最高だった森岡はステップアップのための後半戦へ…中盤起用の久保に求められるのは?【日本人前半戦総括】

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(C)Getty Images
海外で戦うサムライたちは2017-18シーズンの前半戦をどのように過ごしたのか? 歓喜の瞬間を迎えた者、充実の日々を送った者、葛藤してもがき苦しんだ者……。彼らが過ごした半年を、改めて振り返る。

久保裕也(ヘント)

前半戦結果:序盤はケガ明けで不調も後半復調。今季6得点はチーム内最多。

チーム内序列:主力

前半戦採点:65点。ケガに加えチームの絶不調に巻き込まれたとは言え、序盤は苦しんだ。

後半戦の目標:まずは得点数二桁越え。できれば15点は行きたい。

文=堀秀年

 2シーズン目を迎えた久保裕也を待っていたのは、波乱だった。クラブの至上命題であったヨーロッパリーグ出場。その出場権を賭けた予備選で敗退した。その後、ヘントはチームとして絶不調に。負のスパイラルに突入し、打つ手打つ手ほぼ全てが裏目に出るような状況に陥った。そして9月27日に絶対的な司令官であったヘイン・ファンハーゼブルーク監督が辞任する事態にまで至る。

 この間、久保も不調だった。6月の代表シリーズで負ったケガからトップフォームに戻るまでしばらくの時間を要していた。

 幸いなことに後任としてイフェス・ファンデルハーゲ監督が就任すると、ヘントは勝ち星を積み重ねるようになっていった。時を同じくして久保も復調。10月27日シャルルロワ戦の切り返しから右足で巻くシュート、さらに11月24日ムスクロン戦の中央から相手守備陣を完全に切り裂いて決めたドリブルシュートと、久保らしいテクニカルなゴールを見せるようになった。この2つのゴールはヘントサポーターが選ぶクラブの月間最優秀ゴールに選ばれている。10月、11月と連続受賞となったわけだ。

 チームが上昇ムードを掴み、久保も復調。一時は15位まで沈んでいたヘントは、昨年末の時点で5位にまで順位を上げることに成功した。

 前任のファンハーゼブルーク元監督は戦術家で、試合ごとに細かくフォーメーションやメンバーを変更していた。だが、後任のファンデルハーゲ現監督はフォーメーションを4-2-3-1で固定。メンバーも基本固定。最初は右サイドに入っていた久保もほどなくしてトップ下に固定されるようになった。こういった監督の方針が低迷していたヘントにとっては、チームに安定をもたらす上で効果的に働いた。

2017-10-28-yuya-kubo

 トップ下に固定され、結果も出すようになった久保だが、本来はFWタイプ。だが、現在のフォーメーションはあくまで4-2-3-1で、久保はトップ下の位置から中盤の守備もサポートしなくてはいけない。その守備力が、メキメキと上がっている。球際の激しさ、ポジショニング、プレスバック、カバーリングで戻るタイミング。そういった部分が、試合を経るごとに目に見えて向上しているのだ。昨年末の最後の試合、アンデルレヒト戦では相手ボランチがミドルシュートしようと上がっていくところを、久保がプレスバックで潰した場面が少なくとも2回はあった。

  「段々慣れてきました。そこまで戻るっていうのは。中盤ぽい仕事をしながら、前に出ていくっていう感じで。守備は完全に中盤で、という感じ。で、前に出ていくっていうのは、慣れてきたかなと思います。コンディション的には上下運動もやれるかなと。でも、もっと良くなる気もしています。まだ100%ではないかなという感じはするので、一瞬のキレだったり、もうちょっとスピード感持てるかな。いろんな部分をもうちょっと伸ばせるかなと思います」

 中盤の守備では、球際へも激しく行く。

 「そういうのやらないと、中盤でボールが取れないし、自分たちのボールにならないな、というのは思っています。そこで取ればカウンターでも行けるし、そこはチームのプレーをしようかなとは思いながらやっています」

 守備能力が向上する一方で新たな課題が持ち上がっている。縦に速い攻撃を繰り出すチームにあって守備のために中盤的なプレーをすれば、必然的に自分がシューターとしてゴール前に顔を出す回数が経る。上手く相手のボランチの裏に顔を出してポイントを作り、サイドに散らしたり、ラストパスを供給するプレーが冴えてきているが、久保自身のシュートシーンが少なくなっているのだ。

 「スルーパスを出せと言われています。ただ、作る方じゃなくて、もう一人剥がせたりとかすれば今のチームだと変わってくるのかなと思います。散らす部分まではできるかなという感じはするんですけど、そこから散らしても何もないっていうのはある。両サイドがぶっちぎれる時は良いですけど。そうじゃない時は多分、真ん中でっていうのもアリだと思うので。まあ、練習します」

 ラストパスを出す側ではなく、ラストパスを受けてシュートする側へ。ゴールという数字を残すためにも、自身のシュート回数を増やしたい。守備との両立は難しいが、後半戦の久保の課題となる。

森岡亮太(ワースランド・ベフェレン)

前半戦結果:21試合7得点9アシストは圧巻。

チーム内序列:絶対的な司令塔

前半戦採点:95点。ほとんど文句のつけようがない。

後半戦の目標:焦点はリーグ前半戦の活躍を継続できるかどうかだけだ。

 2017年夏に森岡亮太がワースランド・ベフェレンに加入した時にはそれほど注目されていなかった。ワースランド・ベフェレン自体が、それほど注目されるクラブではないのだから、それも当然だ。しかし、今となっては状況は一変した。ベルギーリーグ全体で見て、前半戦最大のサプライズは森岡その人だった。

 リーグ前半戦で21試合出場7得点9アシスト。ベルギーリーグはプレーオフ制を導入しており、優勝を争うプレーオフ1出場圏内となる6位以内がレギュラーシーズンの目標となる。ワースランド・ベフェレンという小さなクラブが、プレーオフ1出場圏を巡る争いを繰り広げることができていたのも森岡の活躍があったからに他ならない。技術とセンスに裏打ちされた柔らかなボールタッチ、広い視野と繊細なラストパス。さらにスルスルとゴール前に進出して放つ冷静なシュート。体が強いわけでもスピードがあるわけでもない。だが、柳のように上手く相手をいなして前を向いてチャンスを演出していく。4-2-3-1のトップ下、絶対的な司令塔として君臨した。

2018-01-02 Ryota Morioka

 12月22日のオーステンデ戦後、大活躍だった半年を振り返ってもらうと「どうですかね。最初が良かっただけに、尻すぼみなイメージがちょっとありますけど」と森岡。「でも、数字だけ見れば凄く、ベフェレンとしても個人的にも良かったのかなと思います」とも続けた。

 ちょうど一年前、まだポーランドに居た頃の森岡は、「個人的に海外に来て、こっちのサッカーにどうすれば自分が、自分のプレーを出せるかとか。どうしたらこいつらと戦えるかっていうのを常に模索していた」という。

 「ベルギーに来て、ほんとになんかサッカーができてるなという感じがしましたね。やっぱり、ポーランドの時はどうしてもフィジカルメインなサッカーだったので。ベルギーに来て、最初から凄いサッカーを楽しめていました。自分の理想というか、やりたいプレーもピッチの中で出来るようになりました。ほんとに、来て良かったですね」

 ただ、ワースランド・ベフェレンのような小さなクラブが好調だと、すぐに引き抜きにあう。引き抜かれたのは、監督だった。フィリップ・クレメント監督がヘンクへとステップアップしていった。スベン・フェルマント監督が後任として就任。フェルマントは、クレメント前監督と同じくクラブ・ブルージュで育成年代の監督をやっていた人物。ワースランド・ベフェレンがリーグ前半戦の流れを継続させようという意図から連れてきた人物だ。ゆえに森岡にとっては戦術面やポジション、役割といった面では大きな変更はなさそうだ。

 とはいえ、監督が変わったことは事実。また、ワースランド・ベフェレンはカップ戦はすでに敗退、リーグでも現在10位と、モチベーションの置き所が難しい状況になりつつある。そんな状況下にあって、自らの価値を高めるべくリーグ前半戦と同様の活躍を見せることが出来るかどうか。今後のステップアップを見据えれば、森岡にとって重要な半年になる。

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