最下位ケルン戦はボアテングの独壇場に…得意の“タッチダウンパス”が勝敗のカギに

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バイエルンは最下位ケルンを相手に苦しんだ。勝利のためにジェローム・ボアテングの攻撃力に頼らざるをえず、エンターテイメント性には欠けていた。

試合開始からわずか4分、前線へボールを送り、後は仲間に任せて靴の紐を結ぼうとしていたジェローム・ボアテングのもとへすぐにボールが戻って来た。仕方なくしゃがんだ姿勢から身を起こしたボアテングは再びボールを前方へ送り、それからやっと靴の紐を結ぶ。この場面が試合全体をよく表していた。バイエルンにとってはありがたいとは言えないほどボアテングの活躍が目立った試合だった。

結局ボアテングはそれから134回ボールに触り、この試合で最多のタッチ数を記録した。相手方ケルンのデータでは試合開始後30分、60分、そして90分になってもチーム最多のタッチ数を記録したのはGKのティモ・ホルンだったことを知っていれば、1点差で終わったバイエルンとケルンの一戦がどんな試合だったのかおおよその見当はつくというものだ。

一方のバイエルンはユップ・ハインケス監督のもとで再び力を取り戻し、自信に満ち溢れたブンデスリーガの最多優勝チーム。対するは危機差し迫るケルン。すでに今シーズンは降格したも同然で、バイエルン戦を終えてなお勝ち点3に留まり、ブンデスリーガ史上最悪の成績に喘いでいる。

それゆえ、アリアンツ・アレーナで行われた試合は、誰もが予想したようにボールが素早く動く展開となった。バイエルンはボールを走らせてケルンを翻弄し、最終的なボール支配率は83%だった。だが、スコアだけが動かない。これまでのところあまり頻繁な、あるいは早い段階での選手交代の見られなかったハインケス監督が、ハーフタイムにアルトゥーロ・ビダルとコランタン・トレッソに代えてハメス・ロドリゲスとキングスレイ・コマンを投入したことは、バイエルンにとって思わしくない展開だったことを示している。

■「楽しい試合じゃなかった」

前半のバイエルンは、再三いや再四パスやチップキックやヘディングを繰り出したが、結果につながらなかった。試合後にラフィーニャは「やっとのことで勝つことができた」と語ったが、忍耐の末に手にした勝利だと言ってもいいだろう。1時間が経過して後にようやく、バイエルンはロベルト・レヴァンドフスキのゴールによって救われた。起点となったのはジェローム・ボアテングのロングボールで、これをトーマス・ミュラーが落とし、エースが流し込んだものだった。

レヴァンドフスキはこの場面について「ジェロームはああいったパスを蹴ることができるし、トーマスはそういうボールをつなぐことができるんだよ。あれは明らかなチャンスで、そこから僕たちのゴールが決まったんだ」と振り返る。だが、試合前半にはそういう明らかなチャンスがわずかしか生まれなかった。

それゆえ、レヴァンドフスキは次のようにも語り、苦戦を認めている。

「苦労してやっと勝つことができたよ。ケルンにはまとまなフットボールをやる気がなかったんだから。彼らはただ守るだけで1-0になった後でもまったく同じ調子だった。だから、楽しい試合じゃなかったよ。ずっと2、3mのスペースを争ってばかりいなければならなかったんだから」

■「何もかも時間がかかり過ぎた」

ケルンにしてみれば、レヴァンドフスキの批判めいたコメントは誉め言葉と考えてもいいだろう。彼らは13人の離脱者を抱え、FW不在という緊急事態にありながら、明らかに優勝に最も近い位置にいるチームに長時間果敢に立ち向かい、前半を無失点で終え、その上終盤ではルーカス・クリュンターによって同点に持ち込むチャンスさえ作ったのだから。たとえばセバスティアン・ルディが「相手はものすごく自陣深くに引いていた。あんなのはここまで見たことがないよ」と語ったように、確かにケルンの戦術はさほど洗練されたものでも面白いものでもなかった。だが、ハインケスが認めたように、結局は「理に適った」戦法だったのだ。

むしろハインケスは、自身の率いるチームのプレーの方に批判の矛先を向けた。

「もっと良いパスを出し、もっと素早く動き回って、もっと滑らかに、きびきびとプレーする必要があった。序盤から活気が足りなかったし、何もかもに時間がかかり過ぎた。御覧の通り、我々は非常に苦戦する結果になった」

トーマス・ミュラーにとっても「のろのろし過ぎた」試合だったが、動きが悪かったのは試合の時期がリーグ前半戦の終わりに当たり、力が抜けかけていたせいでもあると評した。21日のボルシア・ドルトムントとのドイツカップベスト16戦を控えて、「小賢しくちょっと手を抜いてしまったんだ」と。

■「今日の試合ではああいうボールがカギだった」

そんなわけで、この一戦がバイエルンの勝利で終わるには、“ジェローム・ボアテングの試合”にならざるを得なかった。最終データを見ると、成功したパスの数がバイエルン:751に対してケルンは91、シュート数がバイエルン:26に対してケルン:7、コーナーキックがバイエルン:13に対してケルン:1、にもかかわらずバイエルンがゴールの喜びを味わえたのは一度のみだった。ケルンの砦と相対したバイエルンは、序盤からすでに何度もFW2人にロングボールを送り、ケルンの最終ラインを突破しようと試みる場面が目立った。それを主に担っていたのがボアテングであり、彼がダビド・アラバやコマンのビッグチャンス、そして勝敗を決したゴールの起点となったのだった。

「ジェロームが世界最高のセンターバックのひとりだってことは誰でも知ってるよ。彼はFWにああいうパスを出すことができるんだ」とラフィーニャは語った。

「ボアテングがああいうボールを蹴ったのは、相手が今日みたいに守備的な戦術を取っていたという、そのことだけが理由なわけじゃない。だけど、相手に守備を固められた試合では特に、チャンスを作るのにいいやり方なんだよ。サイドから攻めようとしても八方塞がりだった。だから、今日の試合ではああいうボールがカギを握っていたんだ」

試合終了後、ボアテング自身は何も語ろうとしなかった。脇目も振らずにインタビューゾーンを抜けて、愛車の方へ大股で歩き去っていった。チームの試合ぶりに不満があったのか、それともただ単に急いでいただけなのかは知りようがない。それでも、彼の中盤を“すり抜けていく”ロングパスが勝敗を分けたことは、この日スタジアムへ訪れた多くの人々が理解しているはずだ。

文=ニクラス・ケーニッヒ/Niklas König

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