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明治安田生命J1リーグ

柿谷曜一朗×清武弘嗣…二人の同時起用でセレッソ大阪は初タイトルへ突き進めるか

18:36 JST 2017/10/18
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杉本、清武弾でリーグ3連敗ストップ。セレッソはルヴァンカップ決勝進出効果で再浮上の予感を漂わせる。

国際Aマッチウイーク中の10月4・8日に行われたJリーグルヴァンカップ準決勝で宿敵・ガンバ大阪を撃破し、初のファイナル進出を果たしたセレッソ大阪。とりわけ、後半ロスタイムに木本恭生の劇的決勝弾が飛び出し、ミラクル勝利をモノにした敵地・吹田スタジアムでの第2戦は大きかった。ここまでルヴァンカップはJ1出場機会の少ない選手中心に戦ってきたが、この大一番では先発したキャプテン・柿谷曜一朗が先制点を奪い、マテイ・ヨニッチやソウザといった主力も大いに奮闘した。J1組、ルヴァン組が融合し、チーム一丸となって決勝切符を勝ち取ったことで、セレッソは再び息を吹き返すきっかけを得たと言っていい。

その前向きなムードを象徴したのが、15日のJ1第29節・サガン鳥栖戦だった。日本代表から戻った山口蛍、杉本健勇、キム・ジンヒョンの3人も合流し、清武弘嗣も4カ月ぶりに先発復帰したこの試合。凄まじい豪雨という劣悪な環境にも関わらず、彼らは小気味いいパス回しで主導権を握った。今回は杉本と柿谷が最前線に陣取り、右に水沼宏太、左に清武という新たな攻撃陣の形だったが、「やっぱりキヨ君が入ったことで効果的な攻撃の形が数多く見られた」と山口蛍も話すように、世界の修羅場をくぐってきた背番号46が入るとサッカーのクオリティが変わる。それは特筆すべき点だった。

しかしながら、セレッソは前半21分、右サイドバック・松田陸が対面に位置した吉田豊をペナルチィエリア内で倒してPKを献上。これを相手エースFWビクトル・イバルボに決められ、1点をリードされてしまう。サンフレッチェ広島、ベガルタ仙台、川崎フロンターレとの最近J1・3試合で通算10失点を喫している彼らにとって、早い時間帯の失点は致命傷になりかねない。いきなりチームに暗雲が漂ったかに見えた。

そのビハインドを代表帰りの大型FWがいち早く、払しょくしてみせる。失点からわずか2分後の前半25分、清武が中盤で競ったボールを相手がクリアしそこねたところに飛び込んだ背番号9は、DF2枚の間を巧みなドリブルで侵入。左足で浮き球の芸術的ゴールをネットに突き刺したのだ。

「スーパーゴール? どうやろ。でも相手がかぶった時から、(DF2枚の間に出ていく)あのドリブルはイメージ通りでした。まあ、シュートはあんなにいいところに行くとは思ってなかったけど」と本人は照れ笑いを浮かべたが、10月8日のハイチ戦(横浜)での代表初ゴールに続く得点に少なからず自信をのぞかせた。チームを絶体絶命の窮地から救う1点を取れる選手こそ、真のエース。今の杉本健勇はそういう存在になりつつある。

試合は1-1で折り返し、迎えた後半13分、セレッソは喉から手が出るほどほしかった逆転弾を叩き出す。右サイドを駆け上がった松田が巧みな切り返しで相手を引き付け、右サイドの水沼に展開。背番号16は狙いすましたクロスをファーサイドに送った。そこに飛び込んだのが清武。彼のヘッドは確実に枠を捉え、チームに2点目をもたらす。今季4度のケガに見舞われながら苦境を乗り越え、6月17日の清水エスパルス戦以来の今季5点目を奪った背番号46は感慨ひとしおだったに違いない。

「カウンターで陸と宏太がいいコミュニケーションを取ったし、宏太が最後決めるだけのボールをくれたんで、僕は当てるだけでした。久々の先発だったんで、ゲーム勘だったり、コンディションを見ながらやりましたけど、まあまあ悪くはなかったんじゃないですか」と本人も素直に喜びを口にした。日本屈指のテクニシャンの完全復活が見えてきたのは、チームにとって間違いなく朗報だ。

尹晶煥監督は終盤、ベンチに置いていた山下達也を入れて5バックへシフト。この勝利の方程式が最近は崩れることが多かったが、今回はキッチリと相手の攻めを跳ね返してタイムアップの笛。ついに彼らはリーグ3連敗の泥沼から脱することに成功した。

待望の勝ち点3を手にしたことで、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)圏内の3位・柏レイソルと勝ち点2差に迫り、来季に向けて希望が見えてきたのも事実。指揮官も「残り試合は少ないが、1試合1試合を最終戦だと思っていい準備をしていきたい」と力を込めたが、残り5戦で何としてもACL出場権を勝ち取りたいところだ。

この先は21日のJ1・ヴァンフォーレ甲府戦、25日の天皇杯準々決勝・大宮アルディージャ戦、29日のJ1・大宮戦、11月4日のルヴァンカップ決勝・川崎戦と重要ゲームが目白押し。非常にタイトな日程の中、3つのトーナメントに向かっていくことになるが、「今のチームは沢山のいい選手がいる中で、切磋琢磨しあいながらやっている。前線が健勇と曜一朗の組み合わせだと、曜一朗には一発裏というのがあるし、ディフェンスの面でもチームを引っ張ってくれるんで、バイタル(エリア)のところにスペースができる。和也(山村)もケガから戻ってくれば、また違ったバリエーションもできると思う。守備陣も今回はヤス(木本)が出ましたけど、ヤマちゃんも這い上がってくるだろうし、みんなで戦っていく雰囲気ができていると感じます」と清武も前向きに語ったが、確かに今のセレッソは選手層が厚くなり、戦い方の幅も広がってきた印象だ。

今後、山村が復帰しても、柿谷の前線起用というのは継続可能なオプションなのは間違いない。もともと今季開幕当初はユン監督もその形にトライしたほど、柿谷のトップとしての能力を買っている。

「曜一朗君はああ見えて守備の追い方がうまいから、後ろからディフェンスする立場としては狙いやすい。今のメンバーだったら今回の並びが一番いいのかな。もちろんキヨ君はトップ下にいる方がいいけど、時間帯によって真ん中に入ってきてくれるんで、ボールを預けられる時も多い。そういう流動性が上がってくればもっとよくなると思う」と山口も柿谷をトップに据える価値を改めて語っていた。

柿谷のトップ、清武の2列目での同時起用がシーズン終盤のセレッソにもたらすものは少なくない。そしてエース・杉本が得点感覚を取り戻したのも好材料だ。再浮上のきっかけをつかんだ彼らは果たして初タイトル&ACL出場権獲得という悲願を達成できるのか。その動向から目が離せない。

文=元川悦子

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