味で魅力的ではあるが、何しろ時間が限られている中で森保監督がどのタイミングで本格導入するのか。あるいは引き続き3-4-2-1がベースになると予想される東京五輪の世代が融合するタイミングを待つのかなど、今後の大きな注目ポイントだ。
■久保らはどう五輪世代に合流していくのか?

冨安、堂安、久保、板倉。現在4人の五輪世代がA代表に定着しているが、森保監督はその年代がさらにA代表に加わることを期待している。その一方、A代表と五輪チームの活動は今後も被ることが予想される。来年1月に行われるU-23アジア選手権は本番に向けた貴重なテストの機会だが、五輪チームには拘束力がないため、4人を参加させるのは極めて難しい。
そうなると、3月の2次予選で彼らを招集しない、あるいは確実に突破を決めて6月の国際Aマッチデーにてオーバーエイジの候補とともに五輪チームを優先させ、本番に向けた融合を進めることは可能だ。ただ、コロンビア戦でも見られたように、堂安や久保のような選手がいきなり入ると、彼らが中心になり過ぎてしまう弊害も生じうる。もともとアンダー世代などで一緒に活動していたメンバーも多く、時間が解決する部分もあるだろう。しかし、その時間が無いため、オーバーエイジの組み込みも含めて良くも悪くも森保監督にとって悩みの種となりそうだ。
取材・文=河治良幸
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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

