■驚きのメンバー表に
世界屈指のスター選手が12月23日土曜日に開催されたエル・クラシコのベンチに大集結した。だがそこには宝くじですら誰も予想していない、ここ最近の先発の顔ぶれに馴染みがない選手が一人存在した。マテオ・コバチッチである。彼はエル・クラシコという大一番の試合前、試合中、試合後でも注目を集める結果となる。

本題に入る前に話しておくと、コバチッチはジネディーヌ・ジダン監督に選ばれたエル・クラシコの「救世主」のはずだった。今年行われたバルセロナとのスーぺルコパ決勝の活躍ぶりから指揮官の信頼を勝ち取り、特に本試合ではチームの中盤のディフェンスの柱としての役割が期待されていた。その犠牲者となったのはイスコであり、これまでのチームでの活躍ぶりとは裏腹に90分間ピッチに立つことは実現しなかった。先発起用の人選に問題は無いかのように思えた。前半は終始レアル・マドリーが積極的なプレッシャーでバルセロナに決定的な仕事をさせず、コバチッチのサプライズ起用は中盤のディフェンスの核になるという面で、采配は見事的中しているかのように見えた。
■批判の矛先が…
Gettyしかし開始から52分ごろ、試合の結果を大きく左右する重要な先制点をバルセロナに献上してしまう。ラキティッチがカウンターで前線にボールを運んでいる間、コバチッチがメッシのカバーに気を取られていた代償として、決定的なパスコースを空けてしまう結果に。もちろんブラウグラーナはその隙を逃すことなく、綺麗なカウンターの流れで最後はルイス・スアレスが流し込んだ。この一連のカウンターを防ぐことは困難であったことは間違いないが、批判の目はすぐさまコバチッチに向けられている。
コバチッチは悪い試合の流れを終始断ち切ることができなかった。バルセロナはその後、先制点を決めてから怒涛の攻撃を演出し、最終的に3点を挙げ今年最後の試合を締めくくった。敗戦の原因が決してコバチッチだけだったというわけではないが、スターティングメンバーの人選にサプライズがあっただけに、屈辱的な敗戦後のすべての疑問の矛先は予想通りコバチッチに向いた。
■ジダン監督に言い訳はなし
Getty「たくさんの批判が私に降ってくるということはわかっている。だが私の考え方は変わらない」
元銀河系軍団のフランス人指揮官は語る。通常、このようなビッグマッチや試合展開の均衡が予想される試合では、わずか一つの細かい采配が命運を左右するということは誰もがわかっているだろう。コバチッチはこれまで先発メンバーとしてあまり馴染みがなかった選手である。しかし極端に悪いプレーは見受けられなかったが、先制点に繋がるミスをしてしまった事実は変えられないだろう。ジダンは最終的にリスクを冒し、大勢の観衆の前で大敗を喫してしまった。試合に敗れ、個人的な「賭け」にも負けてしまう結果となってしまった。
文=アルベルト・ピニェイロ/Alberto Pinero




