柏好文は「諦めの悪い男」。広島を牽引するアタッカーが逆転優勝への想い、好調の要因を語る

　今季のサンフレッチェ広島を牽引するのは、柏好文だ。在籍6年目を迎えるベテランサイドアタッカーは、今季すでに8ゴールを決めるなど、絶対的な軸としてチームの攻撃を支えている。現在5位につけ、上位争いを演じる広島の好調の理由はどこにあるのか。クラブのOBである森﨑浩司さんがDAZN（ダゾーン）の『Jリーグプレビューショー』で、この広島のキーマンに直撃した。

■ターニングポイントは埼スタでの快勝劇

　今季の広島は開幕から7戦無敗と好スタートを切ったものの、その後に5連敗。昨季終盤の失速が頭をよぎる状況に陥っていた。しかし、そこから巻き返し、第15節からは11戦負けなしを記録。上位争いに踏みとどまり、第26節を終えて逆転優勝を狙える位置につけている。

　復調の要因を柏は次のように語る。

「最後のほうに勝点を取れなかった去年の経験を踏まえて、今年は連敗したところでしっかりと修正できた。守備の部分ではできるという想いはあったので、それプラス、攻撃のところで主導権を握るってところを意識しました。自分たちは守備だけをしているようなチームではないと思いますし、自分たちがボールを握る時間が増えたことが、11試合負けなしで勝点を取れた一番の要因だと思います」

　ターニングポイントとなったのは、第13節の浦和レッズ戦だった。アウェーで4-0と快勝を収めた一戦こそが、その後の戦いに向けての自信になったという。

「あのあたりから、自分たちからアクションを起こしてボールを保持する時間を長くすることにフォーカスし始めました。簡単ではない埼スタで4点を取って勝てたのは、自信になるゲームだったかなと思います」

　柏自身の今季のパフォーマンスも出色だ。開幕から全試合にスタメン出場し、32歳にしてキャリアハイとなる8ゴールを記録。8月の月間MVPにも選出された。左WBというポジションながら得点を量産できている理由について、柏は次のように語る。

「右で時間を使えることがここ最近は増えていると思います。右で作っている時に左から（中に）入れる時間ができている。そこはチームとして共有できている部分だと思います。あとは最後の決断のところで思い切ってできているのが、得点につながっているんじゃないですかね」

　個人的なベストゴールは、第7節のヴィッセル神戸戦で決めたヘディングシュートだという。ゴールの手前で、味方のシュートのコースを頭で変えて押し込んだ得点だ。

「あそこにいたことが自分としては良かったと思います。ヘディングは普通上から叩くものですけど、下から突き上げたんですが、相手の隙を逃さず、抜け目なく狙えたので自分の良さが出た得点だったと思います」

■「優勝は諦めていない。諦めの悪い男なので（笑）」

(C)DAZN

　今季の活躍を踏まえ、日本代表に推す声も増えているというが、今のところかつての指揮官である森保一監督から声はかかっていない。

「（招集されない理由として）みんなは年齢のことを言うと思うのですが、やはり年齢は言い訳にしたくないですね。この年齢(32歳)でもできることを証明して、必ず代表に入りたいという強い想いでやっています。チャンスは絶対あると思っていますから」

　そしてインタビュアーの森﨑さんに、こんなお願いをしている。

「この場をお借りして、ぜひ浩司さんから森保さんに電話していただけるとありがたいですね(笑)」

　好調の柏にけん引され、広島は無敗街道を突き進んでいたものの、前節の横浜F・マリノス戦では0-3で完敗し、12試合ぶりに黒星を喫した。

「ちょっとの寄せの甘さだったり、隙を見せたら、攻撃的なサッカーを掲げるマリノスにやられてしまうということを改めて感じた試合でした。ゼロで耐えきって、残り20分で勝負を仕掛ける。自分たちは最後まで動ける自信があるので、そこから仕掛けていくプランだったんですけど、自分たちの時間があまりできなかった。でもチームとしての戦いをもう一度改めていければ、残り8試合でまた広島が面白い存在となれると思っています」

　首位のFC東京との勝点差は9。逆転優勝のために負けられない試合が続くなか、今週末はホームに名古屋グランパスを迎えての一戦が行われる。横浜FMと同様に攻撃スタイルを標榜してきた相手に対し、柏はあくまで主導権を握る戦いを貫く構えだ。

「連敗が一番ダメだと思う。名古屋に負けないようなボールを握るサッカーをやりたいですし、それに挑んでいきたいと思います」

「優勝は諦めていない?」

　森﨑さんの最後の問いに対し、柏は不敵な笑みを浮かべて、こう答えている。

「諦めていないですね。諦めの悪い男なので(笑)。何かを起こしたいという一心で、頑張りたいです」

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