明治安田生命J1リーグ第32節が23日一斉開催される。代表に選出されていた国内組の選手たちは所属クラブに戻り、チームメートが今度は敵となる。二つの森保ジャパンが臨んだ11月シリーズは2試合とも惨敗。結果以上に内容が芳しくなく、大きな逆風にさらされた。ここでは代表活動とクラブとの循環という観点からリーグ戦の意義について考えてみたい。【取材・文=川端暁彦】
■代表は最大風速を出す場所
U-22日本代表がコロンビアに0-2と敗れ、A代表はベネズエラに1-4と大敗。明治安田生命J1リーグの第31節と第32節の間に行われた11月のインターナショナルマッチウィークにおいて、日本代表は不名誉なニュースが飛び交う事態となってしまった。
ほぼ控え組の編成でほぼベストのベネズエラの胸を借りる形になったA代表のほうは想定の範囲内の試合だったと思うのだが、森保一監督が「ベストメンバー」と称したスクワッドリストのU-22代表のチームパフォーマンスは、筆者の周囲からも心配の声が多々聞こえてくるほど。有り体に言ってしまえば、実に惨憺たるものだった。
とはいえ、これをもって「東京五輪はもうダメだ」みたいな言い方はさすがにナンセンスだろう。現場では「どう立て直すんですか!?」という声も聞いたのだが、「え? 立て直す?」というのが正直なところである。これがクラブチームのリーグ戦であれば、年間を通して戦っていく中で大敗を喫したとあれば、次の試合にも響くし、失った勝ち点は戻ってこないので大変である。立て直しは確かに急務だ。
■親善試合で無双を続けても
ただ、代表チームというのは、良くも悪くもそうした運営とは無縁の世界に存在していて、勝負の場はあくまで短期決戦のカップ戦である。親善試合には意味があるが、親善試合の勝敗や試合内容がそのままカップ戦の結果に反映されることはあり得ない。むしろ逆パターンになることが多いことを経験的に知っているはずである。たとえば、親善試合で無双の存在感を示し続けたザックジャパンがどうなったかを思い出してほしい。
あくまで勝負のカップ戦(A代表であれば、ワールドカップ。五輪代表であれば、五輪)でのチームパフォーマンスを最大化することがキーファクターで、よく私が「大会の行われる短期間の最大瞬間風速を競うのが代表チームであって、大会と大会の間の期間における平均風速の高さ自体に意味はない」といった言い方をするのは、まさにこういう理由からだ。
唯一の例外は負けたら元も子もない「予選」なのだが、東京五輪にはこのリスクも存在しない。あくまで来年8月に「最大瞬間風速」を出すことに集中すべきであり、代表監督にはそのために準備試合を活用してもらうべきである――のだが、なかなかそうもいかないのが現実である。ひたすら期待感を煽るTV放送が入り、スポンサーの看板を背負い、大勢のファンが見守る国内で行う試合の難しさ。コロンビアとの広島での試合は、それを体感する機会でもあったとは言えるかもしれない。
■求められる水準に達するために

そして、個々人についても試合の中で強烈な学びがあったのではないか。
U-22代表が対峙したコロンビアの選手たちの身体的な強さやスピード感はもちろんだが、日本側の隙を見逃さず、しかも意思統一を持った攻撃を仕掛けてくる怖さは、国際試合でこそ体感できるもの。コパ・アメリカで同様の怖さを体感していたDF岩田智輝(大分トリニータ)はその感覚を思い出したようで、「守備の部分で課題が出た。最後のところで体をぶつけられればというところだし、一瞬の判断のところ」と苦い表情を浮かべた。
それは最後の砦として陣取り、2失点を許してしまったGK大迫敬介(サンフレッチェ広島)も同じだ。失点シーンはGKに問題があったというような場面ではないが、「あれを止めてこそ」と力を込めたように、理想としてイメージしているGK像から言えば、防げたゴール。森保監督が常々強調しているように、五輪で求められる水準は「A代表レベル」。大迫にとっては、コパ・アメリカから引き続いてそれを痛感する機会となったに違いない。
■強気の発言を残した上田
©J.LEAGUE一方、1トップで存在感を出し損なったFW上田綺世(鹿島)も同じような立場かもしれない。コパ・アメリカではゴールを奪えず、批判も受けた。ただ、ブラジルの地でもそうだったように、神妙な反省の弁を述べるようなことはなく(これは反省しない男という意味ではなく、後ろ向きな言葉を残さないという彼のスタンスである)、チームとしてのビルドアップの問題を指摘しながら「でも別に点を取ることは可能だったと思います」と強気の言葉も残したのは彼らしい。
かつての本田圭佑がそうだったように、こういう言葉を発すれば「じゃあ点を取れよ」と言われるのも当然。ここまで鹿島での上田はまだまだ本領を発揮するには至っていないように見える。大きな環境の変化があった中で心身の状態もベストになっていなかったかもしれない。ここからリーグ戦残り3節は、そんな上田が真価を見せるチャンスだとと言えるし、もちろん本人もそのつもりだろう。
再開となる第32節は広島と鹿島が相撃つ好カードもあり、「止めてこそ」の大迫と「決めてこそ」の上田の対決は、個人的にちょっと楽しみである。伸びていく選手というのは、苦い経験を糧にするものであり、「次のゲーム」の質を上げていける選手である。
U-22代表のキリンチャレンジカップはあくまで親善試合だが、間違いなく学びのあるゲームだった。そうした経験を「次」へのモチベーションに変え、成長の糧として生かして成長していく選手たちを観られるのも、Jリーグ観戦の醍醐味の一つである。
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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です



