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新体制で不遇の堂安律、PSVでは本当に低調なのか? ドリブル成功率はリーグ1位

堂安律にとって、今季は浮き沈みのあるシーズンとなっている。2019年8月にフローニンゲンからPSVへの移籍を果たした堂安はシーズン序盤、先発メンバーの1人として名を連ねていた。しかし、昨年12月の監督交代を境に5試合連続スタメン落ちを含め、出場時間が激減している。果たして、PSV加入後の堂安はフローニンゲン時代からパフォーマンスを落としていたのだろうか。『Opta』のスタッツを基に、この変化を検証していく。

■得点関与率は減少

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フローニンゲン在籍時にファンから絶大な支持を受けていた堂安は、様々なトップクラブの関心を引いた。その中から最終的に新天地として選んだのがPSV。当時PSVも右ウイングと攻撃的MFを求めていたため、この移籍は適切なものと捉えられた。事実、堂安は加入直後から先発メンバーのポジションを掴んでいた。

しかし、マルク・ファン・ボメル前監督の解任が堂安の風向きを変えることになった。暫定監督に選ばれたエルネスト・ファベルは、堂安がフローニンゲンに加入した最初のシーズンの指揮官。だが同監督就任以降、堂安のプレー機会は減少。ファベルは堂安について、「ここではフローニンゲンに在籍していた頃よりも決定的な仕事をする必要がある。ただ堂安は誠実に、チームのためにハードワークできる選手なので、今後はより多くのチャンスを与えられるだろう」と話していた。

スタッツ上だと、ファベルの指摘は的を射ている。PSV加入以降の堂安はリーグ戦19試合に出場(先発12試合)し、2ゴール1アシストの成績。しかし、フローニンゲン在籍時にはリーグ戦通算59試合で15ゴール6アシストを記録していた。出場時間あたりの得点関与を比較すると、フローニンゲンでは243分に1点だったのに対し、PSVでは342分に1点という数字にとどまっているのだ。

さらに90分あたりの枠内シュート数も、出場時間あたりの得点関与と同様、フローニンゲン在籍時から減少。ただ、90分あたりのシュート数は同値、同ラストパス本数は微増している。今季のPSVはタイトル争いを繰り広げていた昨季と比べ、上位3チーム入りにさえ苦戦している。この状況下、「感情を表に出しますし、負けたときは選手以上に悔しがります」(堂安)というファベルが、堂安のような選手に違いを生み出してほしいと望んでいるのは想像に難くない。

事実、堂安自身も今年の『Goal』独占インタビューで、「オランダの中でビッグクラブと言われているクラブで、すごくワクワクした気持ちで来ました。(チーム全体の)クオリティも、一緒にプレーする選手たちの能力も(フローニンゲンとは)全く違う。練習の内容の濃さも全く違うので、充実感を覚えながらプレーさせてもらってます。ただ、それと同時に、まだまだ自分ができること、もっとやらなくてはいけない課題も見つかっています。今は大きな割合で『俺はもっとやれる』という気持ちのほうが占めています」と語っていた。

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フローニンゲン時とPSV時の堂安スタッツ比較

スタッツフローニンゲンPSV
シュート(90分)2.22.2
枠内シュート(同)1.00.7
ラストパス(同)1.01.1
パス(同)2934
パス成功率76%81%
ドリブル成功率51%78%
デュエル勝率47%53%

ただ、堂安のパフォーマンス自体は見た目よりも悪くないと言える。パスに関しては、フローニンゲン在籍時よりも本数、成功率ともに向上。ドリブル成功率も大幅に改善していることが分かる。ポゼッションの高いクラブでプレーしていることも要因と考えられるが、結果として高いテクニックや局面を打開する能力を見せつけているのだ。PSV加入以降、78%と高い数値を記録しているドリブル成功率は、今季同一チームで40回以上のドリブルを記録している選手の中ではリーグトップの成功率である。

【エールディビジのドリブル成功率ランキング(回数、成功率)】※40回以上選手

1位…堂安律(41回、78%)PSV
2位…レロイ・フェル(43回、74%)フェイエノールト
3位…フレドリック・ミットシエ(104回、69%)AZ
4位…マルク・ディーメルス(72回、65%)フォルトゥナ・シッタート
5位…ペッレ・クレメント(72回、65%)ズウォレ

不振に喘ぐクラブでは時に、異なる先発メンバーを頻繁に試す現象が見られる。今季の堂安もそんな状況に左右されていると言えよう。

ボールを保持する技術やパス能力からも見受けられるように、そのポテンシャルは疑いようがない。「本当にもっとやれると思っているし、周りが期待している以上に、自分に一番期待しているんです。でも、その期待に応えられていない自分もいて…。でも、僕は常に上を見る性格で、今は本当に無我夢中ですね」と『Goal』に語っていた堂安。PSVは既に来季の監督としてロジャー・シュミット氏を迎えることが決まっているが、堂安が更なる高みへと歩を進めるため、このドイツ人監督が助けとなれば期待は大きく膨らむ。

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