“新戦力”本田圭佑&岡崎慎司、再招集のススメ…本大会を見据えたオプションに

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ブラジルとの親善試合で完敗を喫した日本代表。経験とリーダーシップを兼ね備えるベテランの不足を露呈する結果となった。

崩れたプランを修正できず、ナイーブだった前半を見ながら、この場にいない選手のことを思わざるを得なかった。

11月10日にフランスのリールで行われたブラジルとの親善試合。1-3と敗れた試合後、長谷部誠は「もったいないゲームをした」と振り返った。

■戦術的統制を欠いたブラジル戦

4-3-3のブラジルに対して4-2-3-1の布陣で応戦した日本は、キックオフと同時に勢い良くボール狩りを敢行。初めてトップ下に入った井手口陽介が相手からボールを奪い取るなど、試合への入り方は申し分のないものだった。

「前半は無失点で、特の最初の15分間を耐えられれば、チャンスが生まれるという話をしていた」とセンターバックで先発した槙野智章が明かす。ところが10分、相手CKの際に吉田麻也がファウルを取られてPKから先制されると、17分にも井手口のクリアミスをマルセロに叩き込まれた。

こうして早々にゲームプランを崩された日本は、序盤の勢いを完全に失った。せっかくマイボールにしてもカウンターを警戒してサポートが遅く、守備から攻撃へのトランジションが明らかに鈍くなる。「前から行くのか、しっかりブロックを作るのか、もう少し統一できればよかった」と長谷部が語るように戦術的統制を欠き、36分、ガブリエウ・ジェズスに3点目を許し、勝負を決定付けられてしまった。

だが、後半に入ると、戦況が変化する。セーフティリードに入ったブラジルがペースダウンした一方で、ハーフタイムに仕切り直した日本は再びアグレッシブなプレスを敢行。久保裕也に代わって右サイドに入った浅野拓磨が裏を突き、右サイドバックの酒井宏樹が攻撃に参加する回数も増え、62分には左CKから槙野がヘディングを決めて1点を返した。ブラジルが“流した”おかげでもあるが、後半のパフォーマンスこそ、ハリルジャパンがこの日、準備したものだった。だからこそ、長谷部は「もったいない」と嘆いたのだろう。

「本気のブラジルにそれをもっともっとチャレンジしたかったな、っていうのがちょっとありましたけどね」

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■経験豊富なベテランの必要性

後半のパフォーマンスを前半のブラジルにぶつけてこそ見えるもの、測れるものがあったはずだ。ゲームプランを崩されたあとにチームとしての戦い方を統一できず、ミスを多発した前半の様子を見ていて思うのは、チームとしての若さだ。

「ゲームの流れを読みながら、行くところは行く、行かないところは行かないと、はっきりさせるのは自分の役目」と、長谷部はコントロールできなかったことを悔やんだが、それは長谷部一人が負うべきことではないだろう。

また、カゼミーロのマークを託されたトップ下の井手口は、序盤こそ積極的なプレスを仕掛けたが、簡単に抜かれたり、ファウルで止めるのが精いっぱいになる場面もあった。トップ下でのプレーに関しても「攻撃の時にどうしていいのか分からない場面がいっぱいあった」と反省を口にしている。不慣れなトップ下に困惑する井手口、孤立しがちだったセンターフォワードの大迫勇也、中盤に経験豊富な選手が長谷部しかいない状況から感じたのが、岡崎慎司の必要性だ。

レスターでのパフォーマンスを見れば、セカンドトップとして相手のボランチにプレッシャーを掛けながらセンターフォワードをサポートし、ゴール前に飛び出す力があることは証明されている。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、センターフォワードとしてポストワークに長けた大迫や杉本健勇を評価しているのかもしれないが、セカンドトップという新たな役割を与えれば、岡崎はハリルジャパンで再び光り輝く可能性は低くない。

また、いつになくボールロストが多く、3失点目の場面でカウンターを浴びる要因となった久保のプレーを見ていても、それなら本田圭佑をもう一度試してみてもいいのではないかと感じずにはいられなかった。彼ならば状況に応じてトップ下やインサイドハーフでも起用することができる。

ここでは決して「彼ら呼んでおけば良かったのに」という後ろ向きの話をしているわけではない。

アルジェリア代表を率いてベスト16進出を果たしたハリルホジッチ監督は、ナビル・ベンタレブやリヤド・マフレズといった若きタレントを予選終了後に発掘している。そうした成功体験から、指揮官が今、チームの成長を加速させるような新戦力を探しているのは理解できる。

だが、その一方で本大会まで残された時間は少なく、3月と5月にインターナショナルマッチウィークが設定されているのみ。今の若いチーム、国際大会を経験していない若い選手が経験を積む場は、残念ながらそれほどない。それゆえ、3月シリーズでは、未来を見据えたオプションを確立させるために岡崎や本田らベテランを再招集してもいいのではないか。ハリルホジッチ監督はブラジル大会で対戦相手に応じて試合ごとにメンバーを入れ替えており、そういった意味でも世界を結果を求め続けてきた彼らがチームを助ける場面がどこかで訪れる可能性は非常に高いからだ。

ワールドカップのグループステージでは、この日のブラジルのような強敵と対戦することになる。そのとき、この日のようなナイーブさをのぞかせないためには、経験とリーダーシップという捨てがたい価値を備えたベテランの存在も必要になるだろう。チームの成長を加速させるのは、なにも新戦力だけではない。

文=飯尾篤史

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