2019_12_11_Japan1(C)Getty images

東京五輪&W杯予選に向けたアピール合戦。E1初戦、左サイドで際立った森島、遠藤、橋本

 横浜F・マリノスの優勝で明治安田生命J1リーグが閉幕してから、3日後。今季Jを盛り上げた選手たちは、韓国・釜山で今度は日の丸を背負う戦いに身を投じた。

 東アジアのライバルがしのぎを削る、EAFF・E-1サッカー選手権2019。日本は中国との初戦に臨んだ。海外組不在の今回。国内組23人で構成されたメンバーは、来年に迫った東京五輪を戦うU-22日本代表世代の選手も数多く顔をそろえた。一方それ以外の選手にとっては来年3月のワールドカップ・アジア2次予選、ひいては突破後に待っている9月からの最終予選を戦う代表主力勢に割って入っていけるか否か、そのアピール合戦となる。

 中国戦の先発メンバーには、五輪世代が4人(FW上田綺世、MF森島司、遠藤渓太、DF橋岡大樹)入った。準備期間も短く、即興要素も含んだ一戦で、森保一監督は従来の4バックではなく3-4-2-1システムを採用した。

■際立った左サイドの攻撃

2019_12_11_Japan2(C)Getty images
 難しい試合展開も予想されたが、日本は幸先よく先制を果たす。29分、最前線の上田が巧みなスイッチパスを森島に送る。森島はそのまま縦に突破してペナルティエリア左寄りに侵入。ゴール前に低いクロスを入れると、逆サイドから走りこんできたFW鈴木武蔵が豪快に代表初得点を決めた。

 この得点シーンだけでなく、試合を通して際立ったのが左サイドからの攻撃。まず、広島でも2シャドーのポジションに入る森島は、安定した技術をベースに周囲とのコンビプレーを構築した。さらに単独で相手DFをはがすプレーも披露するなど、個人技術を生かした特徴を存分に発揮。「良いポジションに立って、自分が(味方の)中継役としてパスを出し続ける。まあまあできたと思います」と本人も好感触だ。

 そこに頻繁に絡んでいったのは、左ウイングバックに入った遠藤。優勝を決めたJ1最終節・FC東京戦では、左サイドからのドリブルでダメ押しとなる3点目を決めた。勢いそのままに中国戦も序盤から積極的なしかけが目立ち、右利きの左サイドプレーヤーという利点を生かしながら縦にいく突破と中央にカットインしていくドリブルを織り交ぜ、敵をかく乱した。森島とのパス交換や上田のポストプレーを受ける動きも良く、調子の良さをうかがわせた。

 左ボランチに入ったMF橋本拳人の安定感も見逃せない。パスコースに顔を出した森島や上田にきっちり縦パスを入れ、また守備に切り替わったあとも持ち前の強度の高い球際へのアプローチで相手を寸断した。「タフな試合だったけど、コミュニケーションを取って修正できた。ある程度やりたいことはできた」と手ごたえを語っている。

 彼ら左サイド組の好パフォーマンスによって、後半になっても日本は敵陣を崩していく。70分にはMF井手口陽介の右コーナーキックからDF三浦弦太がヘディングで決め、G大阪組で追加点を挙げたが、そのコーナーキックも遠藤の左サイド突破からのクロスがきっかけだった。「左サイドの三角形の連係は、時間が経てばさらに良くなると思う」と森島。まだ1試合だが、彼らのコンビネーションは今大会を通じて日本の武器になっていく可能性も示唆した。

■即席の3バックは苦心

2019_12_11_Japan3(C)Getty images
 個人の特徴がうまく重なり合い、それが連係に昇華されていく場面があった攻撃面。一方の守備面は戦い慣れていない選手たちの集合体であることから、後手に回るシーンも散見された。

 ライン統率に定評のある三浦を中心に、即席の3バックシステムを機能させようと前半から苦心。ただ、DF佐々木翔がボール処理に手こずることが何度かあり、DF畠中慎之介はヘディングでのクリアミスからピンチを招くことも。また三浦も競り合いで簡単に負けてしまう局面もあった。こうした個人レベルのミスから相手にチャンスを与えていたところは、反省材料になる。アジアとはいえ、国際舞台では即失点につながるなど命とりとなる。

 また、現役時代はプレミアリーグで活躍したリー・ティエ監督率いる中国のプレースタイルにも苦労した。大柄で身体能力の高い選手を揃え、大味なサッカーを展開するのがこれまでの中国のイメージ。しかし、リー・ティエ監督は技術レベルの高い選手たちをピッチに並べ、しっかりとパスをつないだ。そこに、大胆なサイドチェンジなども織り交ぜた攻撃が、ジャブのように徐々に日本に効いていった。

 そして終了間際の日本の失点。右からのクロスに相手FWがヘディングで合わせた形だったが、ここに至るまでも中国は日本陣内でボールをつなぎ、丁寧な攻撃でしっかり隙を突いてきた。インテンシティでは対抗していた日本も、組織的練度の低いチームの弱点を露呈。ここは大会を通して、毎日の練習を通して少しでも共通意識を高めるしか策はない。

 一人の指揮官(森保監督)が率いる、二つのチーム(A代表、五輪代表)。実質今回はそれが融合して戦う大会になっているため、今後に向けたチームビルディングという観点では具体性が乏しいのは仕方ない。だからこそ、それぞれW杯予選、五輪代表入りという目標を選手に掲げ、モチベーション向上を促す森保監督。初戦勝利で意気は上がる。次の香港戦。新たにアピールする俊英は、誰か。

取材・文=西川結城

▶サッカー観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

【関連記事】
DAZNを使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
DAZN(ダゾーン)をテレビで見る方法7つを厳選!超簡単な視聴方法を紹介
DAZNの2019年用・最新取扱説明書→こちらへ  ┃ 料金体系→こちらへ  ※
【簡単!】DAZNの解約・退会・再加入(一時停止)の方法を解説  ※
【最新】Jリーグの試合日程・放送予定一覧/2019シーズン
Jリーグの無料視聴方法|知っておくと得する4つのこと
「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

Goal-live-scores
広告

ENJOYED THIS STORY?

Add GOAL.com as a preferred source on Google to see more of our reporting

0