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戸田和幸氏が予想するコパ・アメリカ第3戦。日本の狙いどころは「エクアドルの中盤にできるスペース」

戸田和幸氏がコパ・アメリカの日本代表戦を徹底解説するDAZNの『The Focus』。22日、『#3』の公開収録が渋谷・松濤の「DAZN CIRCLE」で行われた。番組では2-2のドローとなったウルグアイ戦で起きた攻守のポイントを詳細に分析。エクアドル戦の展望も盛り込まれた『#3』はDAZNと DAZN YouTubeチャンネルで公開中だ。今回Goalでは収録を終えた戸田氏に、25日朝8時に行われる第3戦・エクアドル戦に向けて話を聞いた。日本はエクアドルを倒せば史上初の8強進出、準決勝でブラジルと戦う可能性が高い。【聞き手=大西徹】

■ウルグアイの2トップは未知の領域

――戸田さんはウルグアイ戦後、冨安健洋選手のコメントが印象的だったと『THE Focus #3』収録の中でおっしゃっていました。

DAZNの『Daily Copa America』を見ていたら、試合後に冨安が「何にもできなかった」と言っていました。

何もできていないわけではないのですが、相手を押さえようとチャレンジした時に、勝てていない、もしくは自分のやる気を逆手に取られて出し抜かれてしまったということだと思います。とても正確に物事を把握していると感じましたし謙虚さも見えました。

「できたこと、できなかったこと」を正しく認識することができる能力も、選手には重要です。そして、その反省をもとにさらに上を目指していく強い気持ちを持っている選手だと思います。

もちろんうまくいかなかった場面はいくつもあり、それらは冨安だけでなく、他のDFにとっても未知の領域だった。世界のトップレベルにいる2人(スアレス、カバーニ)のストライカーと真正面からぶつかり合った後に、何を感じ次につなげていくことができるかはとても重要です。

彼はまだ20歳ですが、パフォーマンスとコメントの両方を見聞きし、これからさらに先に進んでいくなと強く感じました。

――試合後のレビューはどちらかというとゴールシーンや攻撃の派手な場面ばかりに注目が集まりがちです。

たぶん僕が番組で紹介したシーンを覚えている人は多くないかもしれません。日本がPKを与えた場面でも、植田(直通)の対応に関してはいろんなメディアで出ていますが、その前の局面で日本がきちんと対応できていたのかという点にもフォーカスすべきだと考えました。まずはなぜそうなってしまったのか。相手は2トップ、どちらか 1人が競れば、もう1人は必ず背後に走って抜けてくるボールを狙うことは分かっていたはずなのに、後手に回ってしまいました。

■後半は違う対応ができなかったか?

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▲冨安は「とても正確に物事を把握している」と戸田さん(C)Getty Images

――ある程度は予想できるということですね。

プレビューの中でウルグアイの特徴は「シンプルに2トップを使う攻撃」と始めに紹介しました。それぞれ1人ずつで見ても世界トップクラス。2トップとして見てみると、ひょっとすると世界最高のセットであるスアレスとカバーニですから、細心の注意を払わなくてはなりません。

この場面では冨安がスアレスにチャレンジし、後方に流されたボールに誰よりも速く反応したカバーニに対して遅れる形で植田が対応した結果、PKを与えました。そしてこの場面はウルグアイ陣内からのフリーキックをセンターバックのヒメネスが蹴ったボールからでした。

こうしたプレーは後半に入ってからさらに増えましたが、日本の守備陣のマークの付き方と人の置き方はどうだったのか。2センターバックが2トップに対峙するとして、必ずしも勝つ必要はないし、勝つことだけを目指して競り合いに臨むと相手にその勢いを利用されてしまうことがあります。

ですからこの試合で出た課題としては、試合の中で変わっていった相手の攻撃の狙いを正確に把握し、対応できなかったということが一つ。その上でCBの競り方として「必ずしも勝つ必要はない」ことを頭に入れながら、ゴール方向に進ませない対応が必要だったということが二つめ。もしくは、この試合は板倉(滉)が中盤で出場していたので、彼を有効活用しCBの負担を軽減させられなかったのか? この3つだと僕は感じました。

この3つの課題は前半から露呈していたものだったので、できれば後半は違う対応が見たかった。

例えばFKになったら「板倉はボールサイドの2トップに付け」といった具体的な対応策が必要だったと思います。また、CBもチャレンジし過ぎず無理だと思えば無理にジャンプせず我慢する、そして中盤はスプリントで戻って挟み込む、これはウルグアイのベンタンクールとトレイラが繰り返し行っていた守備です。

日本のコンパクトな3ラインはウルグアイからしたら厄介でした。だから彼らはシンプルに2トップにロングボールを送り込む作戦に変えたんです。

自分たちの良い守備があったからこそ、相手は長いボールに切り替えたわけですが、そもそもウルグアイは「堅守速攻・ダイレクトに前線に」ということを伝統にしてきた国です。ですから、つなげないとなれば次は何をしてくるのか? そしてその次の一手に対してはどんな対応をするべきなのか? この点について日本は準備と対応の両方が足りていなかったと思います。

川島(永嗣)がビッグセーブで救ってくれましたが、54分にスアレスからカバーニで抜け出された場面でも、植田の止めにいく勢いをスアレスに完璧に利用され、内側に反転されカバーニへと見事なスルーボールを通されています。

■エクアドル戦、数的同数の攻防は減らしたい

――コパ・アメリカ、3戦目の相手はエクアドルです。身体能力の高い選手がそろっています。

身体能力は高いですし、スピードもあります。こういう相手はなるべく1対1にさせないほうがいいですね。

エクアドルはお互いの距離が遠いですし、組織立った攻守を行ってくるわけではありません。ですから日本としては数的同数での攻防はなるべく減らし、2対1や3対2の局面を作りながら個々のテクニックや俊敏性を発揮してもらいたいですね。

先ほどのレビューの収録でも話しましたが、日本としての攻撃の課題は速攻でない時に最後のところにどうやって入っていくのか。ウルグアイ戦ではサイドチェンジからの速攻で2点取れましたが、後方からボールを運んでいった後の攻撃、カウンターではない形でボールを運んだ時にどうするのか。もう少し“チームとして”攻めることが必要だと感じます。

――意思の疎通を図るということでしょうか?

基本的にカウンターは、スペースが広いところで人数が少ないから成立しやすい。でも、ボールを持って敵陣へと入っていく場合は、相手もこちらも人数が多い。その中でうまく局面を作らないといけない。ですからボックスの中に入る時に、チームとして「いつ、どこに、なぜ」という共通の認識を持っておいたほうがいいと思います。

――そういった局面でカギになる選手として、『The Focus #3』のエクアドル戦展望では久保建英選手の名前を挙げていましたね。

エクアドルは初戦・ウルグアイ戦(0-4)は4-4-2でしたが、2戦目(チリ戦、1-2)のように4-1-4-1で臨む試合のほうが多い。彼らの試合を見ると、中盤4枚の周りやセンターバックの手前、その脇が空くことが多い。組織として優れたチームではありません。

だからこそ、瞬間的に相手の選手がチャレンジできない場所を取ることが重要になるし、ポジショニングとプレー選択の正確さで考えるに久保がそこにいたら期待は大きく膨らみます。

受ける場所、スピードの上げ方やボールを運ぶコース、いつ誰に、もしくは自分でという複数のことを同時進行で考えながら、正確な判断と技術を発揮できるのが久保の素晴らしさ。おそらくボールは持てる展開になるでしょうから、相手中盤ラインの背後で効果的にプレーができる選手の存在がこの試合を決める事になると思います。

勢いはありますが、エクアドルは組織立ってボールを取りには来ないので、スペースは見つけられると思います。それぞれが立つ場所を間違えなければ、日本はテンポよくスムーズに中央エリアからボールをつないで前進する事は可能なはずです。

■強度の高い試合、久保と上田に期待

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▲上田(左)と久保の好連係は見られるか?(C)Getty Images

――チリやウルグアイと対戦したことで、いくつも課題が見えてきたと思います。

ウルグアイ戦では相手にうまくつながせませんでしたが、蹴り込まれ始めると対応し切れないまま試合が終わりました。

先ほども話をしましたが、2トップにシンプルに蹴ってくるのは、ある意味ウルグアイの伝統的な部分でもあります。後ろからぶつかってこられても逞しい体を巧みに使って反転し突破することもできます。分かっていても止められなかった、もしくはチャレンジし続けたということなのかもしれません。今回の戦いで感じたものから学び、次の試合、今後のキャリアにつなげてほしいなと思います。

――久保選手以外でもう一人、注目選手を挙げるとしたら誰になりますか?

一番前のポジションですかね。

(ウルグアイ戦の)岡崎(慎司)はとても良かったと思います。効果的な守備からスペースへのランニングを繰り返し試合を作ってくれました。次のエクアドルは組織として攻守を行うチームではないことを考えると、上田(綺世)が出れば、彼の点を取るための動き出しとポジショニングが大きな効果を発揮するかもしれません。

上田は中盤のパサーがボールを持った時に、相手から素早く離れて背後を取るような動きがうまい。初戦では攻守ともに良いものを見せていましたから、ボール保持からのアタッキングサードでの崩しを考えるのであれば、上田を起用するのも面白いと思います。

日本は、良い守備を継続しながら、敵陣に入ってからの攻撃をさらに良くしていくことを目指したい。そのためには、ポジションバランスやスペースを作る動きと使う動きの連動が必要になります。

コパ・アメリカのような強度の高い試合は、日本ではまず経験できませんから、身体はもちろんのこと、メンタル的な疲労を見てメンバーを選ぶと思います。

エクアドルが4-1-4-1で来れば1トップの背後とアンカー脇、4-4-2で来るのならライン間とハーフスペース。バラけてボールを奪いに来るエクアドルに対し、イメージを共有した状態でスペースを効果的に使えれば、きっと良い形でゴールには迫れますし、良い結果を手にすることができると思います。

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